著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事(本人確認 2026-10-19)
保有資格:消防設備士(甲種特類・甲種1〜5類・乙種6類・乙種7類)ほか
確認日:2026年10月22日
更新内容:初版
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この記事の結論
消防設備士が地域で強くなれる理由は、書籍『消防設備士0類』によると次の3つです(2023年執筆時の考え)。
- 職場はお客様の建物なので、近くにいるほどすぐ駆けつけられ、移動の手間も減る
- 消防法は全国共通でも、消防本部によって解釈が違うことがあり、その地域で仕事をするほど地域のルールに詳しくなれる
- 仕事の量は建物の数に比例するので、建物の多い地域ほど仕事がある
都会と地方では、仕事の量、移動の長さ、仕事の取りやすさが違います。書籍で青木は、都会で勝負するほど成功しやすい、という考えを書いています。
理由①:職場が近いほど強い
書籍で青木は、消防設備業は「地の利がある商売」だと書いています。職場はお客様の建物なので、建物に近いほどすぐに駆けつけられ、移動のコストも減らせる、という考えです(書籍 第5章)。
反対に、移動が長くなると、移動している時間そのものは何の価値も生まないので、時間あたりの生産性が下がる、とも書いています(書籍 第3章)。
理由②:地域のルールに詳しくなれる
消防法は全国に適用される法律ですが、書籍では、条例やそれ以下の細かい部分は、所轄の消防本部によって解釈が少しずつ違うことがある、と書いています。その違いで工事の費用が変わることもあるので、見積りの前にお客様と一緒に消防署へ相談に行くことがあります(書籍 第1章)。
そのため、地域に根付いた業者に地の利がある、というのが書籍の考えです。その地域で仕事をすればするほど、地域のルールにも詳しくなれ、サービスの質を上げやすくなります(書籍 第5章)。
今も確認できる例を一つ挙げます。電気室など、変圧器や配電盤がある場所には、建物全体の消火器とは別に、その場所の広さに応じた消火器を置くことが全国共通のルール(消防法施行規則第6条第4項)で決まっています。ところが、どんな電気設備をこの対象とするかは、隣り合う市でも運用基準の書き方が違います。
| 大阪市 | 東大阪市 | |
|---|---|---|
| 対象の考え方 | 300ボルト以上の電路につながる変圧器・配電盤 | 高圧・特別高圧の電路につながる電気機器など |
| 配電盤だけの場所 | 対象になる(300ボルト以上の電路の場合) | 配電盤・分電盤・制御盤のみのものは除く |
(各市の運用基準から編集部が抜粋して整理。2026年10月22日確認。運用基準は改正されることがあるため、実際の現場では最新の基準と所轄の消防署で確認してください)
同じ「配電盤のある部屋」でも、市が変われば消火器を足すかどうかの判断が変わることがある、ということです。こうした違いは、その地域の運用基準を読み、現場で経験を重ねるほど分かるようになります。
地域の消防署の担当者と顔なじみになり、「この人に聞けば分かる」と思ってもらえることが、地域で一番強い武器になると思います。
理由③:建物の数だけ仕事がある
書籍で青木は、消防の仕事量は建物の数に比例する、と書いています。例えば大阪は建物の数が多いので、その分たくさんの仕事があり、大阪で「仕事がなくて困っている」という消防設備士に会ったことがない、という経験を書いています(書籍 第2章)。
都会と地方で働く違い
| 都会 | 地方 | |
|---|---|---|
| 仕事の量 | 建物が多く、仕事が多い | 建物が少なく、決まった会社が少ない案件を持ち続ける傾向があるらしい(書籍、伝聞) |
| 移動 | 比較的短い | 毎日の移動に何時間もかかることがあるらしい(書籍、伝聞) |
| 新しく入る余地 | 老舗の会社が新しい仕事に消極的なことがあり、早く丁寧に対応する新しい人にチャンスがある | 既存の会社の関係をひっくり返すのは難しいらしい(書籍、伝聞) |
| 給料への影響 | 移動が短いぶん、時間あたりの生産性を上げやすい | 移動が長いほど生産性が下がりやすい(書籍) |
