これから消防設備士の試験を受ける方、既に消防設備士の免状を取得して業務に従事されている方も今一度、確認しておきましょう!
消火器の機能点検
消火器の機能点検は二酸化炭素消火およびハロゲン化物消火器を除き、外形の点検で安全栓・安全栓の封・緊結部等に異常が認められたものに対して行う。
(※使用済みの表示装置が設けられているもので、装置が脱落や作動していないものも除く)
しかし上記の部分に異常が無くても化学泡消火器の場合は設置後1年、加圧式消火器は製造年から3年、蓄圧式消火器は製造年から5年経過したものも消火器の機能点検を行う必要がある。
なお、年数経過における点検対象は蓄圧式消火器および、粉末消火器(加圧式を含む)は抜取り方式により行うことが出来る。
※経過したものとは、『超えた』ものなので3年経過は3年を含まない。
例:製造年が2000年の加圧式消火器は、2004年に最初の内部及び機能点検を行う)
機能点検の対象となる消火器の覚え方(例)
- 二酸化炭素消火器やハロゲン化物消火器は「高圧ガス容器」であり、消防設備士の手に負えないので免除。
- 化学泡消火器は薬剤を1年ごとに交換しなければならないので、ついでに内部の点検をする。
- 加圧式消火器は内部が大気圧のため、外部から異物等が侵入する恐れがある為、3年経過。
- 蓄圧式消火器は内部が常時加圧されていて、異物等の侵入の可能性が低い為、5年経過。
- 蓄圧式は密閉されているので、外形の点検で異常がなければ内部も大丈夫だろうけど、念のため抜取り試料を点検する。
- 粉末消火器は設置数が多すぎるので抜取り方式になった。
年数経過により内部及び機能点検を行う対象の表
器 種 | 加 圧 方 式 | 対 象 と す る 経 過 年 数 | 点 検 対 象 数 |
水 | 加圧式 | 製造年から3年経過 | 全数 |
蓄圧式 | 製造年から5年経過 | 抜取り数 | |
強化液 | 加圧式 | 製造年から3年経過 | 全数 |
蓄圧式 | 製造年から5年経過 | 抜取り数 | |
化学泡 | 加圧式 | 設置後1年経過 | 全数 |
機械泡 | 加圧式 | 製造年から3年経過 | 全数 |
蓄圧式 | 製造年から5年経過 | 抜取り数 | |
粉末 | 加圧式 | 製造年から3年経過 | 抜取り数 |
蓄圧式 | 製造年から5年経過 | 抜取り数 |
確認試料(確認ロット)の作り方
消火器の種類の『器種』、大型、小型の『種別』、蓄圧式や加圧式の『加圧方式』の同一のものを1ロットとする。
ただし、製造年から8年を超える加圧式粉末消火器と、10年を超える蓄圧式消火器は別ロットにする。
試料の抜取り方
上記の(1)でロット分けしたもので、3年超え〜8年以下の加圧式粉末消火器と、5年超え〜10年以下の蓄圧式消火器は、5年で全数の点検が出来るように概ね均等な数に割り、古いものから抽出する。※1
8年超えの加圧式粉末消火器と10年超えの蓄圧式消火器は2.5年で全数の点検が出来るように均等な数に割り、古いものから抽出する。※2
(※1)消防設備点検は年に2回、それを5年間で合計10回。該当本数が30本ならば点検1回につき3本ずつ、製造年の古いものから行う。
(※2)消防設備点検は年に2回、それを2.5年間で合計5回。該当本数が30本ならば点検1回につき6本ずつ、製造年の古いものから行う。
抜取り方式の場合の判定
1 欠陥がなかった場合
- 当該ロットは良とする。
2 欠陥があった場合
- (1)消火薬剤の固化又は容器内面の塗膜のはくり等の欠陥がある場合は、欠陥試料と同一メーカー、同一質量、同一製造年のもの全数について欠陥項目の確認を行う。 ただし、内面塗膜のはくりが明らかに外部からの衝撃によるものと判断されるものは、この限りでない。
- (2)(1)以外の欠陥がある場合は、欠陥のあった試料について整備するよう指示する。
本体容器および内筒等
本体容器
腐食、防錆材料の脱落等がないこと。(裏面等の見にくい箇所は照明器具や反射鏡により確認する)
※ 本体容器内面に著しい腐食、防錆材料の脱落等のあるものは廃棄すること。
内筒等
内筒や、内筒の蓋、内筒封板に変形、損傷、腐食、漏れ等がないこと。
液面表示
液面表示が明確なこと。
消火薬剤
性状
変色、腐敗、沈澱物、汚れ等がないこと(個々にポリバケツ等に移して確認する)。
固化していないこと(個々にポリ袋等に移して確認する)。
消火薬剤量
質量を測り、第1-2表の許容範囲内であること。
液面表示で表示しているものは、液面表示により確認する。
加圧用ガス容器
