消防設備士

消防設備の図面の読み方|新人が最初に覚える記号12個と、読む順番

消防設備の図面の読み方

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
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保有資格(本記事に関係するもの):消防設備士全類、第二種電気工事士
確認日:2026年10月21日
更新内容:初版


この記事の結論

消防設備の図面は、次の順番で読むと迷いにくくなります(読む順番は、青木の製図の講義と標準図をもとにした編集部の整理です)。

1.凡例で記号を確かめる
2.図面の種類(平面図・断面図・系統図)と、階・条件を読む
3.受信機と機器収容箱の位置を探す
4.警戒区域の線と番号を見る
5.感知器の種類と数を数える
6.配線をたどる(終端抵抗・立上り・引下げ)

記号は全部を一度に覚えなくて大丈夫です。新人が最初に覚えたいのは、自動火災報知設備の感知器・発信機・ベル・表示灯・受信機・機器収容箱と、配線まわりの記号の12個です。記号の形は、国土交通省の「公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)」で確認できます。この標準図は、図示記号は JIS C 0303「構内電気設備の配線用図記号」によると定めています。

差動式スポット型感知器、定温式スポット型感知器、煙感知器、炎感知器、P型発信機、警報ベル、表示灯、受信機、機器収容箱、終端抵抗、立上り、引下げの12個の図記号と名前を並べた表
強欲な青木
図面って記号だらけで、どこから見ればいいのか分からないんですけど…。
試験の図面には凡例が書いてあるんで、受信機の記号がこれで、とかは覚えておかなくていいです。ただ、実務で図面を引くときは、もちろんそれを覚えておいて書くんですけどね。
消防設備士

最初に覚える記号12個

自動火災報知設備は、感知器や発信機で火災を見つけ、受信機に知らせ、ベルで建物の人に知らせる設備です。図面でも、この流れに沿って記号を覚えると整理しやすくなります。

まとまり 記号の名前 形の特徴
感知器 差動式スポット型感知器 半円の平らな辺に沿って、内側にもう1本の横線
感知器 定温式スポット型感知器 半円だけ
感知器 煙感知器 四角の中に S、上部に横線
感知器 炎感知器 円の中に三角
知らせる機器 P型発信機 円の中に P
知らせる機器 警報ベル 円の中に B
知らせる機器 表示灯 円の左半分が黒
盤・箱 受信機 長方形の中に対角線と十字
盤・箱 機器収容箱 長方形だけ
配線 終端抵抗 Ω
配線 立上り 小さな円から斜め上へ矢印
配線 引下げ 小さな円から斜め下へ矢印

出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版」図示記号(3ページ「配管配線」、17〜18ページ「自動火災報知装置」)https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001879276.pdf (同標準図は JIS C 0303「構内電気設備の配線用図記号」によると明記。確認日 2026-10-21)

感知器の種別(1種・2種など)や、防水形・埋込形などの違いは、同じ標準図で記号に線を足したり、傍記(記号の横に書く文字)で区別したりします。最初は上の基本の形を覚え、違う形が出てきたら凡例で確かめれば十分です。

発信機・ベル・表示灯は「機器収容箱」にまとまることが多い

P型発信機・警報ベル・表示灯は、機器収容箱にまとめて納める組み合わせがよく使われ、現場では「総合盤」と呼ばれます(青木の講義でも、試験の図面に出る総合盤として紹介しています)。図面で機器収容箱の近くにこの3つの記号が並んでいたら、「ここが押しボタンとベルのある場所」と読めます。

発信機と地区音響装置(ベルなど)の位置には、法令の決まりがあります。発信機は各階の各部分から歩行距離50m以下、地区音響装置は各階の各部分から水平距離25m以下になるように設けます(消防法施行規則 第24条)。図面で機器収容箱の数と位置を見るときは、この距離を思い出すと「なぜここにあるのか」が分かります。

強欲な青木
図面を引く人は、その距離をどうやって確かめてるんですか?
実務で図面を引くときは、まず半径25mの円をパッと打って、その円の中に収まるような位置に総合盤をピッと置いてやる、みたいなことをします。
消防設備士

(総合盤:現場で、発信機・ベル・表示灯をまとめた盤を呼ぶ言い方です)

図面を読む順番

凡例で記号を確かめる、図面の種類と階・条件を読む、受信機と機器収容箱の位置を探す、警戒区域の線と番号を見る、感知器の種類と数を数える、配線をたどるの6ステップと、天井隠ぺい配線・床隠ぺい配線・露出配線の線の違いを示した図

1.凡例で記号を確かめる

図面には、その図面で使う記号を説明した凡例が付いていることが多くあります。知らない記号が出てきたら、自分の記憶より先に凡例を見てください。凡例は、その図面で使うルールそのものです。

