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【過去問】貯蔵・取扱いの共通基準とは?「みだりに」の意味を解説|危険物取扱者乙4

A出題ランク:ほぼ毎回出るAランク(重要)

製造所等で危険物を貯蔵したり取り扱ったりするときは、数量のいかんを問わず、法令で定める技術上の基準に従わなければなりません。「指定数量未満だからセーフ」は通用しない、という怖いところです。

この単元は条文の言い回しがそのまま選択肢になるタイプで、ひっかけの作り方がワンパターンです。「みだりに」の一言があるかないか、「1日に1回以上」が「1週間に1回以上」にすり替わっていないか。そこだけ見抜ければ得点源になります。

法令15問のうち1〜2問はここから出ます。暗記量は多く見えますが、覚えるのは「言い換えのクセ」だけ。3分で急所を押さえていきましょう。

強欲な青木

センセー、製造所の中って火気厳禁っすよね? タバコどころかライターも持ち込んじゃダメなんすよね?

消防設備士

惜しいですね。条文は「製造所等においては、みだりに火気を使用しないこと」です。火気の使用を”すべて”禁止しているわけではありません。

強欲な青木

えっ、いいんすか? 危険物のそばで火を使っていいって、どういうことっすか。

消防設備士

「みだりに」とは、正当な理由もなく、という意味です。裏を返せば、正当な理由があって安全な措置を講じたうえでなら、火気を使うことはあり得る。たとえば必要な溶接作業などですね。試験では「製造所等においては、火気を使用してはならない」という、”みだりに”を抜いた選択肢が誤りとして出ます。

強欲な青木

うわ、それ絶対〇にしてたっす……。じゃあ「みだりに」って他にも出てくるんすか?

消防設備士

出てきます。「係員以外の者をみだりに出入りさせない」「みだりに空箱その他の不必要な物件を置かない」「容器をみだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、または引きずる等の粗暴な行為をしない」。この4つが定番です。逆に「みだりに」が付かない条文に勝手に付ける、あるいは付く条文から外す。出題者はこの2方向で必ず崩してきます。

強欲な青木

条文を全部覚えるんじゃなくて、”みだりに”が付く場所だけ覚えりゃいいってことっすね。急に希望が見えてきたっす。

消防設備士

そのとおりです。あとは数値。「1日に1回以上」「1m以上」「55℃」あたりを押さえれば、この単元は取り切れます。

目次

💪実力試し(3問)

【問1】 法令上、製造所等における危険物の貯蔵及び取扱いのすべてに共通する技術上の基準について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 製造所等においては、いかなる場合も火気を使用してはならない。
  2. 製造所等には、係員以外の者をみだりに出入りさせないこと。
  3. 製造所等においては、常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。
  4. 貯留設備または油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げること。

正解:1

条文は「みだりに火気を使用しないこと」であり、火気の使用のすべてを禁止しているわけではありません。「いかなる場合も」「一切」といった全面禁止の言い回しが出たら、まず疑ってください。2・3・4はいずれも条文どおりです。

【問2】 法令上、製造所等における危険物の貯蔵及び取扱いのすべてに共通する技術上の基準について、次のうち正しいものはどれか。

  1. 危険物のくず、かす等は、1週間に1回以上、安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
  2. 油分離装置にたまった危険物は、希釈してから下水道に排出すること。
  3. 危険物が残存しているおそれがある設備を修理する場合は、安全な場所において危険物を完全に除去した後に行うこと。
  4. 危険物を保護液中に保存する場合は、危険物の一部を保護液から露出させておくこと。

正解:3

1は「1日に1回以上」が正しい。2は、たまった危険物はあふれないように随時くみ上げるのであって、希釈して下水道へ流すことは認められません。4は逆で、保護液から露出しないようにします。3は条文どおりで、「火花を発する機械器具の使用に注意する」といった中途半端な措置に差し替える形でもよく出ます。

【問3】 法令上、危険物の貯蔵の技術上の基準について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 屋内貯蔵所においては、容器に収納して貯蔵する危険物の温度が80℃を超えないように必要な措置を講ずること。
  2. 屋外貯蔵タンクの周囲に設ける防油堤の水抜口は、通常は閉鎖しておくこと。
  3. 屋外貯蔵タンク、屋内貯蔵タンク、地下貯蔵タンクまたは簡易貯蔵タンクの計量口は、計量するとき以外は閉鎖しておくこと。
  4. 第3類の危険物のうち、黄りんその他水中に貯蔵する物品と禁水性物品とは、同一の貯蔵所において貯蔵しないこと。