(書籍 第2章・第3章の記述を編集部が整理。地方の様子は青木の伝聞として書籍に書かれています)
青木は以前、運営するLINEオープンチャットで、工事・点検の会社で働くなら都会の方が働きやすい、と答えています。理由は移動距離で、地方で働く消防設備士の中には2時間の移動が普通という人もいて驚いた、という内容です(2020年ごろの回答。既存記事「消防設備士はきつい?」に掲載)。
地方には地方の強みもあります。一つの地域で長く信頼を積み上げた消防設備士は、その地域で替えのきかない存在になれると思います。
住みたい場所で働く、という選択
書籍で青木は、消防設備士は日本中どこでも働けるので、好きな場所に移住して働くこともできる、と書いています。もし移住するなら、まずその地域で仕事を受けられるようにWebページを用意しつつ、現地の同業の会社にあいさつに回る、そして仕事が軌道に乗ったら、お客様と直接つながる方へ移っていく、という考えです(書籍 第2章)。
屋号や社名に地域の名前を入れる
書籍で青木は、個人事業の屋号に「大阪中央」という地域の名前を入れた理由として、地域密着感を出したかったことを挙げています(書籍 第5章)。現在、青木は(株)防災屋で仕事を請けていて、この屋号で個人として仕事は請けていません(本人回答、2026年10月)。
地域の名前は、お客様に「近くの専門家」だと思ってもらうための、一番分かりやすい看板です。
独立する地域を考えている人へ
独立にかかるお金と会社員との比べ方は(消防設備士の独立にかかるお金|会社員との違いと、資金の準備で見るもの)、独立後の仕事の取り方は(消防設備士の独立後の仕事の取り方|応援仕事と直接契約、見積りと資金繰り)で解説しています。
どこで働くかは、仕事の量だけでなく、自分がどこで暮らしたいかでも決めてよいと思います。長く続けられる場所が、結局は一番強くなれる場所です。
次に読む
- (消防設備士の独立にかかるお金|会社員との違いと、資金の準備で見るもの)
- 消防設備士はきつい?辞めたいと感じる理由と判断基準(/setsubishi-yametoke/)
- (消防設備会社の選び方|求人票では分からない見極めの観点)
建物の数だけ仕事があること、日本中どこでも働けることは書籍『消防設備士0類』の第2章、消防本部ごとのルールの違いは第1章、地の利の考え方は第5章で詳しく書いています。本は2023年に書いたもので、統計の数字や著者の肩書きなど現在と違う点があります(紹介ページ)。
参考文献
- 青木俊輔『消防設備士0類 〜消防設備士をする前に読む本〜』改訂版、電子書籍(Amazon Kindle)、本文2023年。第1章04、第2章02・03、第3章05、第5章05。確認日:2026年10月21日
- 青木マーケ(株)「【⚠ 消防設備士 やめとけ】現役の消防設備士がリアルを暴露します」https://aokimarke.com/setsubishi-yametoke/(質疑応答、2020年ごろ)確認日:2026年10月19日
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」第1節 消火器具(第2(2)ア・イ)https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html 確認日:2026年10月22日
- 東大阪市消防局「消火器具の運用基準」細目1(3)イ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html 確認日:2026年10月22日
- 総務省「消防法施行規則」第6条第4項(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006 確認日:2026年10月22日
- (株)防災屋「大阪市で電気室や配電盤に消火器の追加が必要になるのはどの設備からか|東大阪市と堺市も比較」https://fdma.co.jp/osaka-denkishitsu-shokaki/ 確認日:2026年10月22日
- 青木俊輔 本人回答(2026年10月19日・22日、チャット。16、Q12)