資格試験

覚えてもすぐ忘れるのはなぜ?復習のタイミングを試験日から決める方法

覚えてもすぐ忘れるのはなぜ?

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類、危険物取扱者 甲種・乙種1〜6類・丙種
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版

この記事の結論

復習のタイミングは、「試験日まで何日あるか」で決めてください。

  • 試験日が遠いうちは、復習の間隔を長めにとる(数日〜1週間以上)
  • 試験日が近づいたら、間隔を短くする(翌日〜数日)
  • どの時期も、同じ日に何度も繰り返すより、日をあけて「思い出す」ほうが記憶に残りやすい

忘れること自体は失敗ではありません。少し忘れかけたころに思い出すことが、記憶を長持ちさせる復習になります。

私は、覚えた直後に完璧を目指すより、忘れる前提で何回も出会い直すほうが、結局は近道だと思っています。

なぜ、覚えてもすぐ忘れるのか

人は、覚えたことを時間とともに忘れていきます。これは誰にでも起きることで、記憶力が悪いからではありません。

大事なのは、忘れる前提で「いつ思い出し直すか」を決めておくことです。学習法の研究をまとめた代表的な総説(Dunloskyら、2013年)は、同じ内容を一度にまとめて勉強するのではなく、時間をあけて何回かに分けて勉強する「分散学習」を、効果が高い方法と評価しています。

強欲な青木
昨日覚えた法令の数字、今日もう出てこない…。俺、記憶力ないんかな。
忘れます。(笑) 僕も、直前に詰め込んだ知識は忘れました。
消防設備士

復習の間隔は「試験までの期間」で変わる

言葉や事実の記憶を対象にした多くの実験をまとめた分析(Cepedaら、2006年)では、学習と学習のあいだの間隔と、最後のテストまでの期間は互いに影響し合い、試験までの期間が長いほど、記憶に最適な間隔も長くなることが示されています。

さらに、大人を対象に大規模に行われた実験(Cepedaら、2008年)では、最適な間隔は、試験までの期間に対する割合で見ると、1週間後の試験では20〜40%程度、1年後の試験では5〜10%程度と、期間が長くなるほど割合が小さくなると報告されています。

ただし、この実験で覚えたのは雑学的な事実です。消防設備士の法令や計算問題で同じ比率になるとは限りません。比率は「目安の考え方」として使ってください。

社会人の復習スケジュール例(週単位)

研究の考え方を、社会人が週単位で回せる形にしたのが次の表です。研究で決まった日数ではなく、青木マーケ(株)編集部の提案です。

試験までの期間 新しく覚えた範囲の復習 週末にやること
2か月以上 翌日に一度思い出す → 次は1週間後 → その次は2〜3週間後 その週に間違えた問題を解き直す
1か月前後 翌日 → 3〜4日後 → 1週間後 1週間分の間違いと、2週間前の範囲を解き直す
2週間以内 翌日 → 2〜3日後 → 試験直前 本番と同じ形式で解き、弱い科目を決める
試験まで2か月以上・1か月前後・2週間以内の3つの場合で、復習のタイミングを翌日から試験直前まで並べた図

平日は短い時間で「前日に覚えたことを思い出す」、週末にまとめて「少し前に覚えた範囲を解き直す」と分けると、仕事がある日でも回しやすくなります。1週間の時間の組み立て方は、別の記事(社会人の資格勉強は1日何時間?|「総時間÷残り週数」で決める計画の立て方【消防設備士・危険物】)で詳しく書いています。

強欲な青木
表のとおりにできへん日もあるやろ?
そうなんです。だから、表はあくまで目安です。
消防設備士

復習は「読み返す」ではなく「思い出す」

復習のタイミングを決めても、そのときにテキストを読み返すだけでは、効果が薄くなります。

テストと読み直しを比べた研究をまとめた分析(Rowland、2014年)では、問題を解いて思い出すほうが読み直すより記憶に残りやすく、最後のテストまで1日以上あく場合に、その差が大きくなる傾向がありました。思い出す練習を間隔をあけて行う利点を検討した分析(Latimierら、2021年)もあります。

復習のときは、次のように「見ないで出す」形にしてください。

  • 過去問を、選択肢を見る前に答えを頭の中で出してから解く
  • 覚えた数字を、紙に書き出してから答え合わせをする
  • 前回間違えた問題だけを、解説を見ずに解き直す

