資格試験

消防設備士と危険物取扱者はどっちを取る?違いと取る順番を両方の全類取得者が解説

消防設備士と危険物取扱者はどっちを取る?

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(本記事に関係するもの):消防設備士全類、危険物取扱者全類(甲種・乙種)
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版


この記事の結論

どちらを先に取るかは、就きたい仕事で決まります。

  • 消防用設備の点検・工事の仕事をするなら、消防設備士が先です。最初は受験資格のいらない乙種第6類から受けてください
  • ガソリンスタンドや化学工場など、危険物を扱う職場で働くなら、危険物取扱者が先です。多くの職場で求められるのは乙種第4類です

2つの資格は名前が似ていて試験を実施する団体も同じですが、資格でできることが違います。消防設備士は「建物の消防用設備を工事・整備する資格」、危険物取扱者は「ガソリンなどの危険物を取り扱う資格」です。どちらかを持っていても、もう一方の試験科目が免除されることはありません。

消防設備士と危険物取扱者を、資格の内容・主な職場・最初に受けることが多い区分・試験の形式・令和7年度の合格率(乙6 35.6%、乙4 31.9%)で比べ、お互いの科目免除はないことを示した表
強欲な青木
消防設備士と危険物取扱者って、名前が似ていて違いがよく分かりません。
どちらも消防法にもとづく2大国家資格なんですけど、だいたいの方が危険物しか知らないんですよね。消防設備士もあるんだよ、ともっと広めたいところです。
消防設備士

できる仕事の違い

項目 消防設備士 危険物取扱者
何の資格か 消防用設備等の工事・整備・点検をする資格 危険物の取扱作業と、その立ち会いをする資格
区分 甲種(特類・第1〜5類)、乙種(第1〜7類) 甲種、乙種(第1〜6類)、丙種
甲種と乙種の違い 甲種は工事・整備・点検、乙種は整備・点検 甲種はすべての危険物、乙種は免状の類の危険物、丙種は乙種第4類のうち指定された危険物(取扱作業のみ)
主な職場 消防設備の点検・工事会社、消防設備のメーカー など ガソリンスタンド、化学工場 など

出典:一般財団法人消防試験研究センター「消防設備士試験」https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/ 、「危険物取扱者試験」https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/ (確認日 2026-10-19)。主な職場は、厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)の「ガソリンスタンド・スタッフ」「化学製品製造オペレーター」の関連資格に危険物取扱者が挙がっていることなどから整理しました(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/198 、https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/300 、確認日 2026-10-18)。

消防設備士の類ごとの対象設備は、「消防設備士はどれから受けるべき?おすすめの順番」の記事で一覧にしています。
https://aokimarke.com/jyunban/

試験の違い(乙種どうしで比べる)

最初に受けることが多い「消防設備士 乙種第6類」と「危険物取扱者 乙種第4類」を比べます。

項目 消防設備士 乙種 危険物取扱者 乙種
受験資格 不要 不要
筆記 四肢択一 30問(消防関係法令10、基礎的知識5、構造・機能・整備15) 五肢択一 35問(危険物に関する法令15、基礎的な物理学及び基礎的な化学10、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法10)
実技 記述式 鑑別等5問 なし
試験時間 1時間45分 2時間
試験手数料 4,400円 5,300円
合格基準 筆記は科目ごとに40%以上・全体60%以上、かつ実技60%以上 科目ごとに60%以上

出典:一般財団法人消防試験研究センター「試験科目及び問題数」「試験の方法」(消防設備士 https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/annai/subject.html 、https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/annai/way.html /危険物取扱者 https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/annai/subject.html 、https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/annai/way.html 、確認日 2026-10-19)

大きな違いは2つです。

  • 消防設備士には、写真やイラストを見て答える記述式の実技試験があります。危険物取扱者には実技試験がありません
  • 合格基準の考え方が違います。消防設備士は全体で60%を取れば、科目ごとは40%でも合格できます。危険物取扱者は、どの科目も60%を下回れません
強欲な青木
危険物は実技がないなら、危険物のほうが楽そうですね。
化学タマスケ
化学タマ王
危険物取扱者は科目ごとに60%以上が必要です。物理・化学が苦手でも、その科目を捨てることはできませんよ。
強欲な青木
化学、高校以来です…

