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電気工事士と電験三種はどちらから?消防設備の仕事なら第二種電気工事士が先、電験三種は「電気管理」を目指す人向け

電気工事士と電験三種はどちらから?

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
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保有資格(本記事に関係するもの):消防設備士全類、第二種電気工事士、第三種電気主任技術者
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版


この記事の結論

電気工事士と電験三種(第三種電気主任技術者)は、どちらが上位というより、仕事の中身が違う資格です。

  • 電気工事士:電気工事の作業に従事するための資格。第二種は一般用電気工作物等、第一種はそれに加えて最大電力500kW未満の自家用電気工作物の作業ができる
  • 電験三種:電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(工場やビルなどの受電設備など)の保安を監督する、電気主任技術者になるための資格

(一般財団法人電気技術者試験センター「電気工作物の概要(電気技術者資格との関係)」「第三種電気主任技術者の試験概要」)

消防設備の仕事に就く人、これから電気の資格を始める人は、第二種電気工事士から取るのがおすすめです。消防設備の工事には電気工事が混ざっていて、甲種消防設備士の受験資格にもなるからです。電験三種は、受変電設備の保安や電気管理の仕事に進みたい人向けの資格です。

第二種電気工事士(電気工事の作業、学科56.6%・技能71.8%)と電験三種(保安の監督、4科目、合格率13.0%)の仕事と試験の違いを左右で比べた図
強欲な青木
電験三種って、電気工事士の上位資格ですよね?先に取ったほうが得ですか?
消防設備士と相性がいいかと言われたら、電験三種は相性すこぶる悪いんですよ。消防設備士と相性がいい資格の1位は、圧倒的に電気工事士です。
消防設備士

仕事と試験の違い

項目 第二種電気工事士 第三種電気主任技術者(電験三種)
できること 一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の保安の監督(選任が必要)
試験 学科(四肢択一)+技能(配線の課題を工具で完成させる) 理論・電力・機械・法規の4科目(五肢択一、筆記またはCBT)
科目の扱い 技能は学科の合格者(または学科免除者)だけが受験 科目ごとに合否。一部だけ合格した科目は、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回まで免除
合格率(令和5年度) 学科59.4%、技能71.1% 18.8%
合格率(令和6年度) 学科58.2%、技能70.3% 16.4%
合格率(令和7年度) 学科56.6%、技能71.8% 13.0%

出典:

電験三種は、令和8年度上期も25,127人中3,223人の合格(12.8%)でした(同、上期のみ)。4科目すべてに合格して初めて「合格」になるので、1回の試験で全科目を突破する人は多くありません。

電験三種の試験では、四則演算と開平計算(√)ができる電卓を使えます。関数電卓や数式を記憶できる電卓は使えません(同「第三種電気主任技術者の試験概要」)。

消防設備の仕事なら、電気工事士が先

消防設備の現場では、自動火災報知設備の受信機や誘導灯など、建物の電源につながる設備を扱います。電気工事士法では、一般用電気工作物等などの電気工事の作業に、電気工事士等の資格を持つ人が従事することを義務づけています(電気技術者試験センター「電気工作物の概要」)。

さらに、電気工事士の免状は甲種消防設備士の受験資格になり、甲種第4類・乙種第7類では科目免除にも使えます(消防試験研究センター「受験資格(消防設備士試験)」)。電気主任技術者の免状も甲種消防設備士の受験資格の一覧に入っていますが、受験資格のためだけなら、電験三種より第二種電気工事士のほうが短い期間で取れます。

青木は、消防設備士の業務の中に「電気工事士を持っていないとできないもの」が混ざっているから、電気工事士は「一択」だと話しています(YouTube「消防設備士と相性の良い国家資格トップ10」2025年7月16日公開)。消防設備士と電気工事士の関係、取る順番は、こちらの記事で詳しく解説しています。(消防設備士と電気工事士はどっちを先に取る?答えは「乙6と同時に申し込む」)

