著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類、危険物取扱者 甲種・乙種1〜6類・丙種
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版
この記事の結論
「21日で習慣になる」という話には、研究の裏付けがありません。健康に関する行動を毎日続けた人を調べた研究では、行動が自然にできるようになるまでの日数は人によって大きく違い、目安としては約2か月でした。資格の試験日によっては、習慣が身につく前に試験が来ることもあります。
だからこそ、「習慣になるまで待つ」のではなく、最初から続けやすい形を決めてください。
- いつ・どこで・何をやるかを先に決める(例:平日は帰りの電車で過去問を5問)
- 最初は小さく始める
- 勉強時間と、やった内容を記録する
- 1日休んでもやめない。次の日に戻ればよい
「21日で習慣化」は本当か
研究では、18日から254日までばらつきがあった
新しい行動を毎日続けた人を12週間調べた研究(Lallyら、2010年)があります。参加者は96人のボランティアで、食事、飲み物、運動のうち1つの行動を選び、毎日同じ場面で続けました。行動がどれくらい自然にできるようになったか(自動性)を本人に毎日答えてもらったところ、上限近くに達するまでの日数は、18日から254日と、人によって大きく違いました。
まとめると、目安は約2か月
習慣づくりの研究をまとめた分析(Singhら、2024年)では、習慣になるまでの日数を報告した4つの研究で、中央値が59〜66日、平均値が106〜154日、個人差は4日から335日でした。朝に行うことや、自分で選んだ行動であることが、習慣の強さに関わっていました。
どちらも、食事や運動、歯間の清掃などの健康行動の研究で、勉強の習慣を調べたものではありません。日数を報告した研究も4つだけです。それでも、「3週間で身につく」と考えるより、「2か月くらいかかるし、人によってもっと長い」と考えておくほうが、途中であきらめずに済みます。

1日休んでも、習慣づくりは崩れない
Lallyら(2010年)の研究では、1回やり忘れても、習慣づくりは大きく損なわれませんでした。
社会人は、残業や家のことで勉強できない日が必ず出ます。「1日休んだら全部おしまい」と考えると、2日目、3日目と休みが続きやすくなります。休んだ日があっても、次の日に戻れば大丈夫です。休む日を最初から決めておくのも1つの方法です。
続けやすい形の決め方
いつ・どこで・何をやるかを先に決める
「時間があるときにやる」と決めると、時間がある日は意外と来ません。「平日21時になったら、机で過去問を5問解く」のように、いつ・どこで・何をやるかを、条件と行動の形で先に決めておきます。
この「もし○○になったら、△△をする」という計画は、研究では「実行意図」と呼ばれます。実行意図の研究をまとめた分析(Gollwitzer & Sheeran、2006年)では、目標の達成に中程度から大きな効果があったと報告されています。勉強に限った研究ではありません。
| 場面 | 決め方の例 |
|---|---|
| 平日の通勤 | 帰りの電車に乗ったら、スマホで過去問の解説記事を1本読み、閉じて内容を思い出す |
| 平日の夜 | 夕食を食べ終えたら、机で過去問を5問解き、答え合わせまでする |
| 休日の朝 | 朝食の後、本番形式の問題を1科目分解く |
| 残業の日 | 寝る前に、その日間違えた問題を1問だけ解き直す |
最低ラインの決め方や、通勤時間の使い方は(通勤時間・1日30分で資格に受かる勉強法|残業がある日の最低ライン)で詳しく書いています。
最初は小さく始める
最初から1日2時間を目標にすると、達成できない日が続いて嫌になりがちです。最初の2週間は「過去問を5問」「解説記事を1本」くらいの量にして、毎日机に向かうこと自体を優先します。慣れてきたら量を増やします。
記録する
勉強した時間と、やった内容(読んだ・解いた・解き直した)を記録します。手帳でも、勉強時間を記録するアプリでもかまいません。記録すると、続いている日数が見えるので、途切れさせたくない気持ちが働きます。何をしたかも書いておくと、読む時間ばかりに偏っていないかも確かめられます。
国の統計では、仕事の研修などを除いた「学習・自己啓発・訓練」の時間は、学習しない人も含めた平均で1日13分でした(総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」)。毎日少しでも続けられれば、それだけで平均を大きく超えます。
週全体の時間の割り振り方は(資格勉強の計画の立て方|試験日から逆算して進捗を管理する)、社会人の資格勉強の全体の進め方は(社会人の資格勉強の始め方|時間・計画・続け方の全体像)で説明しています。
習慣にならないうちに試験日が来る場合
試験までの期間が2か月より短いと、習慣が身につく前に本番を迎えるかもしれません。その場合は、習慣にすることより、試験日までの計画を守ることを優先してください。
- 試験日から逆算して、毎日の量を決める
- 決めた量を、カレンダーや手帳に先に書き込んでおく
- できなかった分は、休日にまとめて取り戻す
勉強時間の目安は、青木マーケ(株)の勉強時間シミュレーターで、類ごとに確かめられます(https://aokimarke.com/study-time/ )。
青木の場合
