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消防設備士2類 過去問講義
このページの対象と到達目標
対象は、消防設備士甲種第2類・乙種第2類を学ぶ初学者です。非常電源を「停電時の予備電源」、配線を「電線の種類」とだけ覚えず、受電から制御盤、起動・警報、電動機まで電気を途切れさせない経路として理解します。

- 非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備の役割を区別できる。
- 非常電源回路が他回路の開閉器・遮断器で遮断されない考え方を説明できる。
- 耐火配線と耐熱配線を、名称だけでなく火災時に機能を維持する必要がある回路の目的で区別できる。
- 制御盤の電源表示、ヒューズ、図面・取扱説明書、作動状態以外の点検時の電源遮断を確認できる。
- 電圧、絶縁抵抗、時間、ケーブル種別を別の設備・古い問題から流用せず、適用基準を確認すべきだと分かる。
受電設備、盤内、電動機回路の工事・点検は感電、短絡、誤起動、火災の危険を伴います。停電・復電、試験運転、開閉器操作、端子増締め、絶縁抵抗測定は、資格者、作業手順、遮断・施錠・表示、設計図書、型式資料に従います。このページだけを根拠に実施しません。
電源から負荷までを四層で見る
| 層 | 主なもの | 役割 | 確認の要点 |
|---|---|---|---|
| 1. 電源 | 常用電源、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備 | 火災時にも必要な電力を確保する | 防火対象物・設備ごとに認められる種別と容量を確認する |
| 2. 受電・分岐 | 受電設備、配電盤、分電盤、開閉器、遮断器 | 非常電源回路を他回路から保護して分岐する | 他の回路の開閉器・遮断器で非常電源回路が遮断されない |
| 3. 制御 | 制御盤、起動装置、圧力検知装置、遠隔起動装置、表示灯 | 火災信号・手動操作を受け、必要な順で設備を起動する | 回路ごとに耐火・耐熱・一般配線の区分を確認する |
| 4. 負荷 | ポンプ用電動機、弁、警報、表示、混合装置 | 実際に送水・開放・警報を行う | 電動機等へ確実に給電し、作動後も状態を表示・記録する |
非常電源は「常用電源が止まったら何かが動く」というだけではありません。供給経路、分岐、盤の耐熱性、配線の火災時の保護、起動回路、負荷までを一つの系統で確認します。自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備などの可否・容量・切替条件は、設置する防火対象物、設備種別、設計条件によって異なります。
受電設備は、専用室と回路の独立性を分けて覚える
高圧で受電する非常電源専用受電設備を室内に設ける場合、単に不燃材料で囲まれていればよいわけではありません。不燃材料で造られた壁・柱・床・天井で区画され、開口部に防火戸を設けた専用の室という条件を確認します。ポンプ機械室又は換気設備室に置ける、というような部屋名だけで判断しません。
低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤・分電盤では、非常電源回路が他の非常電源回路又は他の電気回路の開閉器・遮断器で遮断されないことが基本です。共用盤であっても、非常電源回路の独立性を失わせない結線・表示・保護が必要です。
| 確認項目 | 誤解しやすい点 | 考え方 |
|---|---|---|
| 専用室 | 不燃区画ならどの室でもよい | 室の区画、防火戸、専用性をまとめて確認する |
| 分岐 | 共用盤なら他回路の遮断器を経由してよい | 非常電源回路が他回路の開閉器・遮断器で遮断されないようにする |
| 計器・表示 | 外に見えれば何でもよい | 盤の種類・基準に沿って、耐熱性、取付位置、表示、絶縁を確認する |
| 絶縁抵抗 | 一つの数字だけ覚えればよい | 試験電圧、測定箇所、盤の種類、現行告示・点検要領をセットで確認する |
耐火と耐熱は、回路が担う時間で分ける
耐火配線と耐熱配線は、字面が似ていますが同じものではありません。火災時に給電を維持して加圧送水装置を動かす経路と、火災感知・起動・表示・警報のために一定の機能を保つ経路とでは、求められる配線区分が異なります。
泡消火設備の基本的な読み方は、まず電源から制御盤へ、次に制御盤から電動機などの負荷へ、そして制御盤から感知・起動・表示へと経路を分けることです。非常電源から制御盤への配線、制御盤から電動機への配線は耐火配線として扱うものがあり、圧力検知装置又は遠隔起動装置などの制御・起動系は耐熱配線として扱うものがあります。どの回路にどの区分を適用するかは、設備方式・配線表・現行基準で確定します。
「MIケーブル」「耐火電線」「600V二種ビニル絶縁電線」などの名称を見ても、ただちに全設備・全回路へ使えるとは判断しません。問題で示された工事方法は、耐火配線として不適当な選択肢を見抜くためのものです。実際の工事では、適用される基準、保護方法、貫通部、施工条件を確認します。
制御盤は、表示・保護・記録・安全停止の順に見る
制御盤はポンプや弁を起動する中心ですが、盤が動けばよいわけではありません。電源表示、計器、ヒューズ、継電器、回路図、取扱説明書、端子の緩み、電源の遮断条件を確認します。
| 点検項目 | 確認すること | 誤った対応 |
|---|---|---|
| 表示・計器 | 電源表示灯、計器の状態、表示内容 | 表示灯が点いているだけで全回路が正常と決める |
| ヒューズ | 損傷・溶断がなく、所定の種類・容量である | 「所定以上の容量なら安全」として大きい容量へ替える |
| 資料 | 回路図、取扱説明書、予備品 | 資料を持たずに盤内の目的を推測する |
| 点検時の電源 | 作動状態を確認する場合以外は、必要な手順で遮断する | 通電状態のまま端子・ヒューズを扱う |