正解:1

屋内貯蔵所の温度上限は55℃です。この数字を「65℃」「80℃」に差し替える出題が繰り返されています。2・3・4はいずれも条文どおりです。

🔰基礎教養学習

1. すべてに共通する基準(政令第24条)

製造所等での貯蔵・取扱いは、数量のいかんを問わず技術上の基準に従わなければなりません。まず「全施設・全危険物に共通するルール」を押さえます。

# 共通の基準 出題される崩し方
許可もしくは届出に係る品名以外の危険物を貯蔵・取扱いしない 「同じ類・同じ数量なら品名は随時変更できる」→誤り
許可もしくは届出に係る数量(指定数量の倍数)を超える危険物を貯蔵・取扱いしない 数量だけ・品名だけに限定する
みだりに火気を使用しない 「みだりに」を削って全面禁止にする
係員以外の者をみだりに出入りさせない 「何人も立入禁止」にする
常に整理及び清掃を行い、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かない 「不燃性物質以外を置いてはならない」→誤り(可燃・不燃を問わず不要物は置かない)
貯留設備・油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げる 「希釈して排水」「乳化剤で処理して下水道へ」→誤り
危険物のくず、かす等は1日に1回以上、性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置 「1週間に1回以上」→誤り
建築物その他の工作物または設備は、危険物の性質に応じ遮光または換気を行う 「遮光かつ換気」など要件を強める
温度計・湿度計・圧力計その他の計器を監視し、適正な温度・湿度・圧力を保つ 計器の種類を限定する
10 危険物が漏れ・あふれ・飛散しないように必要な措置を講じる 「洗浄設備を設けなければならない」→誤り
11 変質・異物の混入等により危険性が増大しないように必要な措置を講じる
12 危険物が残存(するおそれのある)設備・機械器具・容器等の修理は、安全な場所で危険物を完全に除去した後に行う 「火花を発する機械器具の使用に注意する」に差し替え→誤り
13 容器は危険物の性質に適応し、かつ破損・腐食・さけめ等がないもの
14 容器をみだりに転倒・落下させ、衝撃を加え、引きずる等の粗暴な行為をしない 「みだりに」を削る
15 可燃性の液体・蒸気・ガスが漏れ、滞留するおそれのある場所では、電線と電気器具を完全に接続し、火花を発する機械器具・工具・履物等を使用しない 「履物」を落とす/接続を「絶縁」に変える
16 危険物を保護液中に保存する場合は、危険物が保護液から露出しないようにする 「一部を露出させる」→誤り
強欲な青木

16個もあるんすか。無理っす。

消防設備士

全部を丸暗記する必要はありません。過去問で狙われるのは6・7・12・16と、「みだりに」の3・4・5・14。この8つを先に潰せば、残りは常識で選べます。

共通基準16項目の
図解:共通基準16項目の”狙われる8つ”

2. 類ごとの共通基準

第1類から第6類まで、類ごとに「避けること」が定められています。乙4の受験者でも、他類の基準がそのまま出題されます。

区分 避けること
第1類 共通 可燃物との接触・混合/分解を促す物品との接近/過熱、衝撃、摩擦
第1類 アルカリ金属の過酸化物 水との接触
第2類 共通 酸化剤との接触・混合/炎、火花、高温体との接近/過熱
第2類 鉄粉、金属粉、マグネシウム 水または酸との接触
第2類 引火性固体 みだりに蒸気を発生させない
第3類 自然発火性物品 炎、火花、高温体との接近/過熱/空気との接触
第3類 禁水性物品 水との接触
第4類 共通 炎、火花、高温体との接近/過熱/みだりに蒸気を発生させない
第5類 共通 炎、火花、高温体との接近/過熱、衝撃、摩擦
第6類 共通 可燃物との接触・混合/分解を促す物品との接近/過熱

ここから読み取れる”横串”が2つあります。

横串の論点 結論
すべての類に共通して避けるもの(第3類の禁水性物品を除く) 過熱
「水との接触を避ける」が定められているもの 第1類のアルカリ金属の過酸化物/第2類の鉄粉・金属粉・マグネシウム(水または酸)/第3類の禁水性物品
「衝撃または摩擦」を避けるもの 第1類・第5類
「分解を促す物品との接近」「可燃物との接触・混合」を避けるもの 第1類・第6類
強欲な青木

第3類の黄りんって水中に入れるんすよね? なのに「水との接触を避ける」に入らないんすか?