思い出す練習の具体的なやり方は、別の記事(アクティブリコールとは?暗記カードと過去問で「思い出す練習」をする手順)で詳しく説明しています。

一夜漬けは、なぜ残らないのか

試験の直前にまとめて詰め込むと、試験の直後までは覚えていられることがあります。ただ、日をあけずにまとめて覚えた内容は、しばらくすると大きく忘れやすいことが分散学習の研究で示されています。

正直に書くと、私自身、消防設備士の試験は「2週間前から1日2時間くらい勉強して、直前に一気に詰め込む」やり方でした(ブログ「徹底分析!消防設備士の試験に受からない人の特徴3つ【勉強方法】」https://aokimarke.com/setsubishi-ukaranai3/ )。詰め込んだ知識は忘れますが、実務で復習できるのは大きいと思っています。そして今受けるなら、もっと早く全類を取りにいきます。そのほうが効率がいいからです(2026年10月時点の私の考え)。

強欲な青木
直前の詰め込みで受かったんなら、それでもええんちゃうの?
実務で復習できたのは大きかったです。でも今受けるなら、もっと早く全類を取りにいきますね。効率がいいので。
消防設備士

私の場合、解き直しは、同じ過去問を一通り終えてから、間違えた問題を解き直していました。2回目で正解した問題はもう解かないので、最初は間隔が長くなり、残った問題ほど間隔が短くなっていきます(2026年10月時点の私のやり方)。

復習を忘れないための管理

復習のタイミングを決めても、いつ何を復習するかを覚えておけないと続きません。管理は、できるだけ簡単にしてください。

復習の管理に凝りすぎて、管理表を作ること自体が目的になったら本末転倒です。問題集に日付と○×を書くくらいで十分だと思います。

  • 問題集やプリントの問題番号の横に、解いた日付と結果(○・△・×)を書く
  • カレンダーや手帳に「○日:法令共通の×を解き直す」と書いておく
  • 勉強時間を記録するアプリや手帳を使う

私は会社員時代、平日2時間、休日5時間勉強して、その時間を手帳に記録していました。今は勉強時間を測定・記録するアプリもあるので、そういうものを使ってもいいと思います(2026年10月時点)。

間違えた問題の印の付け方と解き直しの回し方は、別の記事(間違えた問題の管理方法|ノートを作らずに誤答を潰すやり方)で詳しく説明しています。

研究の限界

  • 紹介した研究は、大学生や一般の大人を対象に、単語や事実の記憶で調べたものが中心です。消防設備士の法令の適用問題、計算問題、製図で同じ効果が出るかは確かめられていません。
  • Cepedaら(2008年)の比率は、雑学的な事実の記憶での結果です。資格試験の日程にそのまま当てはめるのは目安にとどめてください。
  • 社会人の資格試験で、復習の間隔と合否の関係を直接調べた研究は、今回の調査では見つかっていません。

次にやること

  1. 受ける類の学習ガイドで、範囲ごとに過去問を解き、復習する日を決める
  2. 消防設備士 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
  3. 消防設備士 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
  4. 消防関係法令(共通)の過去問・解説まとめ https://aokimarke.com/kyotsu/
  5. 試験日までの総時間と週の時間を確認する
  6. 消防設備士試験の勉強時間シミュレーター https://aokimarke.com/study-time/
  7. 試験の2週間前ごろに、本番と同じ問題数・形式で復習の成果を確かめる
  8. 消防設備士4類「過去問テスト」甲種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /甲種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
  9. 消防設備士4類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
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  11. ほかの類:過去問テストの商品一覧 https://aokimarke.store/collections/all

関連記事:科学的に効果が確かめられた勉強法(【勉強法】資格試験は「読む」より「思い出す」で覚える|科学的に効果が高い覚え方を過去問演習に当てはめる)、過去問は何周すればいい?(過去問は何周すればいい?回数より「理由を言えて8割」で終える|答えを覚えた・まぐれ正解の対処)、資格勉強の計画の立て方(資格勉強の計画の立て方|試験日から逆算して進捗を管理する)

参考文献

  • Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
  • Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
  • Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095–1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
  • Rowland, C. A. (2014). The effect of testing versus restudy on retention: A meta-analytic review of the testing effect. Psychological Bulletin, 140(6), 1432–1463. https://doi.org/10.1037/a0037559
  • Latimier, A., Peyre, H., & Ramus, F. (2021). A meta-analytic review of the benefit of spacing out retrieval practice episodes on retention. Educational Psychology Review, 33(3), 959–987. https://doi.org/10.1007/s10648-020-09572-8

図解

  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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