著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事(本人確認 2026-10-19)
保有資格:消防設備士(甲種特類・甲種1〜5類・乙種6類・乙種7類)、第二種電気工事士ほか
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版
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この記事の結論
消防設備士が独立すると、毎月決まった給料ではなく、売上から材料費・外注費・車や道具の費用などを引いた残りが、自分の収入になります。売上が大きくても、手元に残るお金が会社員の給料より多いとは限りません。
書籍『消防設備士0類』で青木は、元の会社の仕事を安く請け負ったり、日当の応援だけをしたりする独立は、雇用形態が変わって労働条件が悪くなっただけだ、と書いています(書籍 第1章。2023年執筆時の考え)。独立で収入を上げるには、自分でお客様とつながって仕事を取る力が欠かせません。
お金の準備では、次の3つを分けて見積もってください。
- 初めにそろえるもの(車、試験器具、工具、パソコン、仕事をする場所など)
- 事業を回すお金(材料、外注、移動、固定費、入金までに立て替える支払い)
- 生活の備え(本人と家族の生活費、売上が安定しない期間の備え)
会社員と独立で、お金の流れはどう違う?
| 会社員 | 独立(個人事業主・法人) | |
|---|---|---|
| 収入 | 毎月の給料と賞与 | 売上から経費を引いた残り |
| 仕事の取り方 | 会社が取ってきた仕事をする | 自分でお客様とつながって取る |
| 経費 | 車・道具・事務所などは会社が負担 | 自分で負担する |
| 入金 | 毎月決まった日に給料が入る | 仕事を納めてから入金まで時間がかかることがある |
| 手続き | 税や社会保険の手続きは会社が行う部分が多い | 自分で行う(専門家に依頼することも多い) |
税や社会保険の手続きと負担は、個人事業主か法人か、家族を雇うかなどで変わります。税理士や社会保険労務士、行政の窓口で確かめてください。
独立で収入が増える人、減る人
自分でお客様とつながれるか
書籍で青木は、食べていける消防設備士になるには「営業力」が欠かせない、と書いています。技術がどれだけ高くても、お客様とつながる力がなければ、その技術を見せる機会がない、という考えです(書籍 第1章)。
元の会社や同業者の下に入って仕事をもらう場合は、できるだけ応援ではなく、技術で勝負する職人の立場で入る方が単価が高い、とも書いています。お客様と消防設備士の間に会社が入るほど、お客様の支払いが増えるか、消防設備士が安く買いたたかれる、というのが青木の考えです(書籍 第1章)。
独立後の仕事の取り方(応援仕事と直接契約、見積り、資金繰り)は(消防設備士の独立後の仕事の取り方|応援仕事と直接契約、見積りと資金繰り)で解説します。
会社に残っても稼げる力があるか
書籍では、現場で施工管理をする役割と、組織で人を束ねる役割の両方を担える人なら、会社に残っても独立しても年収1,000万円を得られる、と書いています(書籍 第5章)。独立は、収入を上げるための唯一の方法ではありません。会社で年収を上げる方法は(消防設備士が年収を上げる方法|環境と役割で上限が決まる)をご覧ください。
独立はゴールではなく手段です。会社に残っても稼げる力を付けてから独立する方が、結果的に失敗しにくいと思います
独立の準備で見積もるお金
初めにそろえるもの
- 車
- 試験器具・測定器・工具
- パソコン、スマートフォン、クラウドサービス
- 仕事をする場所(事務所・倉庫)
- Webサイト、名刺
点検が中心か工事も行うか、借りられる器具があるかで、必要な物は変わります。道具の選び方は「消防設備士1年目の工具・点検器具」で解説しています。
会社員のうちに取れる資格は、独立前に取っておいてください。独立すると、資格を取る時間も、取る理由も減りがちです
事業を回すお金
- 材料の仕入れ
- 外注費
- 移動にかかる費用
- 保険
- 税理士・社会保険労務士などの専門家への費用
- 入金までの間に立て替える支払い
仕事を納めてから入金されるまでの間にも、材料や外注の支払いが先に来ることがあります。契約上の入金時期と支払時期を確かめ、いつお金が必要になるかまで見ておくと安心です。
生活の備え
売上が安定するまでの生活費を、事業のお金とは分けて用意します。
生活費の備えがあると、目先のお金のために安い仕事へ飛びつかずに済みます
「初めにそろえるもの」「事業を回すお金」「生活の備え」の3つの考え方と、独立前に書き出したいチェックリストは「消防設備士の独立準備」で詳しく解説しています。