合格率の違い(令和5〜7年度)

区分 令和5年度 令和6年度 令和7年度
消防設備士 乙種第6類 38.1% 36.2% 35.6%
消防設備士 甲種第4類 32.3% 34.0% 34.5%
消防設備士 全体 34.0% 33.8% 35.4%
危険物取扱者 乙種第4類 32.0% 31.7% 31.9%
危険物取扱者 甲種 31.7% 35.2% 34.0%
危険物取扱者 丙種 48.4% 49.3% 48.0%
危険物取扱者 全体 38.9% 38.6% 38.3%

出典:一般財団法人消防試験研究センター「試験実施状況」令和5年度 https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/r05/ 、令和6年度 https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/r06/ 、令和7年度 https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/r07/ (確定値、確認日 2026-10-19)

どちらも入口の試験(消防設備士 乙6、危険物 乙4)の合格率は30%台で、大きな差はありません。受験者数は危険物取扱者 乙種第4類が令和7年度で222,545人と、消防設備士全体(100,198人)の2倍以上です。

なお、危険物取扱者の乙種第4類以外の類(第1〜3類、第5類、第6類)は、令和7年度の合格率が62〜68%と高めです。乙種の免状をすでに持っている人は「法令」と「物理・化学」が免除され、残りの10問だけを受けられるため、2つ目以降の類が受けやすくなっていることが影響していると考えられます(免除の内容は同センター「試験科目及び問題数」で確認。合格率への影響は編集部の推定です)。

科目免除はお互いに使えない

消防設備士の試験で科目免除の対象になるのは、他の類の消防設備士、電気工事士、電気主任技術者、技術士などで、危険物取扱者は含まれていません。危険物取扱者の試験で免除になるのも、他の類の危険物取扱者や火薬類の免状などです(同センター「試験科目及び問題数」と、消防設備士の「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」で確認、2026-10-19)。どちらかを先に取っても、もう一方の試験が短くなることはありません。

強欲な青木
危険物を持っていても、消防設備士の試験は何も免除されないんですか!?
データマスケ
データマ王
公式の免除一覧に、危険物取扱者は入っていません。逆に危険物の試験でも、消防設備士の免状では免除になりません。

青木の考え:消防設備の仕事なら消防設備士が先、危険物は「相性のいい資格」

ここからは青木本人の考えと経験です。

「消防法にもとづく2大国家資格」

青木は、消防設備士と危険物取扱者を「消防法にもとづく2大国家資格」と呼んでいます。消防署には2つの試験日程が並べて掲示されているのに、危険物取扱者しか知らない人が多い、とも話しています(YouTube「消防設備士と相性の良い国家資格トップ10」2025年7月16日公開)。

同じ動画で、青木は消防設備士と相性のいい国家資格の8位に危険物取扱者を挙げました。理由は次のとおりです。

  • 危険物は消防法で決められており、危険物施設にも消防設備が付く
  • 危険物の勉強をすると、消防設備の知識も深まる
  • お客様の建物の一部が危険物施設や少量危険物の扱いになっていることがあり、指定数量などの知識が役に立つ

1位は電気工事士でした。この順位に沿って考えると、消防設備の仕事をするなら、まず消防設備士と電気工事士を固め、その後に危険物取扱者を足す順番になります(順番としての整理は編集部によるもの)。10位までの資格と、それぞれ仕事にどうつながるかは、青木の公式サイトの記事で紹介しています。
https://www.aoki-of-greed.com/2026/10/15/消防設備士と相性の良い資格トップ10-電気工事士-点検資格-施工管理から次の学びを選ぶ/