ヒューズは、過電流から回路を守るための保護器具です。容量を上げればよいのではなく、所定の種類及び容量に合わせます。制御盤の点検で作動状態を確認しないときは、必要な停止・隔離手順に従って電源を遮断します。復旧時には、弁、ポンプ、起動回路、警報、周囲の安全を確認します。
典型ミスを先に防ぐ
- 専用受電設備は不燃区画ならどこでも置けると考える。 専用室、防火戸、区画、設置条件をまとめて確認します。
- 非常電源回路も共用盤の一般回路と同じ遮断器でよいと考える。 他回路の開閉器・遮断器で遮断されない結線を確認します。
- 耐火と耐熱を電線名だけで選ぶ。 電源・電動機・制御・起動・表示のどの回路かから判断します。
- ヒューズは容量が大きいほど安全と考える。 所定の種類・容量を使用します。
- 表示灯が点いているので、ポンプ・配線・起動回路も正常と考える。 点検項目ごとに状態を確認します。
- 2026年の通知があるから、すべてのケーブル種別・時間値が変わったと考える。 通知の対象を確認し、本文で未確認の仕様は保留します。
過去問テスト
次の問題は、学習用に整理しています。図版は学習の要点が分かる新規模式図で説明します。
問1 高圧で受電する非常電源専用受電設備
泡消火設備に用いる高圧で受電する非常電源専用受電設備を室内に設置する場合、消防法令に定められているものは次のうちどれか。ただし、キュービクル式以外の受電設備の場合とする。
- 不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井で区画され、火災発生のおそれの少ない場所であれば、どこでも設置できる。
- 不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井で区画されていれば、ポンプ機械室に設置できる。
- 不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井で区画されていれば、換気設備室に設置できる。
- 不燃材料で造られた壁、柱、床及び天井で区画され、開口部に防火戸が設けられている専用の室ならば設置できる。
問2 非常電源専用受電設備の配電盤
非常電源専用受電設備の第1種配電盤等の基準として、消防庁告示上、誤っているものは次のうちどれか。
- 一の非常電源回路は、他の非常電源回路又は他の電源回路の開閉器若しくは遮断器によって遮断されないものであること。
- キャビネットは、金属管又は金属製可とう電線管を容易に接続することができ、かつ、当該接続部分に断熱措置を容易に講ずることができるものであること。
- キャビネットには、120℃の温度を加えた場合において破壊されない電圧計を外部に露出して設けることができること。
- 各充電部相互の間及び充電部とキャビネットとの間の絶縁抵抗は、直流500Vの絶縁抵抗計で測定した値が5MΩ以上であること。
問3 非常電源の耐火配線
非常電源の耐火配線の工事方法として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 600V2種ビニル絶縁電線による金属管工事
- MIケーブルによる配線工事
- シリコンゴム絶縁電線を合成樹脂管に収め、耐火構造の壁に20mm以上埋設する工事
- 消防庁長官が定める基準に適合する耐火電線による配線工事
問4 泡消火設備の配線区分
泡消火設備の配線に関する記述について、正しいものは次のうちどれか。
- 制御盤から圧力検知装置への配線は、一般配線でよい。
- 制御盤から電動機への配線は、耐熱配線とすればよい。
- 非常電源から制御盤への配線は、耐火配線としなければならない。
- 制御盤から遠隔起動装置への配線は、一般配線でよい。
問5 制御盤の機器点検
ポンプ方式の加圧送水装置の制御盤の機器点検に関する記述について、誤っているものは次のうちどれか。
- 電圧計がないものにあっては、電源表示灯が点灯していること。
- ヒューズ、電球などの予備品、回路図及び取扱説明書などが備えてあること。
- ヒューズ類は、損傷、溶断などがなく、所定の種類及び容量以上のものが使用されていること。
- 作動状態の点検を行う場合以外は、必ず電源を遮断して行うこと。
実務での注意
- 非常電源の種別・容量は、防火対象物の面積だけで単純に決めません。設備種別、設置基準、設計負荷、起動条件、関連する通知を確認します。
- 耐火・耐熱の判断では、回路の始点と終点を系統図で追います。電源→制御盤→電動機、制御盤→感知・起動・表示を混ぜません。
- 盤内のヒューズ、遮断器、継電器、端子は、所定の種類・容量・設定値・締付状態で確認します。代替部品を自己判断で入れません。
- 絶縁抵抗値は、試験電圧、測定箇所、盤の種類、設備の停止状態を確認して評価します。単位はMΩなどにそろえ、計算値又は測定記録は丸めず、最後に基準・設計図書の指示に従って処理します。
- 非常電源・配線の仕様や点検方法は、最新の通知、設計図書、機器仕様を確認して判断します。
まとめ
- 非常電源は、電源→受電・分岐→制御→負荷までの経路として確認する。
- 専用受電設備は、区画、防火戸、専用性、回路の独立性を分けずに確認する。
- 非常電源から制御盤、制御盤から電動機のような給電経路と、起動・表示・警報の回路を区別する。
- 制御盤は表示、ヒューズ、資料、電源遮断の安全手順を確認する。
- ケーブル種別、時間値、電圧・抵抗値は、設備・回路・現行基準が一致する場合だけ確定する。
ここまでの流れを、問題を解く順番で繰り返すなら、消防設備士「過去問テスト」で時間を測って確認してください。
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)noteの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
参考資料
本文の数値・方式は、基礎モデル又は問題条件として説明しています。実務では最新の法令、設計図書、機器仕様、認定表示および所轄の指導を確認してください。