資格試験

合格体験記の正しい読み方|真似していい部分と、割り引いて読む部分の見分け方【資格試験】

合格体験記の正しい読み方

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(記事に関係するもの):消防設備士 甲種特類・甲種1〜5類・乙種6・7類、危険物取扱者 甲種・乙種1〜6類・丙種
確認日:2026年10月21日
更新内容:初版

この記事の結論

合格体験記は、「事実」と「その人の前提で決まる結果」を分けて読んでください。

  • 真似していい部分:試験の形式、当日の流れ、教材の具体的な使い方、つまずいた所とその対処
  • 割り引いて読む部分:勉強時間、「○周で受かった」、「一夜漬けでいけた」、「この方法だけで合格」

勉強時間や周回数は、書いた人の実務経験・基礎学力・受けた類・時期によって大きく変わります。体験記を読んだら、書いた人の前提と自分の前提を比べ、自分に合う部分だけを計画に取り入れ、最後は自分の過去問の正答率で判断してください。

体験記をそのまま信じると危ない理由

体験談を見ると「自分も同じ結果になる」と受け取りやすい

消費者庁は、広告の体験談と「個人の感想です」といった注意書きについて、一般の人を対象に調査しています。体験談に気付いた443人のうち、42.2%が「大体の人が同じ効果を得られる」と思い、注意書きをもう一度見せても、その受け止め方は大きく変わりませんでした(消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」、2017年)。

この調査は健康食品の広告を例にしたもので、資格試験の体験記を調べたものではありません。それでも、人は誰かの成功談を読むと、自分にも同じことが起きると受け取りやすい、という点は体験記を読むときにも覚えておく価値があります。

書いた本人も、何が効いたかを正しく分かっているとは限らない

学習の研究をまとめた総説(Bjork、Dunlosky & Kornell、2013年)は、人は学習中の手応えや、すらすら進む感覚に引きずられて、どの学び方が効いたかを見誤りやすいと指摘しています。絵画の作者を見分ける実験(Kornell & Bjork、2008年)では、混ぜて学んだほうが成績が良かったのに、多くの参加者は「まとめて学んだほうが効果的だった」と答えました。

つまり、合格者が「これが効いた」と書いている方法が、本当に合格の理由だったとは限りません。体験記に書かれているのは、本人が効いたと感じた方法です。

体験記は、合格した人の話が集まりやすい

体験記の多くは、合格した人が書くものです。同じ方法を試して不合格だった人の話は、表に出にくくなります。「この方法で受かった」という話が多く見えても、その方法で落ちた人がどれくらいいたかは、体験記だけでは分かりません。

青木マーケ(株)の「過去問テスト」の口コミページでも、「過去問と同じ問題が出た人」と「ほとんど違う問題が出た人」の両方の声を分けて載せています(既存記事「消防設備士『過去問テスト』の口コミ・評判まとめ」https://aokimarke.com/setsubishi-blog-reputation/ )。同じ教材でも、受けた回や人によって体験は変わります。

強欲な青木
体験記に「2週間で合格」って書いてあったのに、自分は全然間に合わへん…。
勉強時間は、実務経験と基礎学力で大きく違います。「何時間で受かる」と一言で答えると、どちらかにウソをつくことになるんです。
消防設備士

真似していい部分、割り引く部分の判断表

体験記に書かれていること 判断 理由と読み方
試験の形式、問題数、時間配分の感覚 真似していい 公式の情報と照らし合わせれば、誰にでも当てはまる。数字は試験機関の発表で確かめる
当日の流れ(会場、持ち物、休憩) 真似していい 準備の参考になる。持ち物は試験機関の注意事項で最終確認する
教材の具体的な使い方(何を、どの順で、どう確かめたか) 真似していい 手順はまねできる。ただし「その教材だけで受かる」とは読まない
つまずいた所と、その対処 真似していい 同じ所でつまずく人は多い。自分の弱点と重なるか確かめる
勉強時間・勉強期間 割り引く 実務経験、学歴、受けた類で大きく変わる。自分の条件で目安を出し直す
「○周したら受かった」 割り引く 周回数より、理由を言えるか・本番形式で何割取れたかが大事
「一夜漬けでいけた」「ほぼ勉強しなかった」 割り引く 書いた人の前提(実務経験、似た資格の保有)を確かめる。前提がない人はまねしない
「この方法だけで合格」「絶対に受かる」 割り引く 体験は1人分。同じ方法で落ちた人の話は表に出にくい
左に真似していい部分(試験の形式・時間配分、当日の流れ、教材の具体的な使い方、つまずいた所と対処)、右に割り引いて読む部分(勉強時間・期間、〇周したら受かった、一夜漬けでいけた、この方法だけで合格)を並べ、下に「最後は、自分の過去問の正答率で判断する」と示した図

体験記を読むときに確かめる前提

体験記を読んだら、書いた人の前提を次の項目で確かめてください。書かれていない項目が多い体験記ほど、勉強時間などの数字は割り引いて読みます。

前提 確かめること なぜ大事か
実務経験 試験に出る設備を仕事でさわっていたか 経験があると、同じ内容でも短い時間で覚えられる
基礎学力のタイプ 工学系の出身か、計算や文章問題に慣れているか 計算問題や製図での時間が変わる
受けた類・甲乙 同じ資格でも、どの類・甲種か乙種か 試験内容と問題数が違う
時期 いつ受けたか 法令の改正や出題の傾向で、古い体験記は当てはまらない部分がある
持っていた資格 似た資格や、科目免除の対象になる資格を持っていたか 免除があると、解く問題の数そのものが変わる