消防設備の会社に入ったばかりなら、まず第二種電気工事士を取り、電験三種は電気管理の仕事に興味が出てから考えても遅くありません。

電験三種は「今なら取らない」から「ありやわ」へ

ここからは、両方を持つ青木本人の経験と考えです。

青木は、消防設備の会社に入って3日目に、社長から電験三種の過去問題集と参考書を渡されたのがきっかけで、電験三種を受けました(書籍『消防設備士0類』、aokimarke.com「電験三種『2科目 不合格』体験談」)。平成28年度の試験では、機械と法規は合格点に届いたものの、理論と電力が不合格でした。受験勉強は12月から試験当日まで約9か月、1日2時間と決めて手帳に記録していたそうです(同体験談。記事の日付は2024年2月2日)。

合格した年の電験三種の合格率は約8%だったと、書籍に書いています(書籍『消防設備士0類』。青木本人も確認)。

書籍(2023年ごろ執筆)では、電験三種は消防設備士にとってはコスパが悪く、今なら取らない、と書いています(書籍『消防設備士0類』)。

『消防設備士0類』(Amazon・電子書籍)
https://amzn.to/49YGHP1

ところが2025年7月の動画では、考えが変わったことを話しています。消防設備士と相性がいいかといえば「相性はすこぶる悪い」ままですが、電気管理の業界がとても人手不足で、資格を活かして働ける場が広がっているため、「電気管理業界も結構ありだよね、というのはもう嘘はつけへん。もうありやわ」という結論です(YouTube「消防設備士と相性の良い国家資格トップ10」2025年7月16日公開)。

強欲な青木
結局、電験三種は取ってよかったんですか?
元々は「電験三種はやめといた方がいい」っていうポジションだったんですけど、社会情勢的に変わってきてます。僕は消防設備業界をよくしたいと思ってキャリアを積んでますけど、電気管理業界もありやわ、というのは嘘はつけへんです。
消防設備士
強欲な青木
両方持ってる人が言うと、説得力ありますね。
消防設備の道がダメでも、電験三種を持ってるから電気の道で食っていける、っていう安心感はありました。
消防設備士

2026年10月に改めて聞くと、考えは同じでした。書籍の「今なら取らない」は、消防設備士として働く前提の話です。消防設備士として働くなら電気管理の仕事とは兼務できないので、電験三種は使えない、という理由です。電気管理の業界1本で働くなら使える資格で、電気管理業界でいつでも働ける安心感はうれしい、とも話しています(青木本人への確認、2026年10月)。

制度の上では、電気管理技術者として外部委託を受ける仕事のうち、保安法人の保安業務担当者は保安以外の仕事を兼務できません。個人事業者として受ける場合も、ほかに職業を持っていると、承認の審査が特に慎重に行われます(経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/syuningijutsusya_naiki.pdf 、確認日 2026-10-26)。

電験三種を持っていると楽になること

電験三種を先に持っている人、これから取る人のために、ほかの資格との関係もまとめます。

関係する資格・講習 電験三種(電気主任技術者免状)でできること 出典
第一種電気工事士 申請により学科試験が免除され、技能試験から受けられる 電気技術者試験センター「第一種電気工事士の試験概要」
甲種消防設備士 受験資格になる 消防試験研究センター「受験資格(消防設備士試験)」
消防設備点検資格者講習 受講資格になる 日本消防設備安全センター「第1種・第2種消防設備点検資格者講習」

青木も、電験三種で第一種電気工事士の筆記が免除されるので、第一種電気工事士を取ろうかと考えている、と同じ動画で話しています。

電験三種を受けるなら、1年目で4科目すべてを狙うより、科目合格の期限(最初の合格から連続5回)から逆算して、2〜3年の計画を立てるほうが続けやすいと思います。

電験三種の勉強の進め方(教材、勉強時間、単元別の過去問)は、青木の体験談の記事で紹介しています。
https://aokimarke.com/denken-2kamoku-hugoukaku/

次にやること

消防設備士・電気工事士・危険物取扱者など、どの資格から取るかの全体像は、こちらにまとめています。(資格の選び方は「人気」より4つの問いで決める|消防設備業界の経営者が考える資格選び)

消防設備士と相性のいい資格を、電気工事士から順に10位まで紹介した記事はこちらです。
https://www.aoki-of-greed.com/2026/10/15/消防設備士と相性の良い資格トップ10-電気工事士-点検資格-施工管理から次の学びを選ぶ/

第二種電気工事士の免状で受験資格を満たしたら、甲種第4類(自動火災報知設備など)が次の目標です。実際に出た問題をもとにした「過去問テスト」で練習できます。

参考文献

  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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