このページを見たら、機械基礎を量・式・単位の順に説明できるはず!
最新ver.は消防設備士「過去問テスト」で確認。
消防設備士2類 過去問講義
このページで学ぶこと
対象
消防設備士甲種第2類・乙種第2類を学ぶ初学者。水理計算を公式の暗記で終わらせず、問題文から水深、断面積、流速、損失の条件を取り出せるようになりたい人向けです。
到達目標
このページを終えると、次の4点を説明・計算できます。
- 水槽底部のゲージ圧を、水深から求められる。
- 管の内径と平均流速から流量を求め、分岐後の流速へつなげられる。
- ベルヌーイの定理と摩擦損失水頭を、どちらも水頭の考え方で説明できる。
- 式、単位、丸めの順序を崩さずに計算できる。

図解は、新規制作の水槽・配管模式図で、深さ、流量、摩擦損失のつながりを示しています。問題図・教材図は使用していません。
ここで扱う数値は学習用です。実際の消防用設備の設計・施工・点検には、現行の技術基準、機器仕様、設計条件を別途確認してください。
まずは「深さ→流れ→損失」で整理する
配管の計算は、次の順に考えると整理しやすくなります。
- 水圧:水がどれだけの高さまでたまっているか。
- 流量:一定時間にどれだけの水が通るか。
- 摩擦損失:配管を通る途中でどれだけエネルギーを失うか。
水は、深いほど下側を強く押します。同じ流量なら細い管ほど速く流れ、速いほど配管内で失うエネルギーは大きくなります。
1. 圧力は「水深」で決まる
静止した水のゲージ圧は、次式で求めます。
p = ρgh
p:ゲージ圧力[Pa]ρ:水の密度[kg/m³]g:重力加速度[m/s²]h:水深[m]
水槽の寸法と水量が与えられたときは、先に水深を出します。
水深 h = 水量 V ÷ 底面積 A
ここで使うのは、容器の高さではなく、実際にたまっている水の深さです。最後に 1 kPa = 1,000 Pa で単位を読み替えます。
2. 流量は「断面積×平均流速」
円管を流れる水の流量は、連続の考え方で求めます。
Q = Av
Q:流量[m³/s]A:管の断面積[m²]v:平均流速[m/s]
円管の断面積は A = πd²/4 です。内径 d が mm で出てきたら、先に m へ換算してから二乗します。たとえば 100 mm = 0.100 m です。
2-1. 分岐では連続の式で流量をそろえる
水がたまらず、漏れもない定常流では、分岐の前後で流量が保存されます。一本の太い管が同じ太さの二本へ分かれる場合は、次のように考えます。
Q_大 = Q_細1 + Q_細2
断面積と流速で書けば、A_大v_大 = 2A_細v_細 です。円管では断面積が直径の二乗に比例するため、細い管ほど同じ流量を運ぶには速い流速が必要です。直径を半分にしたとき、断面積は半分ではなく4分の1になります。
2-2. ベルヌーイの定理は「水頭の内訳」を見る式
損失を無視できる理想的な流れでは、圧力、速度、高さに対応するエネルギーの和を水頭として整理できます。
P/γ + v²/(2g) + Z = H
P/γ:圧力水頭v²/(2g):速度水頭Z:位置水頭H:全水頭
実際の配管では、管の内面、弁、継手、曲がり、分岐などでエネルギー損失が生じます。ベルヌーイの定理は、どの水頭が増え、どの水頭が損失へ回るかを読む基本形として使い、実設備では損失水頭と条件を加えて確認します。
3. 摩擦損失は「流速の二乗」に注意
直管部の摩擦損失水頭の基本形は、次のとおりです。
Hf = λ × (L / d) × (v² / 2g)
Hf:摩擦損失水頭[m]λ:管摩擦係数[-]L:管長[m]d:管内径[m]v:平均流速[m/s]g:重力加速度[m/s²]
同じ管種・同じ条件で λ が変わらないとみなせる問題では、管長が2倍なら損失は2倍、流速が2倍なら損失は4倍です。内径が小さいほど損失は大きくなります。弁、曲がり、分岐にも損失はありますが、直管部と同じ式へ無条件に足さず、与えられた条件・係数に従います。
公式と単位のチェック表
| 求めたいもの | 基本式 | そろえる単位 | 最後の確認 |
|---|---|---|---|
| 水槽底部のゲージ圧 | p = ρgh |
kg/m³、m/s²、m |
PaをkPaへ直すなら 1,000 で割る |
| 円管の流量 | Q = Av、A = πd²/4 |
m²、m/s |
結果は m³/s |
| 分岐後の流速 | A_1v_1 = A_2v_2 + A_3v_3 |
直径はm、断面積はm² | 同一径の枝が2本なら2倍する |
| ベルヌーイの定理 | P/γ + v²/(2g) + Z = H |
各項を水頭 [m] として扱う |
損失を無視する条件か確認 |
| 摩擦損失水頭 | Hf = λ(L/d)(v²/2g) |
m、m/s |
結果は水頭 [m] |
単位の4つの落とし穴
100 mmを100 mのまま計算する。cm/sをm/sへ直さない。- 直径の比を断面積の比として扱う。
- Pa、kPa、MPaを途中で混ぜる。
迷ったら、式へ代入する前に単位だけを横に書き出してください。答えの単位が合わないときは、計算ミスより前に単位換算を見直します。
つまずき例:どこで間違いやすい?
