最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)noteの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
消防設備士2類 過去問講義
このページは、直流回路、交流、電動機を学ぶ前後に戻るためのまとめです。回路の接続、式の文字、単位、位相、計器の作動原理を別々に確認します。設備の配線方式、保護装置、施工方法の決定には、設計図書・現行基準・機器仕様を用います。
このページの対象と到達目標
対象は、消防設備士甲種第2類・乙種第2類の電気基礎を一巡した初学者です。公式だけを並べるのでなく、「何が比例し、何が反比例するか」「直流と交流のどちらで働くか」「位相はどちらへずれるか」を説明できる状態を目指します。

V、I、R、P、ρ、L、Sの意味と単位を取り違えない。- 直列・並列を、電流と電圧のどちらが共通かで判別できる。
- 導体抵抗の式
R = ρL/Sを使い、長さ・太さの変化を説明できる。 - 正弦波交流の実効値・平均値の扱いと、コイル・コンデンサの位相関係を区別できる。
- 指示電気計器を、作動原理と直流・交流の適用で整理できる。
電気基礎を5つの箱に分ける
| 箱 | 最初に見ること | 代表式・関係 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|---|
| 電圧・電流・抵抗 | 何が一定か | V = IR |
電圧と電流を同じものとして扱う |
| 直列・並列 | 接続の分岐があるか | 直列は電流、並列は電圧が共通 | 合成抵抗だけを暗記する |
| 導体抵抗 | 材料・長さ・断面積 | R = ρL/S |
直径と断面積を同じ割合で考える |
| 交流・位相 | 波形と時間のずれ | P = VIcosφ、位相差 [rad] |
実効値・平均値・最大値を混ぜる |
| 計器・電動機 | 何の作用で動くか | 磁気、電磁誘導、熱 | 直流・交流の適用を一律にする |
問題文を読んだら、まずこの五つのどれかに分けます。次に、求める量・単位・条件を余白へ書きます。これだけで「式は知っているのに選択肢を取り違える」失点を減らせます。
式と単位を先にそろえる
オームの法則と電力
V = IR、P = VI = I²R = V²/R が直流抵抗回路の基本です。
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
V |
電圧 | V(ボルト) |
I |
電流 | A(アンペア) |
R |
抵抗 | Ω(オーム) |
P |
電力 | W(ワット) |
直列接続では同じ電流が流れ、並列接続では各枝に同じ電圧が加わります。回路を見ずに R = R₁ + R₂ を使うのではなく、まず分岐の有無を確かめます。
導体抵抗
均一な導体の抵抗は、次の関係で考えます。
R = ρL/S
ρ:抵抗率[Ω・m]L:導体の長さ[m]S:断面積[m²]
同じ材料なら、長いほど抵抗は大きく、太いほど(断面積が大きいほど)抵抗は小さくなります。直径を2倍にすると、円の断面積は4倍になるため、抵抗は1/4になる方向です。
単位の確認例:ρ = 1.7×10⁻⁸ Ω・m、L = 10 m、S = 1.0 mm² = 1.0×10⁻⁶ m² とすると、
R = (1.7×10⁻⁸ × 10) ÷ (1.0×10⁻⁶) = 0.17 Ω
です。mm² を m² に換算せずに代入すると、桁を大きく誤ります。途中計算では有効桁を残し、設問の指定がなければ最後に必要な桁へ丸めます。この数値は式の使い方を示す説明値であり、設計の導体選定値ではありません。
交流の実効値・平均値・位相
正弦波交流では、最大値、実効値、平均値を同じ数値として扱いません。実効値は、同じ抵抗で同じ発熱・電力を生じる直流値に換算した量です。平均値は、問題で指定された波形の扱い(整流後・半周期など)を確認します。
コイルだけの回路では、電流は電圧より π/2 rad(90°)遅れます。コンデンサだけの回路では、電流は電圧より π/2 rad(90°)進みます。rad は角度を表す単位で、π rad = 180° です。
計器は「どの作用を使うか」で分ける
| 形式 | 主な作動原理 | 学習上の直流・交流の整理 |
|---|---|---|
| 可動コイル形 | 磁界中のコイルに働く力 | 直流の測定に用いる |
| 誘導形 | 交流による電磁誘導 | 交流で作動する |
| 熱電対形 | 電流による発熱と熱電対 | 直流・交流の測定に用いる整理 |
| 電流力計形 | 電流による力 | 直流・交流の測定に用いる整理 |
実機の使用範囲、周波数特性、精度階級、接続方法は、計器の仕様書で確認します。この表だけで機器を選定しません。
過去問テスト
次の問題は、学習用に整理しています。図版は学習の要点が分かる新規模式図で説明します。
問1 導線の抵抗と寸法
抵抗率 ρ、断面積 S、長さ L の銅線とその抵抗 R との関係を表す式として、正しいものは次のうちどれか。
R = ρL/SR = SL/ρR = ρS/LR = L/(ρS)
問2 正弦波交流の平均値と位相
正弦波交流について、誤っているものは次のうちどれか。
- 正弦波交流の電圧の平均値は、その最大値の
2/π倍である。 - 正弦波交流の電圧の平均値は、その最大値の
√2/π倍である。 - インダクタンスだけをもつ回路に正弦波交流の電圧を加えると、電流の位相は電圧の位相よりも
π/2 radだけ遅れる。 - 静電容量だけをもつ回路に正弦波交流の電圧を加えると、電流の位相は電圧の位相よりも
π/2 radだけ進む。
問3 直流では作動しない計器
次の計器のうち、直流では作動しないものはどれか。
- 誘導型計器
- 可動コイル型計器
- 熱電対型計器
- 電流力計型計器
典型ミスと実務での注意
- 抵抗率と抵抗を混同する:
ρは材料固有の量、Rはその導体の長さ・断面積を含む抵抗です。単位も[Ω・m]と[Ω]で異なります。 - 面積の換算を忘れる:
1 mm² = 10⁻⁶ m²です。長さのmmと面積のmm²は変換係数が違います。 - 平均値と実効値を混ぜる:何を平均しているのか、電力を等しくする値かを問題文の条件で確認します。
- 位相の進み遅れを逆にする:「コイルで電流遅れ、コンデンサで電流進み」を、
π/2 rad = 90°とセットで覚えます。 - 計器名だけで使用可否を決める:現場では測定対象、電圧・電流の範囲、周波数、接続、検定・校正状態、取扱説明書を確認します。
消防用設備等の回路、非常電源、制御盤、起動回路に関わる施工・点検は、一般式の暗記で完結しません。設備方式、現行の技術基準、設計図書、機器の仕様書に従って確認します。
まとめ
- 直流回路は
V = IR、P = VI。直列・並列は接続図を見てから式を選ぶ。 - 導体抵抗は
R = ρL/S。長いほど大きく、太いほど小さい。 - 単位は
Ω・m、m²、V、A、Wを式の前にそろえる。 - コイルでは電流が90°遅れ、コンデンサでは90°進む。
- 計器は作動原理で分類し、直流・交流の適用と実機仕様を分けて確認する。
ここまでの考え方を、問題を解く順番で繰り返すなら、消防設備士「過去問テスト」で時間を測って確認してください。
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)noteの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
参考資料
本文の式は基礎モデルまたは問題条件として説明しています。実務では、最新の図面・機器仕様・適用規格および所轄の指導を確認してください。
次は【電気基礎①】オームの法則・抵抗・電力|消防設備士甲2・乙2【過去問】へ進みましょう。