消防設備士

入りません。黄りんは自然発火性物品で、避けるのは空気との接触です。だから水中で貯蔵する。同じ第3類でも、禁水性物品のほうが「水との接触を避ける」側です。ここは毎回のように問われます。

3. 貯蔵の基準(同時貯蔵と間隔)

3. 貯蔵の基準(同時貯蔵と間隔)

貯蔵所には、原則として危険物以外の物品を貯蔵してはなりません。発火や延焼拡大の危険があるためです。ただし例外があります。

場面 危険物以外の物品との同時貯蔵
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所 それぞれまとめて貯蔵し、かつ相互に1m以上の間隔をおく場合は可
屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所 それぞれ貯蔵する場合は可

さらに、類を異にする危険物は、原則として同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が2以上ある貯蔵所においては、同一の室)で貯蔵できません。ただし屋内貯蔵所・屋外貯蔵所で、類別ごとにそれぞれ取りまとめ、かつ相互に1m以上の間隔をおく場合は、次の組み合わせに限り同時に貯蔵できます。

同時に貯蔵できる危険物 相手方
第1類(アルカリ金属の過酸化物とその含有品を除く) 第5類
第1類 第6類
第1類 第3類の自然発火性物品(黄りんとその含有品のみ)
第2類(引火性固体) 第4類
第3類(アルキルアルミニウム等) 第4類(アルキルアルミニウム等の含有品)
第4類(有機過酸化物とその含有品) 第5類(有機過酸化物とその含有品)
第4類 第5類(1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン、4-メチリデンオキセタン-2-オンまたはこれらのいずれかの含有品)

なお、第3類の危険物のうち黄りん等の水中に貯蔵する物品と禁水性物品は、同一の貯蔵所において貯蔵できません。

類を異にする危険物の同時貯蔵マトリクス
図解:類を異にする危険物の同時貯蔵マトリクス

4. 貯蔵の基準(高さ・温度・弁)

数値がまとまって出るところです。ここは表ごと覚えてしまうのが早道です。

項目 基準
屋内貯蔵所・屋外貯蔵所での容器の積み重ね高さ(原則) 3mを超えない
第4類のうち第3石油類・第4石油類・動植物油類を収納する容器のみを積み重ねる場合 4mを超えない
機械により荷役する構造を有する容器のみを積み重ねる場合 6mを超えない
屋外貯蔵所で容器を架台で貯蔵する場合の貯蔵高さ 6m以下
屋内貯蔵所で、同一品名の自然発火するおそれのある危険物等を多量に貯蔵するとき 指定数量の10倍以下ごとに区分し、0.3m以上の間隔を置く
屋内貯蔵所で容器に収納して貯蔵する危険物の温度 55℃を超えないように必要な措置を講ずる

弁・口の開閉についても定めがあります。

対象 ルール
屋外貯蔵タンク・屋内貯蔵タンク・地下貯蔵タンク・簡易貯蔵タンク計量口 計量するとき以外は閉鎖しておく
屋外貯蔵タンク・屋内貯蔵タンク・地下貯蔵タンクの元弁(液体の危険物を移送するための配管に設けられた弁のうちタンクの直近にあるもの)および注入口の弁またはふた 危険物を出し入れするとき以外は閉鎖しておく
屋外貯蔵タンクの周囲に設ける防油堤の水抜口 通常は閉鎖。内部に滞油・滞水した場合は遅滞なく排出する

このほか、屋内貯蔵所・屋外貯蔵所での貯蔵は原則として基準に適合する容器に収納しますが、屋内貯蔵所において塊状の硫黄等を貯蔵する場合はこの限りではありません。屋外貯蔵所で塊状の硫黄等を貯蔵するときは、囲いの高さ以下に貯蔵し、あふれ・飛散しないように囲い、全体を難燃性または不燃性のシートで覆い、シートを囲いに固定します。

強欲な青木

計量口だけ「簡易貯蔵タンク」が入ってて、元弁のほうは入ってないんすね。

消防設備士

よく気づきましたね。そこが差し替えポイントです。「計量口=4種類(屋外・屋内・地下・簡易)」「元弁=3種類(屋外・屋内・地下)」。並びで覚えてしまってください。

5. 取扱いの基準(製造・詰替え・消費・廃棄)

5. 取扱いの基準(製造・詰替え・消費・廃棄)

取扱いは4つの場面に分かれます。工程名と対策がセットで出ます。

区分 技術上の基準
製造(蒸留工程) 危険物を取り扱う設備の内部圧力の変動等により、液体・蒸気・ガスが漏れないようにする
製造(抽出工程) 抽出罐の内圧が異常に上昇しないようにする
製造(乾燥工程) 危険物の温度が局部的に上昇しない方法で加熱・乾燥する
製造(粉砕工程) 危険物の粉末が著しく浮遊し、または著しく機械器具等に附着している状態で当該機械器具等を取り扱わない
詰替え 総務省令で定めるところにより収納する/防火上安全な場所で行う
消費(吹付塗装) 防火上有効な隔壁等で区画された安全な場所で行う
消費(焼入れ) 危険物が危険な温度に達しないようにして行う
消費(染色・洗浄) 可燃性蒸気の換気をよくして行い、廃液をみだりに放置せず安全に処置する
消費(バーナー使用) バーナーの逆火を防ぎ、かつ危険物があふれないようにする
廃棄(焼却) 安全な場所で、燃焼・爆発によって他に危害・損害を及ぼすおそれのない方法で行い、見張人をつける
廃棄(埋没) 危険物の性質に応じ、安全な場所で行う
廃棄(禁止事項) 危険物を海中または水中に流出させ、または投下しない

