資格試験

40代・50代から資格勉強は遅い?記憶力の不安と、年齢に合った覚え方【研究で確認】

40代・50代から資格勉強は遅い?

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類、危険物取扱者 甲種・乙種1〜6類・丙種
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版

この記事の結論

40代・50代からの資格勉強は、遅くありません。ただし、20代と同じやり方のままでよいとも言い切れません。

研究で分かっていることを短くまとめると、次のとおりです。

  • 記憶力は一律に落ちるわけではありません。新しいことをすばやく処理する力は若いころから少しずつ下がる一方、言葉や知識は年齢とともに保たれるか、増える傾向があります
  • 問題を解いて思い出す練習は、55〜65歳の人でも大学生と同じくらいの効果があったという実験があります。日をあけた復習の効果も、高齢の人で確認されています
  • 「もう歳だから覚えられない」という思い込み自体が、成績を下げることがあるという研究もあります

やり方で変えたいのは、①問題を解いたら答え合わせと解説の確認を必ずする、②仕事や生活の経験と結びつけて覚える、③一度に詰め込まず日をあけて繰り返す、④その分、早めに始める、の4つです。

なお、ここで紹介する研究の多くは、短い期間の実験で、対象は55歳以上の人が中心です。40代・50代の社会人が数か月かけて資格試験を勉強する場面を直接調べた研究ではありません。

40代・50代で勉強している人は珍しくない

国の統計では、仕事の研修や学生の授業を除いて、過去1年間に何らかの「学習・自己啓発・訓練」をした人の割合は、2021年に40〜44歳で39.9%、45〜49歳で38.1%、50〜54歳で38.8%、55〜59歳で39.0%でした。どの年齢層も2016年より上がっています(総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」)。資格の勉強に限った数字ではありませんが、40代・50代のおよそ4割が、何かを学んでいることになります。

強欲な青木
50過ぎて資格の勉強とか、もう頭に入らん気がするんよ…。
年やから勉強できへん、っていうのはほんまにないと思ってます。後から取るより早く取ったほうがいいのは確かですけどね。
消防設備士

年齢で落ちやすい記憶、落ちにくい記憶

落ちやすいもの:処理の速さ、頭の中で同時に扱える量

成人345人を年齢ごとに比べた研究(Parkら、2002年)では、すばやく処理する力、頭の中で一時的に情報を扱う力(ワーキングメモリ)、新しく覚えたことの記憶は、20代から一定のペースで下がっていました。一方で、言葉の知識は年齢とともに増えていました。年齢の違う人を同時に比べた研究なので、世代による教育の違いなども混ざっています。

健康な成人のデータを分析した研究(Salthouse、2009年)は、一部の認知機能の低下は20〜30代から始まっていると考えられる、と報告しています。40代で急に落ちるわけではなく、若いころから少しずつ変わっていく、ということです。

落ちにくいもの:言葉や知識

若い人と高齢の人の語彙のテストを比べた研究をまとめた分析(Verhaeghen、2003年)では、平均すると高齢の人のほうが得点が高いという結果でした。オンラインで集めた約4万8千人のデータなどを分析した研究(Hartshorne & Germine、2015年)でも、能力によって最も高くなる年齢がばらばらで、40代以降に最も高くなる能力もあると報告されています。

記憶の変わり方には個人差が大きく、高齢になっても記憶がよく保たれている人もいる、とする総説もあります(Nybergら、2012年)。

経験は助けにもなり、思い込みの元にもなる

高齢の人の記憶と、もともと持っている知識の関係を整理した総説(Umanath & Marsh、2014年)は、一般的な知識は年齢とともに保たれるか伸び、その知識が新しいことを覚える助けになりうる、と論じています。一方で、知っていることにひきずられて、思い込みで間違えることもあると指摘しています。

資格の勉強に当てはめると、仕事で見たことのある設備や手順は覚えやすい一方、「現場ではこうしている」という経験が、試験の正解とずれることもある、ということです。

左に年齢とともに下がりやすいもの(処理の速さ、ワーキングメモリ、新しく覚えたことの記憶)、右に保たれやすいもの(言葉や知識)を並べ、下に年齢を問わず使える勉強法(思い出す練習、答え合わせ、日をあけた復習)を示した概念図

勉強のやり方は年齢で変えなくていい。ただし4つを意識する

①問題を解いて思い出す練習は、中高年にも効く

大学生60人、18〜25歳の一般の成人60人、55〜65歳の成人60人を比べた実験(Meyer & Logan、2013年)では、思い出す練習(テスト)による記憶の向上が、3つのグループで同じくらい見られました。直後のテストでも、2日後のテストでも効果がありました。40代は対象に入っておらず、保持期間も最長2日です。

テキストを読み返すより、問題を解いて思い出す。これは年齢に関係なく使える勉強法と考えられます。具体的なやり方は(アクティブリコールとは?暗記カードと過去問で「思い出す練習」をする手順)で説明しています。

