著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版
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この記事の結論
消防設備士の暗記は、語呂合わせから始めないでください。おすすめの順番は次のとおりです。
- 似た数字・似た用語を、表に並べて違いをはっきりさせる
- 表を隠して、空欄を埋められるか試す
- 過去問を、似た分野を混ぜた状態で解く
- それでも覚えられないものにだけ、語呂合わせやイメージを使う

私の考えを一言でまとめると、「理由がある知識は理解して、数字は表で、どうしても覚えられないものだけ語呂やイメージで。最後は過去問で確かめる。これが一番の近道です」(2026年10月時点の考え)。
特定防火対象物や、消防法施行令の別表第1(防火対象物の用途の区分)のように、個別に覚え方を解説している項目は、この記事の後半から各ページへご案内します。
語呂合わせをたくさん覚えるより、過去問をたくさん解くほうが早いと私は思います。
消防設備士で覚えにくいもの3種類
消防設備士の試験で「覚えられない」と感じるものは、大きく3つに分けられます。
| 種類 | 例 | 覚えにくい理由 |
|---|---|---|
| 法令の数字 | 届出の期限、報告の周期、人数や面積の基準 | 似た数字が多く、どれがどの手続きか混ざる |
| 似た用語 | 着工届と設置届、機器点検と総合点検、特定防火対象物と非特定防火対象物 | 名前が似ていて、対になるもう一方と入れ替わる |
| 設備ごとの基準値 | 消火器や感知器の規格の数値、設置基準 | 類ごとに数が多く、似た数値が並ぶ |
3つとも、「1つずつは覚えられるのに、似たものと混ざる」ところが難しさの正体です。だから、1つずつ語呂で覚えるより、似たもの同士を並べて違いを覚えるほうが効きます。
似た数字は並べて覚える
消防関係法令(共通)でよく混ざる数字を、対比表にしてみます。数値はすべて、e-Gov法令検索の現行条文などで確認したものです(2026年10月19日確認)。
| 比べるもの | A | B | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 工事の届出 | 着工届:工事に着手しようとする日の10日前までに(甲種消防設備士が届け出る) | 設置届:工事が完了した日から4日以内に(防火対象物の関係者が届け出る) | 消防法第17条の14、消防法施行規則第31条の3 |
| 点検の周期 | 機器点検:6月に1回 | 総合点検:年に1回 | 平成16年消防庁告示第9号 |
| 点検結果の報告 | 特定防火対象物:1年に1回 | それ以外:3年に1回 | 消防法施行規則第31条の6第3項 |
| 消防設備士の講習 | 免状の交付を受けた日以後の最初の4月1日から2年以内 | 講習を受けた日以後の最初の4月1日から5年以内(以後も同じ) | 消防法施行規則第33条の17 |
| 防火管理者が必要な収容人員 | 特定用途(別表第一(一)項〜(四)項など):30人以上 | 非特定用途(別表第一(五)項ロ、(七)項など):50人以上 | 消防法施行令第1条の2第3項((六)項ロなどは10人以上) |

表にすると、「前は10日前、後は4日以内」「特定は短く、それ以外は長く」のように、違いそのものが覚える対象になります。
対比表の作り方
- 過去問で間違えた、または迷った問題から、混ざった2つの項目を書き出す
- 「何が違うか」を、期限・人数・誰が・いつ、のように同じ物差しで並べる
- 表を隠し、空欄を埋めてから答え合わせをする
- 数日あけて、もう一度空欄を埋める
表は、きれいに作ることが目的ではありません。隠して思い出すために作ります。
似た用語は「対になる相手」と一緒に覚える
似た名前の用語は、片方だけ覚えても、本番でもう一方と入れ替わります。
私は『消防設備士0類』(Amazon電子版 https://amzn.to/49YGHP1 )で、高専の物理化学の授業で、エンタルピーとエントロピーの名前が似すぎていて区別できなかった、という話を書きました(書籍 第1章、2023年執筆)。名前が似ているものは、それだけで混ざります。
消防設備士でいえば、次のような組み合わせです。
- 着工届と設置届:誰が出すか(甲種消防設備士/防火対象物の関係者)、いつ出すか(着手の10日前まで/完了から4日以内)
- 機器点検と総合点検:何をするか(外観や簡単な操作で確認/作動させて総合的な機能を確認)、周期(6月に1回/年に1回)
- 特定防火対象物と非特定防火対象物:不特定多数の人が出入りするか、災害時に援護が必要な人がいるか
覚えるときは、必ず「Aは〜、Bは〜」と対で言うようにしてください。
似た名前で混ざるのは、片方しか覚えていないからです。セットで覚えれば、試験で迷う時間も減ります。
語呂合わせの使いどころと限界
語呂合わせは、学習の研究では「記憶術(mnemonic)」の一種として古くから研究されています。代表的なものに、覚えたい語を、音の似た身近な語とイメージで結びつける「キーワード法」があります(Atkinson & Raugh、1975年。外国語の単語学習での研究)。記憶術にはほかにも場所法などがあり、種類と働く条件を整理したレビューもあります(Bellezza、1981年)。
ただし、学習法の研究をまとめた代表的な総説(Dunloskyら、2013年)は、キーワード記憶法の有用性を「低い」と評価しています。効果が出る教材が限られることや、記憶が長続きしない場合があることが理由です。
消防設備士の試験に当てはめると、語呂合わせが向いているのは次のような場合です。
- 意味のつながりがない番号や名称の並びで、表にしても覚えられないもの
- 試験直前に、どうしても抜けてしまう1〜2個の数字
反対に、理由がある内容(なぜその設備が必要か、なぜその基準なのか)を語呂だけで覚えると、少し聞き方を変えられた問題で対応できません。
私も、大型消火器の薬剤量の規格を講義で説明したときは、語呂合わせもあるけれど、個人的には表をそのまま覚えるのがよいと話しています(YouTube「【🧯過去問・解説まとめ】国家資格「消防設備士」乙6構造・機能(機械、点検・整備、規格)【⏰2時間 集中講義】」1:29:51〜1:29:59)。
青木の覚え方
覚えにくい並びは、イメージと物語に変えて覚えることがあります。たとえば、消防法施行令の別表第1は、前半の項目を「映画を見に行って、遊んで、ご飯を食べて、買い物をして、家に帰って、病院に寄ってから学校へ行く」という1日の流れの物語にして覚えています(YouTube「【🧠9分で暗記】消防法施行令別表第1の覚え方【消防設備士】」)。別表第1は消防関係者の共通言語で、試験だけでなく実務でも大事だと動画で話しました。
