【過去問】消防設備士甲1・乙1の電気①|計測器・遮断器・誘導電動機

【過去問】消防設備士甲1・乙1の電気①|計測器・遮断器・誘導電動機

電気に関する基礎的知識のうち、電圧計・電流計と指示電気計器および三相誘導電動機の同期速度と滑りを先に確認してください。電気理論や一般回路をそこで押さえてから、1類水系設備のポンプ回路へ進むと理解しやすくなります。

この講義では、水系消火設備のポンプ回路に限定し、「測る」「守る」「回す」の三つの役割で計測器、保護機器、三相誘導電動機を判定します。

これから覚える3つ

  1. 測る:絶縁抵抗計、テスター、接地抵抗計、抵抗計
  2. 守る:配線用遮断器、漏電遮断器、ヒューズ、電磁開閉器、過負荷・欠相保護
  3. 回す:三相誘導電動機、正転・逆転、始動トルク、欠相運転

強欲な青木
抵抗なら、全部テスターの抵抗レンジで測ればよいですか。

抵抗値の大きさと測定目的で器具を選びます。絶縁状態を調べる高抵抗測定には、所定の直流試験電圧を印加する絶縁抵抗計を使います。
消防設備士

測定対象から計測器を選ぶ

器具名より先に「何を・どの範囲で・どの状態で測るか」を確認する。

 

 

現在地:電気・配線1(1/4)



問題の掲載方針

この記事の確認問題は、過去問ベースの類題です。原題の論点・条件・正答を維持しつつ、文章・表・図を学習用に再構成しており、原題の問題文・図版そのものではありません。




最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)ショップの消防設備士「過去問テスト」毎年更新しています。

>> 消防設備士「過去問テスト」

併せて、ご参照ください。

 

📏抵抗値と計測器の使い分け

抵抗測定は、対象とする桁が大きく変わります。

測定対象 おおよその領域 適した器具・方式
接点・巻線・導体 mΩ〜Ω 低抵抗計、四端子法、ケルビンダブルブリッジ法
一般の抵抗器・回路 Ω〜MΩ テスター、デジタルマルチメータ、抵抗計、ホイートストンブリッジ法
電線・機器の絶縁 MΩ以上 絶縁抵抗計(メガー)
接地極と大地 接地抵抗 接地抵抗計

10の6乗Ωは1MΩです。このような高抵抗の絶縁状態を測る代表的な器具が絶縁抵抗計です。

ホイートストンブリッジは一般抵抗の比較測定、ケルビンダブルブリッジは低抵抗測定に適します。接地抵抗計は接地極と大地の抵抗を測る器具で、絶縁抵抗計とは測定対象が違います。

抵抗レンジの対数スケール

強欲な青木
10の6乗Ωなら、接地抵抗計で測るのですか。

接地抵抗計は接地極の抵抗用です。1MΩ以上の絶縁抵抗には絶縁抵抗計を選びます。
消防設備士

日置電機の抵抗測定資料は、ホイートストンブリッジ、低抵抗用のケルビンダブルブリッジ、現在の抵抗計・LCRメータ等を測定方式と範囲で区別しています。

1MΩ=10の6乗Ω。高抵抗の絶縁測定は絶縁抵抗計。

 

 

⚡絶縁抵抗計|直流試験電圧を加えて漏れを測る

絶縁抵抗計は、測定対象へ直流試験電圧を印加し、流れる微小な漏れ電流から絶縁抵抗を求めます。

原理はオームの法則です。

R = V / I

同じ試験電圧なら、漏れ電流が小さいほど絶縁抵抗は大きく、絶縁状態は良好です。

ただし、測定電圧は対象回路の定格や試験基準に合わせます。高い電圧レンジを無条件に選ぶと電子機器や制御回路を損傷するおそれがあります。

 

基本手順

  1. 回路を停電・分離する
  2. 検電して無電圧を確認する
  3. 電子機器、半導体、表示器等への影響を確認し、必要に応じて切り離す
  4. 適切な定格測定電圧を選ぶ
  5. ライン端子とアース端子を正しく接続する
  6. 測定し、値が安定してから読む
  7. 測定後は対象の容量成分を放電する

「メガー」は絶縁抵抗計を指す通称として広く使われます。試験では、一般に絶縁抵抗を測る測定器としてメガーを選びます。

絶縁抵抗測定の原理と安全手順

強欲な青木
大きい抵抗ほど測りにくいので、常に1000Vレンジを使えばよいですか。

対象と基準に合う測定電圧を選びます。制御基板や表示器をつないだまま高電圧を加えると機器を損傷するおそれがあります。
消防設備士

日置電機及び横河計測の絶縁抵抗計資料は、直流電圧印加・電流検出の測定原理、複数の定格測定電圧、活線警告及び測定後の放電を示しています。

絶縁抵抗測定は「停電・検電・適正電圧・測定・放電」。

 