水槽の「高さ」をそのまま使う
水槽の高さが2.5 mでも、水が2 mしか入っていなければ、圧力計算に使うのは2 mです。まず 水量÷底面積 で水深を確認します。
直径と断面積を同じ倍率で考える
直径は二乗して断面積になります。直径が半分なら、断面積は半分ではなく4分の1です。そのため同じ流量を流すには流速が4倍になります。
「流速が2倍なら損失も2倍」と考える
摩擦損失水頭は流速の二乗に比例します。流速が2倍なら、2² = 4 倍です。
途中で丸める
円周率や断面積を早く丸めると、選択肢でずれます。途中は必要な桁を残し、選択肢を選ぶ直前にだけ丸めます。
過去問テスト
次の4問では、深さ・流量・損失の条件を順に取り出し、式と単位を対応させる練習をします。
問1 管内流体の摩擦損失
管内を流れる液体の摩擦損失に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 摩擦損失は、管の長さに比例する。
- 摩擦損失は、管の直径に反比例する。
- 摩擦損失は、液体の流速の2倍に比例する。
- 摩擦損失は、弁類、管路の曲がりや分岐、液体の流速の二乗に比例する。
問2 分岐配管の流速
配管が二つに分岐する場合、大きい方の直径が100 mmで、流速が200 cm/s、細い方の直径が65 mmで分岐する場合、細い方のおおよその流速として、正しいものは次のうちどれか。
- 約1.2 m/s
- 約1.6 m/s
- 約2.0 m/s
- 約2.4 m/s
問3 ベルヌーイの定理
ベルヌーイの定理を表す式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、P/γ:圧力水頭、v²/(2g):速度水頭、Z:位置水頭、H:全水頭とする。
v/γ + P²/(2g) + Z = Hγ/(2g) + v²/(2g) + Z = HP/γ + v²/(2g) + Z = Hγ/P + v²/(2g) + Z = H
問4 水槽底面のゲージ圧
縦横3 m、高さ2.5 mの水槽に18 tの水が入っているときの水槽底面に受けるゲージ圧力として、正しいものは次のうちどれか。ただし、水の比重は1000 kg/m³とする。
- 約18 kPa
- 約20 kPa
- 約22 kPa
- 約24 kPa
実務メモ:計算問題を設備設計へ飛び越えない
学習問題では、条件が単純化されています。実際の泡消火設備では、配管の経路、継手・弁による損失、同時放射、ポンプ性能、必要放射圧、使用する薬剤や機器仕様などを一緒に確認します。
そのため、過去問の計算結果をそのまま設計値や点検判定値に使うことはできません。実務では、現行の技術基準、メーカー資料、設計図書、点検要領に従って確認します。
まとめ
- 圧力は、まず水深を出してから
p=ρghに入れる。 - 流量は
Q=Av。直径はmへ換算してから二乗する。 - 分岐では、流量の保存と断面積の二乗関係を使う。
- ベルヌーイの定理は、圧力水頭・速度水頭・位置水頭の和を見る。
- 摩擦損失水頭は
Hf=λ(L/d)(v²/2g)。流速が2倍なら損失は4倍になる。 - 途中で丸めず、式・数値・単位を一行ずつ確認する。
参考文献(一次資料・標準資料)
数値・単位の扱いは、問題文の条件と標準資料を照らして確認します。実務では適用法令、設計図書、機器仕様、所轄の扱いを確認してください。
