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【過去問】酸化還元の電子授受計算を解説|危険物取扱者【甲種】物理化学

【過去問】酸化還元の電子授受計算を解説|危険物取扱者【甲種】物理化学

A出題ランク:甲種で頻出のAランク(重要)

甲種専用物理化学の2本目は酸化還元の電子授受計算です。「酸化数」という数値を使えば、複雑な反応式でも機械的に酸化・還元を判定できるようになります。

電池のしくみ(電子がどちらに流れるか)も、この単元の頻出テーマです。

強欲な青木

沈殿ができる反応も、色が変わる反応も、全部酸化還元反応な気がするっす。

消防設備士

そこが定番のひっかけです。沈殿ができる反応(複分解反応)の多くは酸化数が変化しない=酸化還元反応ではありません。例えばBaCl₂+Na₂SO₄→BaSO₄+2NaClは、すべての原子の酸化数が反応前後で変わらないため、酸化還元反応には該当しません。

このページを見たら危険物取扱者甲種の物理化学に出てくる「酸化還元の電子授受計算」に関する問題が得点源となるはず!

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併せて、ご参照ください。

目次

🔰基礎教養学習

1. 酸化数の決め方

酸化数とは、原子の酸化の程度を表す数値です。次の基本ルールで求めます。

  • 単体中の原子の酸化数は0(例:H₂のH)
  • 単原子イオンの酸化数は、そのイオンの電荷に等しい(例:Cu²⁺は+2)
  • 化合物中の水素は+1、酸素は−2(例外:過酸化水素H₂O₂のOは−1)
  • 化合物中の原子の酸化数の総和は0
  • 多原子イオン中の酸化数の総和は、そのイオンの電荷に等しい

酸化数が増加=酸化された/酸化数が減少=還元された

酸化還元の電子授受の考え方
酸化還元の電子授受の考え方

2. 酸化剤・還元剤の関係

区分 はたらき 反応後の自身
酸化剤 相手の電子を奪う(相手を酸化させる) 酸化数が減少し、自身は還元される
還元剤 相手に電子を与える(相手を還元させる) 酸化数が増加し、自身は酸化される
強欲な青木

電池の中で、電子はどっちからどっちに流れるんすか?

消防設備士

イオン化傾向の大きい金属が負極(電子を放出する側)になります。鉄と銅なら、Fe>Cuなので鉄が電子を放出して溶け出し(Fe→Fe²⁺+2e⁻)、銅側では水素イオンがその電子を受け取って水素ガスが発生します(2H⁺+2e⁻→H₂)。

上記の内容をふまえて、さっそく過去問に挑戦してみましょう!

【過去問】酸化還元の電子授受計算

【問1】 鉄板と銅板を希硫酸中に入れ、それを導線で接続したときに起きる現象について、次のうち正しいものはどれか。

  1. 鉄板が溶ける。
  2. 銅板が溶ける。
  3. 銅板から酸素が発生する。
  4. 鉄板から水素が発生する。
  5. 鉄板と銅板の両方が溶ける。
解答と解説を見る

正解:1

イオン化傾向はFe>Cuなので、イオン化傾向の大きい鉄板が負極(酸化される側)となり、電子を放出して鉄イオンとなって溶け出します。

負極(鉄板):Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ ← 鉄板が溶ける
正極(銅板):2H⁺ + 2e⁻ → H₂ ← 銅板から水素ガスが発生

銅板は溶けず、発生するのは酸素ではなく水素です。

【問2】 酸化還元を伴わない化学反応は、次のうちどれか。

  1. MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
  2. 2K₄[Fe(CN)₆] + Cl₂ → 2K₃[Fe(CN)₆] + 2KCl
  3. CuO + H₂ → Cu + H₂O
  4. 2KI + Br₂ → 2KBr + I₂
  5. BaCl₂ + Na₂SO₄ → BaSO₄ + 2NaCl
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正解:5