 

🛡遮断器とモータ保護

ポンプ電動機の回路には、事故の種類に応じた保護が必要です。

機器 主な役割 見落としやすい点
配線用遮断器 短絡・過電流から配線を保護 モータ始動電流で不要動作しない選定
漏電遮断器 地絡・漏電を検出して遮断 過電流保護の有無を型式で確認
ヒューズ 過電流で溶断 一相だけ溶断すると欠相の原因になり得る
電磁接触器 電動機回路を開閉 単体では過負荷保護ではない
サーマルリレー・モータリレー 過負荷・欠相等を検出 結線方式と検出要素により欠相検出特性が異なる

遮断器は、何でも同じ「電気を切る箱」ではありません。短絡、過負荷、漏電、欠相をどの機器が検出するかを回路図で追います。

消防用設備の非常電源回路では、一般負荷とは異なる専用性、耐火・耐熱配線、遮断器表示等の条件も加わります。これらは電気②・電気③で扱います。

モータ回路の保護分担

強欲な青木
電磁接触器がOFFになれば、短絡も欠相も全部保護できますか。

接触器は開閉を担当します。何を検出してOFFさせるかは、遮断器、サーマルリレー、欠相リレー等の保護要素によります。
消防設備士

電磁接触器による回路の開閉と過電流・欠相の検出による電動機保護は別の機能です。

保護回路は「検出する機器」と「遮断する機器」を分けて読む。

 

 

🔄三相誘導電動機の回転方向

三相誘導電動機の固定子には、120度ずれた三相交流を加えます。R、S、Tの相順により回転磁界の向きが決まり、回転子がその方向へ回転します。

逆回転させるには、三本の電源線のうち任意の二本を入れ替えます。

例えば、正転時が次の接続だとします。

  • R-U
  • S-V
  • T-W

RとSを入れ替えると相順が逆になり、回転磁界も逆になります。

  • R-V
  • S-U
  • T-W

三本すべてを循環させて入れ替えるだけでは、相順が同じ場合があり、回転方向は変わりません。

任意2相入替えで逆回転

強欲な青木
三本とも別の端子へずらせば、たくさん入れ替えたので逆回転になりますか。

重要なのは本数ではなく相順です。任意の二相を交換すると相順が反転し、三相を同じ向きに循環させただけなら相順は変わりません。
消防設備士

三相電源R・S・Tのいずれか二線を入れ替えると誘導電動機は反対方向に回転します。

逆転は「任意の二相を交換」。三相全部の循環入替えと区別する。

 

 

🔐 正転・逆転回路のインタロック

実際の可逆運転では、正転用と逆転用の二台の電磁接触器で二相を入れ替えます。

ただし、二台が同時にONになると相間短絡を起こします。そのため、電気的インタロックと機械的インタロックを設けます。

  • 電気的インタロック:相手側接触器のb接点をコイル回路へ直列に入れ、片方がONの間は他方を励磁できなくする
  • 機械的インタロック:機構上、二台の接触器が同時投入しないようロックする

また、運転中に瞬時に逆転させると電動機、ポンプ、軸、カップリング、配管へ大きな機械的・電気的負担がかかります。設備の制御仕様に従い、安全に停止してから相順を切り替えます。

ポンプは逆回転すると吐出性能が低下し、異音・振動の原因になります。試運転時は電動機だけでなく、ポンプ本体の回転方向表示も確認します。

可逆回路と二重インタロック

強欲な青木
逆転ボタンを押せば、回転中でもすぐ反対へ回してよいですか。

瞬時逆転は接触器、電動機、機械負荷へ大きな負担を与えます。停止確認とインタロックを含む設計どおりに操作します。
消防設備士

可逆運転では二台の接触器で二相を入れ替え、電気的・機械的インタロックにより同時投入と相間短絡を防ぎます。

正逆回路は「二相交換+電気的インタロック+機械的インタロック」。

 

 

📉電圧低下で始動トルクが小さくなる

誘導電動機の始動トルクは、概ね印加電圧の二乗に比例します。

Tstart ∝ V²

定格電圧を100%とすると電圧90%では始動トルクは約81%、電圧80%では約64%です。

したがって、電圧が下がると始動電流を抑えられる面がある一方、始動トルクは大きく低下します。ポンプ負荷を加速できなければ、始動時間が延び、過熱や保護動作につながります。

