消防法第2条〔用語の定義〕には、以下の通り防火対象物について謳われています。
防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。
また、消防法上で「防火対象物が用途ごとに分類されている消防法令別表第1」なる表があり、消防関係者は全て暗記しています。
防火対象物は、令別表第1上で「どの用途に該当するかによって、設置義務の生じる消防用設備等が決まる」仕組みになっています。
つまり、防火対象物が令別表第1のどれに分類されるかを判定できなければ、必要な消防用設備等も分からないのです。
防火対象物の用途とは?
特定防火対象物と非特定防火対象物
令別表第1の防火対象物は、大きく「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」に分けられています。
特定防火対象物とは、消防法第17条の2の5にて以下の通り謳われている建物を指しています。
防火対象物で多数の者が出入するものとして政令で定めるもの
非特定防火対象物については、ズバリ “特定防火対象物でない防火対象物” という理解で間違いありません。
あとは(16)項について(16)項ロ以外の(16)項イ 複合用途防火対象物・(16の2)地下街・(16の3)準地下街が特定防火対象物であり、それ以外は非特定防火対象物です。
では続いて、各項ごとに該当する用途を確認していきましょう。
(1)項イ 劇場・映画館・演芸場・観覧場
定義
客席を設けて映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は見せ物を公衆に見せ、又は聞かせる施設をいう。
1 劇場とは、主として演劇、舞踊、音楽等を観賞する目的で公衆の集合する施設であって客席を有するものをいう。
2 映画館とは、主として映画を観賞する目的で公衆の集合する施設であって客席を有するものをいう。
3 演芸場とは、落語、講談、漫才、手品等の演芸を観賞する目的で公衆の集合する施設であって客席を有するものをいう。
4 観覧場とは、スポーツ、見せ物等を観賞する目的で公衆の集合する施設であって客席を有するものをいう。
該当用途例
・シアター、音楽ホール
・ミュージカルホール
・寄席
・各種スポーツ施設(野球場、相撲場、サッカー場等)
・競馬場、競輪場、競艇場
・サーカス小屋
補足説明事項
1 客席には、いす席、座り席、立席が含まれる。
2 小規模な選手控席のみを有する体育館及び事業所等の体育施設等で公衆に観覧させないものは、本項として扱わない。(各区の体育館は、観覧のための客席を有していないことから、 (15)項として扱うものである。)
3 本項の防火対象物は、だれでも当該防火対象物で映画、演劇、スポーツ等を鑑賞できるものであること。
(1)項ロ 公会堂・集会場
定義
集会、会議、社交等の目的で公衆の集合する施設で あって客席を有するものをいう。
1 公会堂とは、原則として舞台及び固定いすの客席を有し、主として映画、演劇等興行的なものを観賞し、これと並行して、その他の集会、会議等多目的に公衆の集合する施設であって、通常国又は地方公共団体が管理するものをいう。
2 集会場とは、原則として舞台及び固定いすの客席を有し、主として映画、演劇等興行的なものを観賞し、これと並行して、その他の集会、会議等多目的に公衆の集合する施設をいう。
該当用途例
・区民センター
・文化会館、市民会館
・福祉会館、児童会館
・貸ホール、貸講堂
・結婚会館(式場)
・町内会館、地区会館
補足説明事項
1 (1)項イの補足説明事項に同じ。
2 興行的なものとは、映画、演劇等娯楽的なものが反復継続されるものをいう。
※なお、反復継続とは、月 5 日以上行われるものをいう。