変形、損傷、著しい腐食がなく、封板に損傷がないこと。
液化炭酸ガスまたは窒素ガス、混合ガス封板式のものにあっては第1-3表に示す許容範囲内にあること。
容器弁付窒素ガスのものにあっては第1-5図に示す所定圧の範囲内にあること(秤量や圧力計により確認する)。
※ 取り付けねじには右ねじのものと左ねじのものがあるから注意すること。
カッターおよび押し金具
変形、損傷等がなく、円滑かつ確実に作動すること(ガス容器を外した状態で行う)。
ホース
ホースおよびホース接続部に詰まり等がないこと(ホースを外して確認する)。
※詰まりのあるものは清掃すること。
開閉式ノズルおよび切替式ノズル
ノズルの開閉又は切替操作が円滑かつ確実に作動すること(操作して確認する)。
指示圧力計
円滑に作動すること(容器内圧を排出するときに動きを確認する)。
使用済みの表示装置
※ 日本ドライケミカル(株)製の消火器の『プレッシャーアイ』のこと
円滑に作動すること(作動軸を手で操作して確認する)。
圧力調整器
(次の操作をして確認する)
①消火器本体容器との連結バルブを閉める。
②加圧用ガス容器のバルブを開き、圧力計の指度及び指針の作動を確認する。
③加圧用ガス容器のバルブを閉め、高圧側の指度を確認する。なお、指度が下がった場合は、漏れの箇所を確認する。
④圧力調整器の逃がし弁又はガス導入管の結合部を緩めてガスを放出し、元の状態に復元する。
針の作動が円滑であり、調整圧力値が緑色範囲内であること。
安全弁および減圧孔(排圧栓を含む)
変形、損傷、詰まり等がないこと。※詰まりのあるものは清掃する。
排圧栓は確実に作動すること(操作して確認する)。
粉上り防止用封板
変形、損傷等がなく、確実に取り付けられていること(手で確認する)。
パッキン
変形、損傷等がないこと。
サイホン管およびガス導入管
変形、損傷、詰まり等がないこと(通気等により確認する)。 ※詰まりのあるものは清掃すること。
取付部の緩みがないこと。※ネジで緩みのあるものは締め付け直しをする。
ろ過網
損傷、腐食、詰まり等がないこと。※詰まりのあるものは清掃する。
放射能力
放射状態が正常であること。
※器種別に抜取り方式で10%以上の本数で行うが、蓄圧式や加圧式粉末の抜取り方式で試料を点検したものはその内の50%以上の本数で行う。
※車載式の消火器は放射能力試験は行わなくてよい
※外形の点検で腐食の認められたものは放射しないこと。
※放射が不能のもの又は著しく異常があるものは各項目の点検をしながら原因を確認し、該当項目の判定に従って処置すること。
それを踏まえて後半の過去問&解答・解説から「総務省消防庁(ルールを作った側)」の意図まで察してみて下さいませ。
消火器の耐圧性能試験
製造年から10年を経過したもの、または外形の点検において本体容器に腐食等が認められたものに実施する。ただし、この点検を実施してから3年を経過していないものを除く。
消防設備士試験の過去問(点検・整備)
粉末消火器の点検上の主眼点として、適当でないものは次のうちどれか。
- キャップを外し、薬剤が固化していないかどうかをなるべく頻繁に検査する。
- 安全封印が切れていないこと。
- 規定どおりの質量があるか調べる。
- ノズルレバーの作動が円滑であること。
消火器の内部および機能に関する点検のうち、放射能力を除いた項目の点検について、誤っているものは次のうちどれか。
- 加圧式の強化液消火器が、製造年から3年を経過したものについて、点検を全数行う。
- 加圧式の機械泡消火器は、製造年から3年を経過したものについて、点検を全数行う。
- 加圧式の化学泡消火器は、製造年から3年を経過したものについて、点検を全数行う。
- 加圧式の粉末消火器は、製造年から3年を経過したものについて、点検を抜取りにより行う。
開がい転倒式の大型化学泡消火器の点検項目に含まれないものは、次のうちどれか。
- 内筒・内筒封板・ハンドル軸
- ろ過網
- 圧力調整器
- ホース・ノズル
消火器の機能点検のうち、内部および機能の点検に関する記述について、正しいものは次のうちどれか。
- 蓄圧式の強化液消火器は、製造年から3年を経過したものについて、必ず全数の内部および機能の点検を行う。
- 蓄圧式の機械泡消火器は、配置後3年を経過したものについて、必ず全数の内部および機能の点検を行う。
- 二酸化炭素消火器は、製造年から3年を経過したものについて、抜取りにより内部および機能の点検を行う。