正直に書くと、私は語呂合わせをほとんど使わない派です。過去問を繰り返していたら覚える、という考えです(2026年10月時点の考え)。だから、この記事でも語呂合わせを主役にしていません。
個別の項目の覚え方は、次のページで詳しく解説しています。
- 特定防火対象物の覚え方 https://aokimarke.com/tokubo/
- 防火対象物の用途(令別表第1)と判定例 https://aokimarke.com/botai-yoto/
覚えた後は、似た分野を混ぜて解く
表で覚えたら、過去問を解きます。このとき、似た分野の問題を混ぜて解くのがおすすめです。
いくつかの種類の問題を、種類ごとにまとめて練習するのではなく、混ぜて練習する方法を「交互練習(インターリーブ)」といいます。交互練習の研究をまとめた分析(Brunmair & Richter、2019年)では、全体として交互練習の効果が見られ、特に、似たカテゴリー同士を見分ける必要がある場面ほど効果が大きいとされています。一方で、単語の学習のように、まとめて学ぶほうがよかった教材もありました。
ですから、「何でも混ぜればよい」わけではありません。着工届と設置届、機器点検と総合点検のように、見分けることが必要な似たもの同士こそ、混ぜて解いてください。用語を初めて覚える段階では、分野ごとにまとめて覚えてもかまいません。
なお、どの研究も大学生などを対象にしたもので、消防設備士の試験を直接調べたものではありません。
類別の覚えるべき数字は、こちらで確認
この記事では、法令(共通)の数字を例にしました。類ごとの数字や基準値は、類別の過去問まとめで、問題を解きながら確認してください。
- 消防関係法令(共通)の過去問・解説まとめ https://aokimarke.com/kyotsu/
- 法令共通⑦:消防用設備点検と点検結果報告の義務 https://aokimarke.com/inspection-report-obligated/
- 法令共通⑧:設置届の提出後に消防検査を受ける防火対象物 https://aokimarke.com/notification-and-inspection/
- 法令共通⑬:消防設備士の義務4つ(講習受講と免状携帯)https://aokimarke.com/course-carry-a-diploma/
- 甲4・乙4 法令(類別)https://aokimarke.com/kakomon4/hourei/
- 乙6(消火器)の学習ガイド https://aokimarke.com/kakomon6/
次にやること
- 受ける類の学習ガイドで、覚えるべき範囲を確認する
- 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
- 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
- 過去問で間違えた項目から、対比表を作って空欄を埋める
- 本番と同じ問題数・形式で、似た分野が混ざった状態で解けるか確かめる
- 消防設備士4類「過去問テスト」甲種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /甲種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
- 消防設備士4類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
- 消防設備士6類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%96%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB6%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
- ほかの類:過去問テストの商品一覧 https://aokimarke.store/collections/all
過去問テストは、本番と同じ問題数・形式でマークシートを使って解く教材です。本番の試験は分野が混ざった状態で出題されるので、対比表で覚えた知識を、混ざった状態で思い出せるかの確認に使ってください。
関連記事:過去問は何周すればいい?(過去問は何周すればいい?回数より「理由を言えて8割」で終える|答えを覚えた・まぐれ正解の対処)、科学的に効果が確かめられた勉強法(【勉強法】資格試験は「読む」より「思い出す」で覚える|科学的に効果が高い覚え方を過去問演習に当てはめる)
参考文献
- 消防法(e-Gov法令検索)第17条の14 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186 (2026年10月19日確認)
- 消防法施行令(e-Gov法令検索)第1条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037 (2026年10月19日確認)
- 消防法施行規則(e-Gov法令検索)第31条の3、第31条の6、第33条の17 https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006 (2026年10月19日確認)
- 総務省消防庁「消防用設備等点検報告制度について」(平成16年消防庁告示第9号による点検の種類と期間)https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_betten03.pdf (2026年10月19日確認)
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266
- Atkinson, R. C., & Raugh, M. R. (1975). An application of the mnemonic keyword method to the acquisition of a Russian vocabulary. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory, 1(2), 126–133. https://doi.org/10.1037/0278-7393.1.2.126
- Bellezza, F. S. (1981). Mnemonic devices: Classification, characteristics, and criteria. Review of Educational Research, 51(2), 247–275. https://doi.org/10.3102/00346543051002247
- Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029–1052. https://doi.org/10.1037/bul0000209