水系消火設備のポンプを確実に動かすには、電気回路を「測る」「守る」「回す」の三つに分けると理解しやすくなります。
これから覚える3つ
- 測る:絶縁抵抗計、テスター、接地抵抗計、抵抗計
- 守る:配線用遮断器、漏電遮断器、ヒューズ、電磁開閉器、過負荷・欠相保護
- 回す:三相誘導電動機、正転・逆転、始動トルク、欠相運転
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1測る:絶縁抵抗計、テスター、接地抵抗計、抵抗計
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2守る:配線用遮断器、漏電遮断器、ヒューズ、電磁開閉器、過負荷・欠相保護
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3回す:三相誘導電動機、正転・逆転、始動トルク、欠相運転
この講義では、計測器を測定対象から選び、三相電動機の相順・トルク・欠相を一つの流れで整理します。
器具名より先に「何を・どの範囲で・どの状態で測るか」を確認する。
現在地:電気・配線1(1/4)|この講義5問・単元全18問
📏抵抗値と計測器の使い分け
抵抗測定は、対象とする桁が大きく変わります。
| 測定対象 | おおよその領域 | 適した器具・方式 |
|---|---|---|
| 接点・巻線・導体 | mΩ〜Ω | 低抵抗計、四端子法、ケルビンダブルブリッジ法 |
| 一般の抵抗器・回路 | Ω〜MΩ | テスター、デジタルマルチメータ、抵抗計、ホイートストンブリッジ法 |
| 電線・機器の絶縁 | MΩ以上 | 絶縁抵抗計(メガー) |
| 接地極と大地 | 接地抵抗 | 接地抵抗計 |
10の6乗Ωは1MΩです。このような高抵抗の絶縁状態を測る代表的な器具が絶縁抵抗計です。
ホイートストンブリッジは一般抵抗の比較測定、ケルビンダブルブリッジは低抵抗測定に適します。接地抵抗計は接地極と大地の抵抗を測る器具で、絶縁抵抗計とは測定対象が違います。
日置電機の抵抗測定資料は、ホイートストンブリッジ、低抵抗用のケルビンダブルブリッジ、現在の抵抗計・LCRメータ等を測定方式と範囲で区別しています。
1MΩ=10の6乗Ω。高抵抗の絶縁測定は絶縁抵抗計。
⚡絶縁抵抗計|直流試験電圧を加えて漏れを測る
絶縁抵抗計は、測定対象へ直流試験電圧を印加し、流れる微小な漏れ電流から絶縁抵抗を求めます。
原理はオームの法則です。
R = V / I
同じ試験電圧なら、漏れ電流が小さいほど絶縁抵抗は大きく、絶縁状態は良好です。
ただし、測定電圧は対象回路の定格や試験基準に合わせます。高い電圧レンジを無条件に選ぶと電子機器や制御回路を損傷するおそれがあります。
基本手順
- 回路を停電・分離する
- 検電して無電圧を確認する
- 電子機器、半導体、表示器等への影響を確認し、必要に応じて切り離す
- 適切な定格測定電圧を選ぶ
- ライン端子とアース端子を正しく接続する
- 測定し、値が安定してから読む
- 測定後は対象の容量成分を放電する
「メガー」は絶縁抵抗計を指す通称として広く使われます。試験では、一般に絶縁抵抗を測る測定器としてメガーを選びます。
日置電機及び横河計測の絶縁抵抗計資料は、直流電圧印加・電流検出の測定原理、複数の定格測定電圧、活線警告及び測定後の放電を示しています。
絶縁抵抗測定は「停電・検電・適正電圧・測定・放電」。
🛡遮断器とモータ保護
ポンプ電動機の回路には、事故の種類に応じた保護が必要です。
| 機器 | 主な役割 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 配線用遮断器 | 短絡・過電流から配線を保護 | モータ始動電流で不要動作しない選定 |
| 漏電遮断器 | 地絡・漏電を検出して遮断 | 過電流保護の有無を型式で確認 |
| ヒューズ | 過電流で溶断 | 一相だけ溶断すると欠相の原因になり得る |
| 電磁接触器 | 電動機回路を開閉 | 単体では過負荷保護ではない |