消防設備士の中での取る順番は、「消防設備士はどれから受けるべき?おすすめの順番」の記事で解説しています。

青木自身の取得歴

青木は高専の学生だったころ、母に「危険物だけは取っときや」と言われ、友人とガソリンスタンドで働くことになったのをきっかけに危険物取扱者の乙種を取りました。そのときは役に立たなかったものの、今は関係する仕事に就いている、と話しています(YouTube「国家資格『消防設備士』の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」2026年4月18日公開)。学生時代に甲種と乙種全類をそろえています(書籍『消防設備士0類』第1章08)。

甲種は試験の2週間ほど前から勉強を始め、一度不合格になっています(青木本人への確認、2026年10月。YouTube「国家資格『危険物取扱者』甲種の試験に一発合格できる勉強方法を解説!」2026年7月6日公開でも不合格の経験を話しています)。

強欲な青木
危険物取扱者は、いつ取ったんですか?
高専のころ、おかんに「危険物だけは取っときや」と言われて、友達とガソリンスタンドで働くために取ったんです。そのときは何の役にも立たんかったですけど、今は関係ある仕事に就いてます。
消防設備士
強欲な青木
甲種は難しかったですか…?
甲種は試験の2週間前から勉強して、1回落ちてます…
消防設備士

会社としての評価((株)防災屋の資格手当)

青木が代表を務める(株)防災屋では、動画公開時点(2026年4月)の資格手当の制度で、危険物取扱者を「プラスアルファ区分」に入れ、甲種に月3,000円、乙種に月1,500円を付けていました。消防設備士(甲種は各類月3,000円、乙種は月1,500円)が「ベーシック区分」に入っていることと比べると、消防設備の会社では消防設備士が基本で、危険物取扱者は追加の資格という位置付けです(前掲の2026年4月18日公開の動画で示した「資格手当一覧」)。

資格手当の金額だけで優先順位を決めず、自分が働く現場で使うほうから取ってください。

危険物取扱者の勉強は、消防設備士の仕事で役に立つか

青木の答えは「大アリ」です(青木本人への確認、2026年10月)。本人が挙げた場面は次の3つです。

  • 危険物施設がある防火対象物を、点検先として担当したことがある
  • 工場や倉庫では、危険物をうっかり置き過ぎて消防法違反になっていたり、貯蔵・取扱いの方法について助言できたりする場面がある
  • 消防法にもとづく2大国家資格を全部持っていることが、プロの証明になる
強欲な青木
危険物取扱者って、消防設備の仕事で本当に使う場面があるんですか?
大アリです。危険物施設が点検先になる防火対象物もやったことがありますし、工場や倉庫だと、危険物をうっかり置き過ぎて消防法違反になっていることもある。貯蔵や取扱いの方法について助言できる場面もあるんです。
消防設備士
強欲な青木
資格を持っていると、お客さんへの説明にも説得力が出そうですね!
消防法にもとづく2大国家資格を全部持ってるってのが、プロの証明になりますからね。
消防設備士

例外:危険物取扱者を先に取ったほうがいい人

消防設備の仕事をするなら消防設備士 乙6から、危険物を扱う職場で働くなら危険物取扱者 乙4から、と分かれるフローチャート
  • すでにガソリンスタンドや化学工場などで働いていて、職場で危険物取扱者を求められている人
  • 就職・転職先が危険物を扱う会社に決まっている人

どちらを先に取っても無駄にはなりません。消防の仕事に関わるなら、最終的には両方取ってください。

次にやること

消防設備の仕事を目指す方は、まず消防設備士の取る順番を確認してください。
https://aokimarke.com/jyunban/

消防設備士の乙種第6類は、実際に出た問題をもとにした「過去問テスト」で本番形式の練習ができます。

危険物取扱者の乙種第4類を先に受ける方は、試験の区分・合格基準・勉強の進め方を「危険物取扱者の試験ガイド|甲種・乙種・丙種の違い、合格基準、合格率と過去問テスト」で確認してください。本番形式の練習には、PDF版の「過去問テスト」があります。

参考文献

  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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