著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類、危険物取扱者 甲種・乙種1〜6類・丙種
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版
この記事の結論
過去問は、どちらか一方ではなく、段階で使い分けてください。
- 最初は分野別:1つの分野を続けて解き、知識の土台をつくる
- ある程度解けたら混ぜる:似ていて混同しやすい分野を混ぜて解く、年度別やランダムで解く
- 仕上げは本番形式:本番と同じ問題数・形式で、時間を計って解く
混ぜて解くと、練習中の正答率は分野別より下がって見えます。それでも、後のテストでは混ぜて解いたほうが成績が良かったという研究があります。正答率が下がるのは、本番に近い頭の使い方をしている証拠でもあるので、気にしすぎないでください。
分野別と年度別(混ぜた形)の違い
| 解き方 | 頭の中で起きていること | 良い点 | 弱い点 |
|---|---|---|---|
| 分野別 | 「今は消火器の問題」と分かったうえで解く | 知識をまとめて固めやすい。最初の理解に向く | どの知識を使うかを、自分で選ぶ練習にならない |
| 年度別・ランダム(混ぜた形) | 問題を見て、「これはどの分野のどの知識か」から判断する | 本番に近い。似たもの同士の区別が身につく | 正答率が下がって見え、手応えが悪い |
本番の試験は、分野ごとに見出しが付いているわけではありません。問題を読んで、どの知識を使うかを自分で判断する必要があります。分野別だけで練習していると、この判断の練習が抜け落ちます。
混ぜて解く「交互練習」の研究
練習中は不利、1週間後は有利
種類の違う問題を混ぜて練習する方法は、研究では「交互練習(インターリーブ)」と呼ばれます。
大学生が立体の体積などの数学の問題を練習した実験(Rohrer & Taylor、2007年)では、問題の種類ごとにまとめて練習したグループと、種類を混ぜて練習したグループを比べました。練習中の成績はまとめたほうが良く見えましたが、1週間後のテストでは、混ぜて練習したグループのほうが大きく上回りました。対象は大学生で、数学の計算問題という特定の条件です。
混同しやすいものほど、混ぜる効果が大きい
交互練習の研究をまとめた分析(Brunmair & Richter、2019年)では、全体として中程度の効果がありました。ただし、教材によって効果の大きさは大きく違いました。
- 絵画の作者を見分ける課題では効果が大きかった
- 数学の課題では効果が小さかった
- 単語の学習では、まとめて学ぶほうが良かった
似ているけれど違うもの同士を見分ける必要がある場面ほど、混ぜる効果が大きい傾向でした。逆に言えば、「何でも混ぜればよい」わけではありません。
手応えと結果は逆になりやすい
画家ごとの絵をまとめて見るか、混ぜて見るかを比べた実験(Kornell & Bjork、2008年)では、混ぜて見たほうが作者を当てる成績は良かったのに、多くの参加者は「まとめて見るほうが効果的だった」と答えました。自分のテストの結果を見た後でも、その答えはあまり変わりませんでした。
混ぜて解いたときの「できていない感じ」は、やり方が悪いサインとは限らない、ということです。
消防設備士での使い分け
段階1:分野別で土台をつくる
テキストを一通り読んだら、分野ごとに過去問を解きます。青木マーケ(株)の類別の過去問まとめページは、分野ごとに問題と解説を並べているので、この段階で使えます。
- 消防設備士 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
- 消防設備士 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
- 消防設備士 甲1・乙1(水系消火設備)https://aokimarke.com/kakomon1/
- 消防関係法令(共通)https://aokimarke.com/kyotsu/
段階2:混同しやすいもの同士を混ぜる
分野別で6割前後解けるようになったら、似ていて取り違えやすいものを、わざと並べて解きます。
| 混同しやすい組み合わせの例 | 混ぜ方 |
|---|---|
| 消防関係法令の共通部分と、類別の法令 | 共通と類別の問題を交互に解き、どちらの規定かを言ってから答える |
| 届出・申請の種類と期限 | 届出に関する問題だけを集め、順番を混ぜて解く |
| 同じ類の中で似た機器・設備 | 機器の名前と用途を問う問題を、分野をまたいで混ぜる |
| 規格の数値が似ているもの | 数値を問う問題を集めて混ぜ、どの機器の数値かを言ってから答える |
間違えた問題の理由が「似たものと混同した」なら、そこは混ぜて解く候補です。間違えた理由の記録のしかたは(間違えた問題の管理方法|ノートを作らずに誤答を潰すやり方)で説明しています。