会社員のころ、私は消防設備士の勉強を、平日2時間、休日5時間で手帳に記録していました。今なら、勉強時間を測って記録するアプリもあるので、そういうものを使うのでもいいと思います(2026年10月時点の本人の回答)。甲種4類のときも、試験の2週間くらい前から、平日2時間、休日5時間くらい勉強したと動画で話しています(YouTube「【📝甲4製図】国家資格「消防設備士」甲種4類の製図(平面図・断面図・系統図)の過去問を徹底解説!【実技試験】」2:02〜2:09)。私は実務で関わっていた分、短い期間で済んだという前提があります。
社員が乙6に挑戦した動画では、スマホでゲームをしていた時間や、ご飯を食べてすぐ寝ていた時間を、過去問テストの見直しに回してほしい、と話しました(YouTube「【🗓️試験まで1週間】乙6チャレンジ直前追い込み勉強企画 📑【消防設備士】」13:12〜13:24)。社会人の勉強時間は、新しく作るより、今ある時間の使い道を変えるほうが現実的です。
『消防設備士0類』では、仕事の記録について、「時間があるときにやろう」で何もやらない習慣が身に付くと抜け出しにくいので、最初からやるのが一番ラクだ、と書きました(書籍 第4章「アウトプット前提で業務に取り組む」、2023年執筆)。勉強も同じだと思います。
高専のころ、成績が下のほうだった私が気づいたのは、理数系が得意な同級生は、数学のテストの2〜3週間前から数学の勉強を始めていたということです。理数系が得意な人は、才能があるというより、その科目に勉強の時間を割いている人だと、今でも思っています(本人の振り返り)。
研究の限界
- Lallyら(2010年)とSinghら(2024年)は、食事・運動・歯間の清掃などの健康行動の研究です。勉強の習慣を直接調べた研究は、今回の調査では見つかっていません。
- Singhら(2024年)で習慣になるまでの日数を報告した研究は4つだけです。よく引用される「66日」という数字は、Lallyら(2010年)の抄録では確認できていないため、この記事では使っていません。
- 実行意図(Gollwitzer & Sheeran、2006年)の効果の大きさは、原文の数値を確認できていないため、「中程度から大きい」という表現にとどめています。
- 「最初は小さく始める」「記録する」は、研究で効果を比べた方法ではなく、私たちの経験にもとづく提案です。
次にやること
- 試験日と勉強時間の目安を確かめる
- 消防設備士試験の勉強時間シミュレーター https://aokimarke.com/study-time/
- 「いつ・どこで・何を」を1つ決め、明日から始める。最初の題材は類別の過去問まとめが使いやすい
- 消防設備士 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
- 消防設備士 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
- 消防関係法令(共通)の過去問・解説まとめ https://aokimarke.com/kyotsu/
- 毎日の勉強が回り始めたら、休日に本番と同じ問題数・形式で解いて、続けてきた成果を確かめる
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- ほかの類:過去問テストの商品一覧 https://aokimarke.store/collections/all
過去問テストは、本番と同じ問題数・形式でマークシートを使って解く教材です。毎日の勉強の成果が本番の形式で点になっているかを、休日に確かめる目標として使ってください。
関連記事:社会人の資格勉強の始め方(社会人の資格勉強の始め方|時間・計画・続け方の全体像)、資格勉強の計画の立て方(資格勉強の計画の立て方|試験日から逆算して進捗を管理する)、通勤時間・1日30分で資格に受かる勉強法(通勤時間・1日30分で資格に受かる勉強法|残業がある日の最低ライン)
参考文献
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. https://doi.org/10.1002/ejsp.674
- Singh, B., Murphy, A., Maher, C., & Smith, A. E. (2024). Time to form a habit: A systematic review and meta-analysis of health behaviour habit formation and its determinants. Healthcare, 12(23), 2488. https://doi.org/10.3390/healthcare12232488
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119. https://doi.org/10.1016/S0065-2601(06)38002-1
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約」https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/youyakua.pdf (2026年10月18日確認)
- 青木マーケ(株)「消防設備士試験の勉強時間シミュレーター」https://aokimarke.com/study-time/ (2026年10月19日確認)