勉強時間は、青木マーケ(株)の勉強時間シミュレーターで、実務経験と基礎学力のタイプから自分の目安を出し直せます(消防設備士の場合。https://aokimarke.com/study-time/ )。体験記の時間と自分の目安が大きく違うときは、自分の目安のほうを信じてください。

体験記を自分の計画に変える手順

  1. 体験記から「真似していい部分」だけを抜き出して、メモに書く
  2. 書いた人の前提と自分の前提を比べ、勉強時間は自分の目安で出し直す
  3. 体験記の勉強法を1つだけ取り入れて、2週間試す
  4. 本番と同じ形式で解いて、正答率が上がったかを確かめる
  5. 上がらなければ、その方法は自分には合わなかったと考え、別の方法に替える

最後に判断するのは、体験記の言葉ではなく、自分の過去問の正答率です。

不合格の体験も読む

合格体験記だけを読むと、「何をすれば受かるか」ばかりが目に入ります。不合格の体験には、「何をすると落ちるか」が書かれています。

青木マーケ(株)のブログには、消防設備士試験で58点で不合格だった方を例にした記事もあります(既存記事「【体験談】消防設備士試験の結果が58点で不合格だった人への補助ブログ」https://aokimarke.com/support-blog/ )。合格の話と不合格の話を両方読むと、自分の勉強のどこが危ないかが見えやすくなります。

青木の場合

私の体験も、そのまま真似しないでください。私は消防設備士の試験を、試験の2週間くらい前から、平日2時間・休日5時間ほどの勉強で受けていました(YouTube「【📝甲4製図】国家資格「消防設備士」甲種4類の製図(平面図・断面図・系統図)の過去問を徹底解説!【実技試験】」2:02〜2:09)。ただ、これは実務で消防設備に関わっていたことが前提です。

さらに言えば、私は高専から大学院まで試験勉強で鍛えられていたので、正直、消防設備士くらいなら余裕でした。ほかの方は、本番形式で確かめる手段がないと苦労すると思います(2026年10月時点の本人の回答)。勉強時間の目安を「50時間くらいですかね」と一言で答えてしまうと、実務経験のある人とない人のどちらかにウソをつくことになる、というのが、勉強時間シミュレーターを作った理由です(青木マーケ(株)「消防設備士試験の勉強時間シミュレーター」)。

体験記は、自分と前提が近い人のものほど役に立ちます。読むときは、まず「この人は自分と同じ条件か」を確かめてから、中身を読むのがおすすめです。

強欲な青木
アンタは2週間で受かったんやろ?それ真似したらええやん。
やめてください(笑)。僕は実務で設備をさわってたし、高専から大学院まで試験勉強で鍛えられてたんで。ほかの方は、本番形式で確かめないと苦労すると思います。
消防設備士
強欲な青木
前提が違う人の時間を、そのまま当てはめたらあかんのか…。
そうです。自分と条件が近い人の体験記を探して、最後は自分の正答率で判断してください。
消防設備士

研究と資料の限界

  • 消費者庁の調査は、健康食品の広告を例にした一般の人へのアンケートで、資格試験の体験記を読んだ受験者を調べたものではありません。
  • Bjorkら(2013年)とKornell & Bjork(2008年)は、主に大学生を対象にした研究と、その総説です。
  • 体験記の内容と合否の関係を調べた研究は、今回の調査では見つかっていません。判断表と手順は、研究と私たちの経験をもとにした提案です。
  • 勉強時間の目安は、青木の経験則にもとづくもので、受験者を集めて測った数字ではありません。

次にやること

  1. 自分の条件で、勉強時間の目安を出し直す
  2. 消防設備士試験の勉強時間シミュレーター https://aokimarke.com/study-time/
  3. 体験記から取り入れた方法で、分野ごとの過去問を解く
  4. 消防設備士 甲4・乙4(自動火災報知設備)https://aokimarke.com/kakomon4/
  5. 消防設備士 乙6(消火器)https://aokimarke.com/kakomon6/
  6. 消防関係法令(共通)の過去問・解説まとめ https://aokimarke.com/kyotsu/
  7. 方法が自分に合っているかを、本番と同じ形式の正答率で確かめる
  8. 消防設備士4類「過去問テスト」甲種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /甲種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E7%94%B2%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
  9. 消防設備士4類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%94%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB4%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
  10. 消防設備士6類「過去問テスト」乙種【冊子版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB%EF%BC%96%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-%E5%86%8A%E5%AD%90%E7%89%88 /乙種【PDF版】https://aokimarke.store/products/2026%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88-%E6%B6%88%E9%98%B2%E8%A8%AD%E5%82%99%E5%A3%AB6%E9%A1%9E-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-%E4%B9%99%E7%A8%AE-pdf%E4%BB%98%E3%81%8D
  11. ほかの類:過去問テストの商品一覧 https://aokimarke.store/collections/all

過去問テストは、本番と同じ問題数・形式でマークシートを使って解く教材です。体験記の方法が自分に合っているかを、自分の点数で確かめる道具として使ってください。教材そのものの口コミは、既存の口コミページ(全体 https://aokimarke.com/setsubishi-blog-reputation/ 、類別の例:4類 https://aokimarke.com/4rui-voice/ 、6類 https://aokimarke.com/6rui-voice/ )にまとめています。

関連記事:科学的に効果が確かめられた勉強法(【勉強法】資格試験は「読む」より「思い出す」で覚える|科学的に効果が高い覚え方を過去問演習に当てはめる)、資格試験の点数が伸びない原因(資格試験の点数が伸びない原因は「勉強の中身」|時間の割に成果が出ないときの見直し7項目)

参考文献

  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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