| サーマルリレー・モータリレー | 過負荷・欠相等を検出 | 結線方式と検出要素により欠相検出特性が異なる |
遮断器は、何でも同じ「電気を切る箱」ではありません。短絡、過負荷、漏電、欠相をどの機器が検出するかを回路図で追います。
消防用設備の非常電源回路では、一般負荷とは異なる専用性、耐火・耐熱配線、遮断器表示等の条件も加わります。これらは電気②・電気③で扱います。
三菱電機及びオムロンの制御・保護資料は、電磁接触器の開閉、過電流・欠相検出、モータ焼損保護を別の機能として示しています。
保護回路は「検出する機器」と「遮断する機器」を分けて読む。
🔄三相誘導電動機の回転方向
三相誘導電動機の固定子には、120度ずれた三相交流を加えます。R、S、Tの相順により回転磁界の向きが決まり、回転子がその方向へ回転します。
逆回転させるには、三本の電源線のうち任意の二本を入れ替えます。
例えば、正転時が次の接続だとします。
- R-U
- S-V
- T-W
RとSを入れ替えると相順が逆になり、回転磁界も逆になります。
- R-V
- S-U
- T-W
三本すべてを循環させて入れ替えるだけでは、相順が同じ場合があり、回転方向は変わりません。
オリエンタルモーターの取扱資料は、三相電源R・S・Tのいずれか二線を入れ替えると反対方向に回転することを示しています。
逆転は「任意の二相を交換」。三相全部の循環入替えと区別する。
🔐 正転・逆転回路のインタロック
実際の可逆運転では、正転用と逆転用の二台の電磁接触器で二相を入れ替えます。
ただし、二台が同時にONになると相間短絡を起こします。そのため、電気的インタロックと機械的インタロックを設けます。
- 電気的インタロック:相手側接触器のb接点をコイル回路へ直列に入れ、片方がONの間は他方を励磁できなくする
- 機械的インタロック:機構上、二台の接触器が同時投入しないようロックする
また、運転中に瞬時に逆転させると電動機、ポンプ、軸、カップリング、配管へ大きな機械的・電気的負担がかかります。設備の制御仕様に従い、安全に停止してから相順を切り替えます。
ポンプは逆回転すると吐出性能が低下し、異音・振動の原因になります。試運転時は電動機だけでなく、ポンプ本体の回転方向表示も確認します。
三菱電機FAの可逆運転資料は、二台の接触器で二相を入れ替え、電気的・機械的インタロックにより同時投入と相間短絡を防ぐ構成を示しています。
正逆回路は「二相交換+電気的インタロック+機械的インタロック」。
📉電圧低下で始動トルクが小さくなる
誘導電動機の始動トルクは、概ね印加電圧の二乗に比例します。
Tstart ∝ V²
定格電圧を100%とすると電圧90%では始動トルクは約81%、電圧80%では約64%です。
したがって、電圧が下がると始動電流を抑えられる面がある一方、始動トルクは大きく低下します。ポンプ負荷を加速できなければ、始動時間が延び、過熱や保護動作につながります。
過去問の基本整理では、定格より電圧が低下すると「始動トルクは小さくなり、効率は悪くなる」を正しい組合せとします。
実機の効率・電流・温度は、電動機の設計、負荷率、すべり、電圧不平衡等でも変わります。したがって、実務ではこの一文だけで良否判定せず、銘板電圧、電流、負荷、温度及びメーカー特性を確認します。
オリエンタルモーター及び三菱電機の技術資料は、誘導電動機の発生・始動トルクが印加電圧のほぼ二乗に比例し、低電圧でトルク不足や温度上昇のおそれがあることを示しています。
電圧90%なら始動トルク約81%。一次比例ではなく二乗比例。
⚠欠相|停止中と運転中で挙動が違う
三相電源の一相が断線、ヒューズ溶断、接触不良等で失われた状態を欠相といいます。
停止中に欠相したまま始動
回転磁界を正しく作れないため、通常は自力で始動できません。大きな起動電流が流れ続け、電動機焼損のおそれがあります。
運転中に一相が欠相
回転子には慣性があり、負荷が軽ければ単相状態でも回転を継続することがあります。しかし残りの相の電流は増加し、トルク低下、温度上昇、焼損へつながります。