②答え合わせと解説の確認を、必ずセットにする

中年の人と高齢の人に、繰り返しテストと繰り返し学習をしてもらった実験(Tse、Balota & Roediger、2010年)では、答え合わせがない条件では、高齢の人はテストより読み返しのほうが成績が良くなりました。答え合わせがある条件では、どちらの年齢の人もテストで成績が伸びました。課題は顔と名前の組み合わせを覚えるもので、資格試験の知識とは違います。

問題を解いたら、正解を確かめ、解説を読むまでを1回とする。年齢が上がるほど、ここを省かないことが大事だと考えられます。

③一度に詰め込まず、日をあけて繰り返す

若い人と高齢の人に絵画の作風を学んでもらった実験(Kornellら、2010年)では、間をあけて学ぶほうが、どちらの年齢でも効果がありました。ところが参加者自身は、まとめて学ぶほうが良いと感じていました。間隔を少しずつ広げる方法と、同じ間隔で繰り返す方法を比べた実験(Logan & Balota、2008年)では、どちらの年齢でも間をあけて思い出すことに効果があり、間隔の組み方による差は小さいという結果でした。

細かい間隔の計算より、「同じ問題を、日をあけてもう一度解く」ことを習慣にしてください。間隔の決め方は(覚えてもすぐ忘れるのはなぜ?復習のタイミングを試験日から決める方法)で説明しています。

④その分、早めに始めて、間をあけずに続けて受ける

①〜③をやるには、日をあける時間が必要です。試験の直前に詰め込むやり方は、時間の余裕がない分、取れる手が少なくなります。勉強時間の目安は、青木マーケ(株)の勉強時間シミュレーターで類ごとに確かめられます(https://aokimarke.com/study-time/ )。

「もう歳だから」という思い込みに注意

高齢の人を対象にした研究をまとめた分析(Lamont、Swift & Abrams、2015年)では、「年を取ると能力が落ちる」という思い込みを意識させると、記憶などのテストの成績が下がりました。参加者の平均年齢は約70歳で、実験室での短い時間の影響を調べたものです。

覚えられないときに「年のせいだ」と考える前に、やり方(読み返しばかりになっていないか、答え合わせを省いていないか、日をあけていないか)を見直してみてください。

強欲な青木
覚えられへんのは年のせいやろ、って思ってたわ。
そう思った時点で損してるかもしれません。年を言い訳にする前に、やり方を見直しましょう。
消防設備士

青木の考え

私は動画で、資格手当の話をしたときに、年を取ったからもう頭に入らない、ということは科学的にはあまりないと聞いているし、年だから勉強できないということは本当にないと思う、と話しています。そのうえで、後から取るより、早いうちに取っておいたほうが効率がいい、とも話しています(YouTube「【💴月額55,000円】国家資格「消防設備士」の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」8:36〜8:55)。このときに出典の論文名は挙げておらず、私の実感として読んでください。

もう1つ、消防設備士の類の取り方について、2年あいたらけっこう忘れるので、できるだけ間をあけずに続けて受けて、短い期間で全類をそろえるのが勝ちパターンだと話しています(YouTube「【🔰勉強前に】国家資格「消防設備士」の受験資格と甲種・乙種の違いとは?【甲種4類】」4:02〜4:16)。年齢にかかわらず、間があくと忘れるのは同じです。

40代・50代で消防設備の仕事をしている方は、現場で見た設備の名前や仕組みを、試験の知識と結びつけやすいはずです。その強みを使いつつ、「現場ではこうしている」と「試験の正解」が違わないかは、解説で必ず確かめてください。

青木マーケ(株)の受講者の方や(株)防災屋の社員にも、40代・50代から消防設備士に合格した人は多くいます(2026年10月時点の本人の回答)。年齢を理由にあきらめるより、勉強の時間を早めに確保して、間をあけずに続けるほうが大事だと思います。

強欲な青木
ほんまに40代・50代で受かった人っておるん?
多くいますよ! うちの受講者さんにも社員にも、40代・50代から合格した人はたくさんいます。
消防設備士
強欲な青木
アンタはどう思うん?40代・50代から消防設備士の勉強するのって。
年やから無理、はないです。ただ、2年あいたらけっこう忘れるんで、間をあけずに続けて受けたほうがいい。これは何歳でも同じです。
消防設備士

就職・転職の年齢が気になる方へ

この記事は、勉強と記憶の話に絞っています。40代・50代から消防設備士として働けるか、仕事の内容によって年齢の向き不向きがあるか、転職で気をつけることは、別の記事(40代・50代未経験で消防設備士になれる?)と、既存記事「【消防設備士】未経験40代の転職者がハマる落とし穴3つ【やめとけ】」https://aokimarke.com/inexperienced-40s/ で書いています。

