統括防火管理者とは
統括防火管理者とは一つの建物で複数の防火管理者がいる場合に一人だけ選任される、全体の防火管理業務を統括する防火管理者の代表者を指します。
統括防火管理者を定める理由
平成20年の大阪市個室ビデオ店火災により死者15名、平成21年の東京都高円寺南雑居ビル火災により死者4名が発生するなど、雑居ビルを中心に死者が発生するような火災が繰り返し発生しました。
これらの原因として「テナント部分の防火管理と廊下や階段等の共用部分を中心とした建物全体の防火管理体制の役割分担・責任の所在が明確ではなかったこと」が挙げられた為、管理権原が分かれている建物については建物全体を統括して防火管理業務を行う「統括防火管理者」およびテナント部分の防火管理業務を行う「防火管理者」をそれぞれ定めて防火管理の役割分担と責任の所在を明確にすることが消防法上で規定されたのです。
統括防火管理者の選任例
以下の様な複数の管理権原者が異なるテナントの入った雑居ビルで防火管理者が別々に選任されている場合、防火管理者の代表として統括防火管理者を選任します。
統括防火管理者の選任義務がある建物
以下の条件に当てはまり、かつ管理権原が分かれている防火対象物については統括防火管理者の選任義務が生じます。
防火対象物の種類 | 階数 | 収容人員 | |
1. | 高さ31mを超える防火対象物 | - | - |
2. | 消防長または消防署長が指定する地下街 | - | - |
3. | 準地下街 | - | - |
4. | (6)項ロ (16)項イに(6)項ロが存する防火対象物 | 3階以上 (地階を除く) | 10人以上 |
5. | 特定防火対象物 | 3階以上 (地階を除く) | 30人以上 |
6. | (16)項ロ 非特定用途の複合防火対象物 | 5階以上 (地階を除く) | 50人以上 |
参考消防法施行令 第3条の3〔統括防火管理者を定めなければならない防火対象物〕
統括防火管理者に選任できる人
統括防火管理者になるための資格は無く、防火管理者講習修了者かつ以下の条件を満たす者が統括防火管理者の選任対象となります。
統括防火管理者になるには
統括防火管理者に選任される際にも防火管理者講習の修了証が必要。
統括防火管理者が実施する防火管理業務
統括防火管理者は分かれた管理権原毎に選任されている防火管理者と協議し、建物全体の消防計画を作成・届出および内容に基づく訓練の実施などを行います。
その他、統括防火管理者についてご不明な点など御座いましたら弊社HPより問い合わせ下さいませ。
【過去問】統括防火管理者とは?選任要件について解説!
次のアからエまでの防火対象物のうち、防火管理者を定めなければならないものとして消防法令上、正しいものの組合せはどれか。(甲1大阪)
- ア 老人短期入所施設で、収容人員が10人のもの
- イ 飲食店で、収容人員が20人のもの
- ウ 物品販売店舗で、収容人員が30人のもの
- エ 事務所で、収容人員が40人のもの
1 ア、イ
2 ウ、エ
3 ア、ウ
4 イ、エ
防火対象物の防火管理者に選任された者が行わなければならない業務として、消防法令に定められていないものは次のうちどれか。(乙1大阪)
1 消防計画の作成
2 火気の使用または取扱いに関する監督
3 収容人員の管理
4 防火管理者の解任の届出
防火管理に関する次の記述において、文中の[ ]に当てはまる語句の組合せとして消防法令上、正しいものはどれか。
「[ ア ]は、消防の用に供する設備、消防用水もしくは消火活動上必要な施設の[ イ ]および整備または火気の使用もしくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。」(甲1滋賀)
1 [ア]防火管理者、[イ]工事
2 [ア]管理について権原を有する者、[イ]工事
3 [ア]管理について権原を有する者、[イ]点検
4 [ア]防火管理者、[イ]点検
防火対象物点検資格者に関する次の記述のうち、文中の【 】に当てはまる語句として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。
「消防設備士が防火対象物点検資格者となるための条件の一つとして、消防用設備等の工事・整備または点検について【 】以上の実務経験が必要である。」(乙6奈良)
1 1年
2 2年
3 3年
4 4年
新築工事中の防火対象物において、防火管理者を選任しなければならないものは次のうちどれか。ただし建築物は、すべて外壁および床または屋根を有する部分であって電気工事等の工事中のものとし、収容人員は50人以上とする。
- 地階ではなく階数が5で、延べ面積が30,000㎡の建築物
- 地階を除く階数が11で、延べ面積が3,000㎡の建築物
- 地階の階数が4で、延べ面積が3,000㎡の建築物
- 地階の床面積の合計が5,000㎡の建築物
管理について権原が分かれている次の防火対象物のうち、統括防火管理者を定めなければならないものとして消防法令上、誤っているものはどれか。ただし防火対象物は高層建築物(高さ31mを超える建築物)ではないものとする。(甲4奈良)
- 地階を除く階数が3の特別養護老人ホームで、収容人員が60人のもの
- 地階を除く階数が5の事務所で、収容人員が80人のもの
- 2階をカラオケボックスとして使用する地階を除く階数が3の複合用途防火対象物で、収容人員が50人のもの
- 地階を除く階数が5の病院で、収容人員が70人のもの
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、随時追記して解説を更新していきます。