選択肢5はBa・Cl・Na・S・Oいずれも酸化数の変化がなく、BaSO₄が沈殿として生成する「複分解反応(沈殿生成反応)」であり、酸化還元を伴いません。他の選択肢はいずれも酸化数が変化する酸化還元反応です(例:1はMn +4→+2、Cl −1→0)。

【問3】 次のA〜Eのうち、酸化還元反応でないものはいくつあるか。

A Fe+H₂SO₄→H₂+FeSO₄
B 2KMnO₄+10FeSO₄+8H₂SO₄→K₂SO₄+2MnSO₄+5Fe₂(SO₄)₃+8H₂O
C NaCl+AgNO₃→AgCl+NaNO₃
D BaCl₂+Na₂SO₄→BaSO₄+2NaCl
E 2H₂S+SO₂→2H₂O+3S

  1. なし
  2. 1つ
  3. 2つ
  4. 3つ
  5. 4つ
解答と解説を見る

正解:3(2つ)

酸化数の変化を整理すると、CとDはいずれも複分解反応(沈殿生成)で酸化数の変化がなく、酸化還元反応ではありません。A(Fe: 0→+2)、B(Mn: +7→+2、Fe: +2→+3)、E(S: −2→0、+4→0)はいずれも酸化還元反応です。

チェック1(4択)

酸化剤としてはたらいた物質の酸化数は、反応後どうなるか。

  1. 増加する
  2. 減少する
  3. 変化しない
  4. 0になる
解答と解説を見る

正解:2

酸化剤は相手から電子を奪う(相手を酸化させる)ため、自身は還元され、酸化数は減少します。

チェック2(○✕)

次の記述の正誤を答えなさい。

沈殿が生成する反応は、必ず酸化還元反応である。

解答と解説を見る

正解:✕

沈殿生成反応(複分解反応)の多くは酸化数が変化せず、酸化還元反応ではありません。反応の種類(見た目)と酸化還元かどうかは別の判断基準です。

チェック3(穴埋め)

次の( )に当てはまる語句を答えなさい。

  1. 単体中の原子の酸化数は( ① )である。
  2. 化合物中の原子の酸化数の総和は( ② )である。
  3. 酸化数が増加した原子は( ③ )されたという。
  4. 相手に電子を与え、自身は酸化される物質を( ④ )という。
解答と解説を見る

 ②  ③ 酸化 ④ 還元剤

🪏深掘り解説

① 酸化還元かどうかは「酸化数の変化」だけで判定する

反応式を見て「色が変わりそう」「沈殿ができそう」といった見た目の印象で酸化還元かどうかを判断すると失点します。唯一の判定基準は「反応前後で酸化数が変化する原子があるかどうか」です。

沈殿生成反応(複分解反応)は、多くの場合イオンの組み替えだけで酸化数が変わらないため、酸化還元反応には該当しません。逆に、色の変化がない反応でも酸化数が変化していれば立派な酸化還元反応です。

② 電池は「イオン化傾向の差」が電子の流れを作る

2種類の金属を電解質水溶液に入れて導線でつなぐと、イオン化傾向の大きい方が負極(電子を放出)、小さい方が正極(電子を受け取る)になります。これがボルタ電池・ダニエル電池など、化学電池の基本原理です。

「どちらが溶けてどちらでガスが発生するか」は、2つの金属のイオン化傾向を比較するだけで判断できます。

まとめ

  • 酸化数が増加=酸化減少=還元

  • 沈殿生成反応の多くは酸化数が変化せず、酸化還元反応ではない

  • 酸化剤は自身が還元される、還元剤は自身が酸化される

  • 電池ではイオン化傾向の大きい金属が負極(電子を放出)になる

  • 判定基準は見た目ではなく酸化数の変化の有無のみ

強欲な青木

次はオームの法則っすね!甲種専用物理化学、続けていきましょう!

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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