研究の限界

  • 紹介した実験の多くは、55歳以上の人を対象にした、数日以内の短い期間の実験です。40代は対象に入っていないものが多く、40代・50代の社会人が資格試験に合格しやすいかどうかを直接調べた研究は、今回の調査では見つかっていません。
  • 年齢の違う人を同時に比べた研究は、世代による教育や生活の違いが混ざっています。
  • Tse、Kornell、Logan & Balota の研究は、参加者の年齢の範囲や人数を抄録で確認できておらず、課題も顔と名前、絵画、単語の組み合わせなど、資格試験の知識とは性質が違います。
  • 研究結果は平均の話で、一人ひとりに同じ結果が出ることを保証するものではありません。

次にやること

  1. 受ける類の勉強時間の目安を確かめ、試験日から逆算して早めに始める
  2. 消防設備士試験の勉強時間シミュレーター https://aokimarke.com/study-time/
  3. 分野ごとに過去問を解き、答え合わせと解説の確認までを1回とする
  4. 消防設備士 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
  5. 消防設備士 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
  6. 消防関係法令(共通)の過去問・解説まとめ https://aokimarke.com/kyotsu/
  7. 日をあけて解き直し、仕上げに本番と同じ問題数・形式で確かめる
  8. 消防設備士4類「過去問テスト」甲種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /甲種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
  9. 消防設備士4類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
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  11. ほかの類:過去問テストの商品一覧 https://aokimarke.store/collections/all

過去問テストは、本番と同じ問題数・形式でマークシートを使って解く教材です。日をあけた解き直しを重ねた後に、本番で思い出せる状態かを確かめる仕上げとして使ってください。

関連記事:復習のタイミング(覚えてもすぐ忘れるのはなぜ?復習のタイミングを試験日から決める方法)、アクティブリコールとは?(アクティブリコールとは?暗記カードと過去問で「思い出す練習」をする手順)、40代・50代未経験で消防設備士になれる?(40代・50代未経験で消防設備士になれる?)

参考文献

  • Park, D. C., Lautenschlager, G., Hedden, T., Davidson, N. S., Smith, A. D., & Smith, P. K. (2002). Models of visuospatial and verbal memory across the adult life span. Psychology and Aging, 17(2), 299–320. https://doi.org/10.1037/0882-7974.17.2.299
  • Salthouse, T. A. (2009). When does age-related cognitive decline begin? Neurobiology of Aging, 30(4), 507–514. https://doi.org/10.1016/j.neurobiolaging.2008.09.023
  • Verhaeghen, P. (2003). Aging and vocabulary score: A meta-analysis. Psychology and Aging, 18(2), 332–339. https://doi.org/10.1037/0882-7974.18.2.332
  • Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015). When does cognitive functioning peak? The asynchronous rise and fall of different cognitive abilities across the life span. Psychological Science, 26(4), 433–443. https://doi.org/10.1177/0956797614567339
  • Nyberg, L., Lövdén, M., Riklund, K., Lindenberger, U., & Bäckman, L. (2012). Memory aging and brain maintenance. Trends in Cognitive Sciences, 16(5), 292–305. https://doi.org/10.1016/j.tics.2012.04.005
  • Umanath, S., & Marsh, E. J. (2014). Understanding how prior knowledge influences memory in older adults. Perspectives on Psychological Science, 9(4), 408–426. https://doi.org/10.1177/1745691614535933
  • Meyer, A. N. D., & Logan, J. M. (2013). Taking the testing effect beyond the college freshman: Benefits for lifelong learning. Psychology and Aging, 28(1), 142–147. https://doi.org/10.1037/a0030890
  • Tse, C.-S., Balota, D. A., & Roediger, H. L., III. (2010). The benefits and costs of repeated testing on the learning of face–name pairs in healthy older adults. Psychology and Aging, 25(4), 833–845. https://doi.org/10.1037/a0019933
  • Kornell, N., Castel, A. D., Eich, T. S., & Bjork, R. A. (2010). Spacing as the friend of both memory and induction in young and older adults. Psychology and Aging, 25(2), 498–503. https://doi.org/10.1037/a0017807
  • Logan, J. M., & Balota, D. A. (2008). Expanded vs. equal interval spaced retrieval practice: Exploring different schedules of spacing and retention interval in younger and older adults. Aging, Neuropsychology, and Cognition, 15(3), 257–280. https://doi.org/10.1080/13825580701322171
  • Lamont, R. A., Swift, H. J., & Abrams, D. (2015). A review and meta-analysis of age-based stereotype threat: Negative stereotypes, not facts, do the damage. Psychology and Aging, 30(1), 180–193. https://doi.org/10.1037/a0038586
  • 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果 結果の概要」https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf (2026年10月19日確認)
  • 青木マーケ(株)「消防設備士試験の勉強時間シミュレーター」https://aokimarke.com/study-time/ (2026年10月19日確認)
  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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