一方、機器の名称や用語の意味のように、単純に覚えるだけのものは、無理に混ぜなくてもかまいません。単語の学習ではまとめて学ぶほうが良かった、という研究結果もあります。
段階3:年度別・本番形式で仕上げる
最後は、本番と同じ問題数・形式で、時間を計って解きます。これがいちばん混ざった状態の練習です。
青木マーケ(株)の勉強時間シミュレーターでは、参考書2冊を一通り終えたら本番形式の過去問テストに取り組み、正答率8割を目標にすることを勧めています(https://aokimarke.com/study-time/ )。経験則にもとづく目安で、合格を保証するものではありません。本番形式の模擬試験をいつ・何回使うかは(模擬試験は意味ない?本番形式で解く効果と受けるタイミング)で詳しく書いています。

私たちのおすすめの順序(編集部の提案)
研究と、消防設備士の過去問の作りをもとに、青木マーケ(株)編集部が整理した順序です。研究で決まった順序ではありません。
- テキストを一通り読む
- 分野別に過去問を解き、答え合わせと解説の確認をする(6割前後まで)
- 混同しやすい分野を混ぜて解く
- 本番形式で解き、科目ごとの正答率を見る
- 弱い科目は分野別に戻って固め、また混ぜて解く
5から2へ戻るのは失敗ではありません。本番形式で弱い所が見つかったら、その分野だけ分野別で固め直し、また混ぜて確かめます。
青木の考え
私は、過去問テストは参考書で勉強した後に、「本当に受かる状態か」を確かめるために、試験の直前に使ってほしいと動画で話しています。8割、9割取れるなら、あとは復習して当日に備えればよい、という使い方です(YouTube「【直前対策📚】消防設備士試験1発合格勉強法」1:01〜1:31)。
社員が乙6に挑戦した動画では、本番形式の過去問テストを解いてもらったときに、同じものを2回やると答えを覚えてしまうので、まずは今の位置が分かったことが大事だと話しました。そのうえで、本番形式で確かめずに「いけるやろう」と思って本番に挑み、筆記で足切りになる人がいる、とも話しています(YouTube「【🗓️試験まで1週間】乙6チャレンジ直前追い込み勉強企画 📑【消防設備士】」11:24〜12:21)。
分野別で解けるようになっても、それは「今は消火器の問題だ」と分かったうえでの正解です。本番では、どの分野の問題かを自分で見分けるところから始まるので、混ぜて解く練習は早めに入れておくのがいいと思います。
研究の限界
- 交互練習の研究の多くは、大学生を対象にした実験室の研究です。教材は数学の問題、絵画、単語などで、消防設備士の試験問題で調べた研究は、今回の調査では見つかっていません。
- Brunmair & Richter(2019年)のとおり、混ぜる効果は教材によって大きく違い、逆効果の領域もあります。
- 「分野別で6割前後になったら混ぜる」「本番形式で8割」は、研究で決まった数字ではなく、編集部と青木マーケ(株)の経験則にもとづく目安です。
次にやること
- 分野別:類別の過去問まとめで、分野ごとに解く(上の段階1のリンク)
- 混ぜる:間違えた理由が「混同」の問題を集め、順番を混ぜて解き直す
- 本番形式:本番と同じ問題数・形式で解き、科目ごとの正答率を見る
- 消防設備士4類「過去問テスト」甲種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /甲種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
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参考文献
- Rohrer, D., & Taylor, K. (2007). The shuffling of mathematics problems improves learning. Instructional Science, 35(6), 481–498. https://doi.org/10.1007/s11251-007-9015-8
- Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029–1052. https://doi.org/10.1037/bul0000209
- Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585–592. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02127.x
- 青木マーケ(株)「消防設備士試験の勉強時間シミュレーター」https://aokimarke.com/study-time/ (2026年10月19日確認)