- 加圧式の粉末消火器は、製造年から3年を経過したものについて、抜取りにより内部および機能の点検を行う。
内部および機能の確認に際し、逆さまにして内圧を排出できる消火器は次のうちどれか。
- 蓄圧式強化液消火器
- ハロン1301消火器
- 二酸化炭素消火器
- レバー式ガス加圧粉末消火器
蓄圧式消火器の分類に関して、誤っているものは次のうちどれか。
- 排圧栓のあるものは、これを徐々に開いて内圧を排出する。
- 排圧栓のないものは、キャップを勢いよく開き一気に内圧を排出する。
- 排圧しながら指示圧力計の指針が円滑に0に戻るかを確認する。
- 排圧後キャップを開け、バルブ部分を本体容器から抜き取る。
ガス加圧式粉末消火器の分解時の手順で、誤っているものは次のうちどれか。
- 排圧栓のあるものはこれを開いて残圧を排出する。
- 消火器をクランプ台に固定する。
- 排圧栓のないものはキャップスパナによりキャップを緩め、緩めているとき減圧孔から残圧が噴き出した場合は安全のためできるだけ早く蓋を緩めて残圧を排除する。
- バルブ部分および消火薬剤を本体から抜き取り、各部分の確認にうつる。
消火器の内部および機能の確認に係る点検について、誤っているものは次のうちどれか。
- 化学泡消火器は設置後1年を経過したものから実施する。
- 加圧式強化液消火器は設置後3年を経過したものから実施する。
- ガス加圧式粉末消火器は製造年から3年(蓄圧式粉末消火器は製造年から5年)を経過したものから実施する。
- 二酸化炭素消火器は、内部および機能の確認は行わない。
内部および機能の確認について、誤っている組み合わせは、次のうちどれか。
消火器の種別 | 放射能力 | 点検試料 | |
1 | 化学泡消火器 | 全数 | 全数の10%以上 |
2 | 二酸化炭素消火器 | 全数 | 全数の10%以上 |
3 | 蓄圧式強化液消火器 | 拭取り数 | 抜取り数の50%以上 |
4 | 粉末消火器 | 拭取り数 | 抜取り数の50%以上 |
一定期間を経過した消火器の内部および機能の確認は抜取方式の物があるが、抜取試料(ロット)の作り方で誤っているものは次のうちどれか。
- 機種別(消火器の種類別)に分け、さらに種別(大型、小型の別)ごとに分ける。
- メーカー別に分ける。
- 加圧方式(蓄圧式、ガス加圧式)別に分ける。
- 製造年から8年を超える加圧式粉末消火器および製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は別に分ける。
消火器の製造年から3年を超え8年以下のものを1ロットとした検査試料で、内部および機能の確認の周期として、正しいものは次のうちどれか。
- ロットの大きさが1〜7本 点検周期:3.5年
- ロットの大きさが8本 点検周期:4年
- ロットの大きさが9本 点検周期:4.5年
- ロットの大きさ(本数)に関係なく 点検周期:5年
消火器の機器点検のうち内部および機能の点検を実施する期間について、誤っているものは次のうちどれか。
- 加圧式の水消火器にあっては、製造から3年を経過したもの。
- 加圧式の化学泡消火器にあっては、設置後1年を経過したもの。
- 加圧式の機械泡消火器にあっては、設置後3年を経過したもの。
- 加圧式の強化液消火器にあっては、製造年から3年を経過したもの。
消火器の内部および機能の確認に係る点検について、誤っているものは次のうちどれか。
- 化学泡消火器は設置後1年を経過したものから実施する。
- 加圧式強化液消火器は設置後3年を経過したものから実施する。
- ガス加圧式粉末消火器は製造年から3年(蓄圧式粉末消火器は製造年から5年)を経過したものから実施する。
- 二酸化炭素消火器は、内部および機能の確認は行わない。
定期に行う消火器の耐圧性試験に関する記述で、正しいものは次のうちどれか。
- すべての消火器で、製造年から10年を経過したものは耐圧性能試験を実施しなければならない。その後3年以内ごとに行う。
- 二酸化炭素消火器およびハロゲン化物消火器を除く消火器で製造年から10年を経過したものは、耐圧性能試験を実施し、その後3年以内ごとに行う。
- すべての消火器で、製造年から8年を経過したものは耐圧性能試験を実施し、その後4年以内ごとに行う。
- 二酸化炭素消火器およびハロゲン化物消火器を除く消火器で、製造年から10年を経過したものは耐圧性能試験を実施し、その後5年以内毎に行う。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。