したがって「回り続けているから正常」と判断してはいけません。
欠相保護では、三相電流や電圧不平衡を監視し、異常時に接触器を開放します。結線方式によって線電流だけでは異常を捉えにくい場合があるため、保護機器の仕様を確認します。
オムロンの欠相保護資料は、停止中欠相では回転せず起動電流が流れ続け、運転中欠相では軽負荷なら回転を継続し得る一方、残り相の電流増加と焼損危険があることを示しています。
同資料は、結線方式と欠相位置により相電流・線電流の増加率が異なり、過負荷要素だけでは欠相を検出できない場合があることを示しています。
欠相は「始動不能」だけでなく、「回転継続・電流増加・過熱」が危険。
⚠よく出る注意ポイント
- 1MΩ以上は接地抵抗計 → 絶縁抵抗計
- 一般の絶縁抵抗はテスターだけで測る → メガーを使用
- 絶縁抵抗計は活線のまま測る → 原則として停電・検電して測定
- 測定電圧は高いほどよい → 対象と基準に合わせる
- 三相電動機は三相すべてを循環入替えすると逆転 → 任意の二相を交換
- 正転・逆転接触器は同時ONできる → 相間短絡を防ぐインタロックが必要
- 電圧90%なら始動トルク90% → 約81%
- 電圧低下で始動トルクが大きくなる → 小さくなる
- 運転中欠相は必ず直ちに停止 → 軽負荷なら回転継続する場合がある
- 欠相で残り二相の電流は減る → 増加する
✍過去問ベースの類題で確認しよう
※以下は、原題の論点・条件・正答を維持しつつ、表・図・文章を学習用に再構成した類題です。原題の問題文・図版そのものではありません。
この単元の収録類題は、全部で5問です。
10の6乗Ω以上の抵抗を測定する方法として、最も適切なものは次のうちどれか。
- ホイートストンブリッジを用いる方法
- 電位差計を用いる方法
- 絶縁抵抗計を用いる方法
- 接地抵抗計を用いる方法
一般に絶縁抵抗を測る測定器として、最も適切なものは次のうちどれか。
- テスター
- 接地抵抗計
- メガー
- 携帯用ホイートストンブリッジ
三相誘導電動機を逆回転させるための方法として、正しいものは次のうちどれか。
- 3つの端子のうち、3端子全ての結線を入れ替える。
- 任意の2端子の結線を入れ替える。
- コンデンサを取り付ける。
- スターデルタ始動器を取り付ける。
三相誘導電動機に加わる電圧が定格値より低下した場合、始動トルクと効率の変化の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
| 選択肢 | 始動トルク | 効率 |
|---|---|---|
| 1 | 大きくなる | 良くなる |
| 2 | 大きくなる | 悪くなる |
| 3 | 小さくなる | 悪くなる |
| 4 | 小さくなる | 良くなる |
運転中に三相誘導電動機の電源ヒューズの1本が切れ、単相電源となった場合について、最も適切なものは次のうちどれか。
- いったん停止するが、そのまま再び始動する。
- そのまま継続運転はできない。
- 電源ヒューズの残りの2本に流れる電流は減少する。
- 電源ヒューズの残りの2本に流れる電流は増加する。
まとめ
- 10の6乗Ω=1MΩ以上の高抵抗は絶縁抵抗計で測る
- メガーは絶縁抵抗計の通称
- 絶縁抵抗測定は停電・検電・適正電圧・放電まで行う
- 遮断器、接触器、過負荷・欠相リレーは役割を分ける
- 三相誘導電動機は任意の二相を入れ替えると逆転する
- 正逆接触器には電気的・機械的インタロックを設ける
- 始動トルクは電圧のほぼ二乗に比例する
- 運転中欠相では回転継続する場合があるが、残り相の電流は増加する
電気は、器具名の暗記ではなく、測定対象・電流経路・相順・異常時の変化を図で追うと安定して解けます。
➡次に進みましょう
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【過去問】消防設備士甲1・乙1の電気②|非常電源・蓄電池・配電盤・接地