2.図面の種類と、階・条件を読む

自動火災報知設備の図面には、主に平面図(階ごとに上から見た図)、断面図(建物を縦に切った図)、系統図(受信機から各階への配線のつながりを示した図)があります。甲種4類の製図の試験でも、この3つが出ます(青木の甲種4類製図の講義、2026年5月9日公開)。

まずは「何階の、どの図か」を確かめ、図面の端に書かれた条件(建物の用途、階数など)を読みます。

3.受信機と機器収容箱の位置を探す

受信機は、建物全体の火災信号が集まる場所です。平面図で受信機の記号を見つけ、次に各階の機器収容箱(発信機・ベル・表示灯)を探すと、配線の出発点と中継点が分かります。

4.警戒区域の線と番号を見る

警戒区域は、火災が起きた場所を受信機で区別するための区切りです。青木の講義では、警戒区域を数えて丸で囲んだ番号を付けるところから平面図を作っています。図面では区域の境目の線と番号を見て、自分が見ている部屋が何番の区域に入るかを確かめます。

5.感知器の種類と数を数える

部屋ごとに、どの感知器(差動式・定温式・煙など)が何個付いているかを数えます。感知器の種類と付ける場所は、消防法施行規則 第23条の設置基準で決まっています。部屋によって種類が違う理由を設置基準と照らし合わせると、図面を見るのが面白くなってきます。

6.配線をたどる

最後に、受信機や機器収容箱から感知器へ、線をたどります。自動火災報知設備の感知器の配線は、感知器から感知器へ一筆書きのように順に送る「送り配線」で、その最後に終端抵抗(Ω)が付きます。階をまたぐところには、立上り・引下げの記号があります。

線の種類にも意味があります。標準図では、天井隠ぺい配線は実線、床隠ぺい配線は長い線と短い線の繰り返し、露出配線は破線で描きます(国土交通省「公共建築設備工事標準図(電気設備工事編)令和7年版」3ページ)。

強欲な青木
系統図になると、急に何が何だか分からなくなるんです…。
系統図は、たぶん現場を知らない方が一番想像しにくくて、意味が分からんってなるところなんです。でも、受信機に近いところが一番電線が多くて、離れていくごとに役割を果たした電線の数を減らしていく、っていうルールが分かったら簡単です。
消防設備士

図面は、机の上で眺めるより、現場で実物と見比べたほうが早く覚えられます。点検や工事で建物に入ったら、図面の記号を指でたどりながら、天井の感知器や機器収容箱の場所と照らし合わせてみてください。

(株)防災屋で新人に図面をどう教えているかを青木に聞くと、「現場やりながら、調べながら、やな」という答えでした(青木本人への確認、2026年10月)。最初に見せる図面や覚える記号の順番に決まりはなく、現場で仕事をしながら、分からない記号はその場で調べて覚えていくやり方です。

試験の製図と、実務の図面の違い

甲種4類の製図の試験では、凡例が問題に書かれているので、記号そのものを暗記していなくても解けます。一方、実務では自分で図面を引くこともあるので、記号は覚えておく必要があります。青木も、試験のときは覚えておかなくていいが、実務で図面を引くときは覚えて書く、と話しています(前掲の講義)。

試験の製図 実務の図面
記号 凡例が問題に書いてある 凡例がない図面もある。覚えておくと速い
やること 条件を読んで、記号と配線を書き込む 図面を読んで、現場の機器と配線を確かめる・直す
練習のしかた 過去問を白紙から書く(「消防設備士の製図の練習の進め方|類を問わない基本と、類別の対策への入口」) 現場で図面と実物を見比べる

試験に向けた製図の練習方法は、こちらで詳しく解説しています。(消防設備士の製図の練習の進め方|類を問わない基本と、類別の対策への入口)

新人が図面を読めるようになる前に、まず設備の名前と場所を一致させる段階があります。新人が一人前になるまでの段階は、こちらにまとめています。(消防設備士の新人が一人前になるまで|覚える順番と、資格と実務の差)

図面の記号は、試験勉強のときから実物の写真と結びつけて覚えておくと、入社後に図面を読むときの助けになります。

次にやること

甲種4類の製図は、甲種を目指す人にとって最初の関門だと、青木は書籍『消防設備士0類』に書いています。書籍の紹介はこちらです。
https://aokimarke.com/0rui-revised/

『消防設備士0類』(Amazon・電子書籍)
https://amzn.to/49YGHP1

自動火災報知設備の記号と製図は、甲種第4類の試験で問われます。実際に出た問題をもとにした「過去問テスト」で、本番形式の練習ができます。

参考文献

  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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