青木の場合、青木マーケ(株)は資本金1万円で始め、今は増資して500万円です。(株)防災屋は資本金500万円で起業し、1,000万円に増資しました。最初は月々の固定費の方が大きく、お金がどんどん減っていく恐怖で苦労したといいます。赤字になっていた取締役2名を解任することで、立て直すことができたそうです(本人回答、2026年10月)。
固定費は、売上が立つ前から毎月出ていきます。独立直後は、固定費をできるだけ小さく始める方が、気持ちにも余裕を持てると思います。
建設業許可と「500万円」
建設業の許可は、建築一式工事以外の工事では、1件の請負代金が500万円未満(税込)の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合には、必ずしも受けなくてもよいとされています。許可を受けるには、一般建設業の場合、財産的基礎等として「自己資本500万円以上」「500万円以上の資金調達能力」などのいずれかに当てはまることのほか、経営業務の管理や営業所の技術者などの要件があります(国土交通省「建設業の許可とは」「許可の要件」、2026年10月19日確認)。
請け負う工事の内容と、必要な経験・書類は、許可行政庁や申請を扱う専門家に確かめてください。
独立後に数字で見るもの
独立後は、年収(手元に残るお金)を、次の数字に分けて見ると、どこを直せばよいかが分かりやすくなります。
| 数字 | 見る理由 |
|---|---|
| 問い合わせの件数 | 仕事の入口が足りているか |
| 見積りの提出数と受注率 | 見積りが仕事につながっているか |
| 1件あたりの受注額と粗利 | 安く請け負いすぎていないか |
| 入金までの日数 | 立て替えが続いて資金が苦しくならないか |
| 紹介とWebからの依頼の割合 | 紹介だけに頼っていないか |
| くり返し依頼してくれるお客様の割合 | 点検のように続く仕事を持てているか |
書籍では、点検は定期的に続く仕事で、点検で見つかった不具合の改修も続けて請け負うことが多いので、消防設備業は「潰れにくい」と書いています(書籍 第2章)。続く仕事を持てているかは、独立後の安定に直結します。
青木の経験と考え
青木は、新卒で入った大企業を半年で辞め、その後、祖父が起こした消防設備会社で約10年働いてから独立し、2023年に青木マーケ(株)、2024年に(株)防災屋を設立しました(書籍 改訂版あとがき・著者略歴、本人回答)。
書籍で青木は、10年前の自分に一言だけ伝えられるなら「消防設備士は、最初から独立する前提で取り組むべき」と伝える、と書いています。いつでも独立できる状態でいることは、独立するかどうかに関わらず、人生の安定性を高める、という考えです(書籍 序章・第4章)。
会社員のときと比べて一番変わったのは、お金を「もらうもの」ではなく「稼ぐもの」だと捉えるようになったことだといいます。自分の頑張りでお金を増やせるという自己効力感が、ビジネスを押し上げているそうです。一方で、稼げる額が増えても全然安心・安泰ではない、という危機感も生まれ、それを養えたことも大事なステップアップだった、と話しています(本人回答、2026年10月)。
次に読む
- (消防設備士の独立後の仕事の取り方|応援仕事と直接契約、見積りと資金繰り)
- 消防設備士の独立準備(aoki-of-greed.com)
- 独立しても食える消防設備士が身につけているスキル(/setsubishi-kueru/)
独立を前提にした働き方と、食べていける消防設備士の営業力は、書籍『消防設備士0類』の第1章「食える消防設備士の仕事」と第4章で詳しく書いています。本は2023年に書いたもので、統計の数字や著者の肩書きなど現在と違う点があります(紹介ページ)。
(別枠)独立を考えている消防設備士の方へ
青木が代表を務める(株)防災屋では、一緒に仕事をする協力業者を募集しています。
参考文献
- 国土交通省「建設業の許可とは」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html 、「許可の要件」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html 確認日:2026年10月19日
- 青木俊輔『消防設備士0類 〜消防設備士をする前に読む本〜』改訂版、電子書籍(Amazon Kindle)、本文2023年、改訂版あとがき2024年以降。序章、第1章08、第2章06、第4章03、第5章、改訂版あとがき、著者略歴。確認日:2026年10月19日
- 青木俊輔 本人回答(2026年10月19日、チャット)
- 青木マーケ(株) 既存計画の原稿「消防設備士として独立・開業するには?」(seo-support-articles/06、社内資料)