過去問の基本整理では、定格より電圧が低下すると「始動トルクは小さくなり、効率は悪くなる」を正しい組合せとします。

実機の効率・電流・温度は、電動機の設計、負荷率、すべり、電圧不平衡等でも変わります。したがって、実務ではこの一文だけで良否判定せず、銘板電圧、電流、負荷、温度及びメーカー特性を確認します。

電圧と始動トルクの二乗関係

強欲な青木
電圧が10%下がれば、トルクも10%だけ下がりますか。

概ね二乗比例なので、90%電圧では約81%トルクです。電圧低下より大きな割合で始動トルクが落ちます。
消防設備士

誘導電動機の発生・始動トルクは印加電圧のほぼ二乗に比例するため、低電圧ではトルク不足や温度上昇のおそれがあります。

電圧90%なら始動トルク約81%。一次比例ではなく二乗比例。

 

 

⚠欠相|停止中と運転中で挙動が違う

三相電源の一相が断線、ヒューズ溶断、接触不良等で失われた状態を欠相といいます。

 

停止中に欠相したまま始動

回転磁界を正しく作れないため、通常は自力で始動できません。大きな起動電流が流れ続け、電動機焼損のおそれがあります。

 

運転中に一相が欠相

回転子には慣性があり、負荷が軽ければ単相状態でも回転を継続することがあります。しかし残りの相の電流は増加し、トルク低下、温度上昇、焼損へつながります。

したがって「回り続けているから正常」と判断してはいけません。

欠相保護では、三相電流や電圧不平衡を監視し、異常時に接触器を開放します。結線方式によって線電流だけでは異常を捉えにくい場合があるため、保護機器の仕様を確認します。

停止時・運転時の欠相比較

強欲な青木
一相が切れても回っているなら、二相だけで省エネ運転できますか。

回転を続ける場合があっても異常運転です。残り二相の電流が増え、過熱・焼損のおそれがあります。
消防設備士

強欲な青木
欠相なら必ず配線用遮断器がすぐ落ちますか。

欠相時の電流分布と保護器の検出方式によっては、単純な過電流要素だけで検出しにくい場合があります。欠相保護の仕様を確認します。
消防設備士

停止中欠相では回転せず起動電流が流れ続けます。運転中欠相では軽負荷なら回転を継続する場合がありますが、残り相の電流が増えて焼損する危険があります。

同資料は、結線方式と欠相位置により相電流・線電流の増加率が異なり、過負荷要素だけでは欠相を検出できない場合があることを示しています。

欠相は「始動不能」だけでなく、「回転継続・電流増加・過熱」が危険。

 

 

✍過去問ベースの類題で確認しよう

※以下は、原題の論点・条件・正答を維持しつつ、表・図・文章を学習用に再構成した類題です。原題の問題文・図版そのものではありません。

この単元の収録類題は、全部で5問です。

 

10の6乗Ω以上の抵抗を測定する方法として、最も適切なものは次のうちどれか。

  1. ホイートストンブリッジを用いる方法
  2. 電位差計を用いる方法
  3. 絶縁抵抗計を用いる方法
  4. 接地抵抗計を用いる方法

 

一般に絶縁抵抗を測る測定器として、最も適切なものは次のうちどれか。

  1. テスター
  2. 接地抵抗計
  3. メガー
  4. 携帯用ホイートストンブリッジ

 

三相誘導電動機を逆回転させるための方法として、正しいものは次のうちどれか。

  1. 3つの端子のうち、3端子全ての結線を入れ替える。
  2. 任意の2端子の結線を入れ替える。
  3. コンデンサを取り付ける。
  4. スターデルタ始動器を取り付ける。

 

三相誘導電動機に加わる電圧が定格値より低下した場合、始動トルクと効率の変化の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

選択肢 始動トルク 効率
大きくなる 良くなる
大きくなる 悪くなる
小さくなる 悪くなる
小さくなる 良くなる

 

運転中に三相誘導電動機の電源ヒューズの1本が切れ、単相電源となった場合について、最も適切なものは次のうちどれか。

  1. いったん停止するが、そのまま再び始動する。
  2. そのまま継続運転はできない。
  3. 電源ヒューズの残りの2本に流れる電流は減少する。
  4. 電源ヒューズの残りの2本に流れる電流は増加する。


強欲な青木
迷わずに回答できましたか?
もし、まだ自信がないのであれば繰り返し「過去問テスト」等を使って類題を解くことをオススメします!
消防設備士

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上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。


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