「逆火(ぎゃっか・さかび)」とは、ガスの噴出速度よりも燃焼速度が速い、あるいは燃焼速度は一定でも噴出速度が遅いなどの理由で、炎がバーナーに戻る現象です。

強欲な青木

廃油って燃やしていいんすか? 環境に悪そうっすけど。

消防設備士

法令上は、安全な場所で、他に危害を及ぼさない方法で、見張人をつければ焼却できます。試験では「廃油等は、いかなる場合であっても焼却して廃棄処理してはならない」という選択肢が誤りとして頻出です。逆に、海中・水中への流出や投下は絶対にダメ。ここのマルバツを取り違えないでください。

✅理解度チェックテスト(3問)

【チェック1(4択)】 法令上、危険物の類ごとに共通する貯蔵及び取扱いの技術上の基準について、次のうち正しいものはどれか。

  1. 第4類の危険物は、水との接触を避けなければならない。
  2. 第5類の危険物は、可燃物との接触または混合を避けなければならない。
  3. 第2類の鉄粉、金属粉およびマグネシウムは、水または酸との接触を避けなければならない。
  4. 第3類の黄りんは、水との接触を避けなければならない。

正解:3

1の第4類は「炎、火花、高温体との接近/過熱/みだりに蒸気を発生させない」であり、水との接触は含まれません。2の「可燃物との接触・混合」は第1類・第6類の基準です。4の黄りんは自然発火性物品で、避けるのは空気との接触(そのため水中で貯蔵します)。

【チェック2(○✕)】 次の記述の正誤を答えなさい。

「貯留設備または油分離装置にたまった危険物は、あふれないよう随時乳化剤で処理し、下水道等に排水処理しなければならない。」

正解:✕

正しくは「あふれないように随時くみ上げること」。下水道や河川、海中などに流出させてはなりません。「希釈して排出」「乳化剤で処理」はいずれも作られた誤りの選択肢です。

【チェック3(穴埋め)】 次の( )に入る語句・数値を答えなさい。

  1. 「みだりに」とは、( ① )もなく、という意味である。
  2. 危険物のくず、かす等は、( ② )に1回以上、危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
  3. 屋内貯蔵所においては、容器に収納して貯蔵する危険物の温度が( ③ )を超えないように必要な措置を講ずること。
  4. 屋内貯蔵所または屋外貯蔵所で、類を異にする危険物を同時に貯蔵する場合、相互に( ④ )以上の間隔をおくこと。
  5. 屋内貯蔵所において、同一品名の自然発火するおそれのある危険物を多量に貯蔵するときは、指定数量の( ⑤ )ごとに区分し、かつ( ⑥ )以上の間隔を置いて貯蔵すること。

正解:①正当な理由 ②1日 ③55℃ ④1m ⑤10倍以下 ⑥0.3m

🪏深掘り解説

① 「みだりに」は”全面禁止に見せかける”ためのスイッチ

この単元の作問は、ほぼ「みだりに」の抜き差しで成立しています。条文に「みだりに」が付いているということは、例外的に認められる余地があるという意味です。だから「みだりに火気を使用しない」を「火気を使用してはならない」に書き換えると、余地を消してしまい誤りになる。

一方で、「みだりに」が付いていない条文に勝手に付ける崩し方もあります。たとえば「危険物が保護液から露出しないようにすること」は無条件の義務であって、「みだりに露出させない」ではありません。同様に「くず、かす等は1日に1回以上処置する」も無条件です。

覚え方はシンプルです。人の行為をコントロールする条文には「みだりに」が付きやすく、危険物の状態そのものを縛る条文には付かない。火気を使う、出入りする、物を置く、容器を扱う——これらは人の行為です。保護液から露出させない、計器を監視する、遮光・換気を行う——これらは状態管理です。

② 「1m」がどこにかかっているのかを混同しない

「1m以上の間隔」は2つの場面で登場しますが、いずれも屋内貯蔵所または屋外貯蔵所に限られる話です。

1つ目は、危険物と危険物以外の物品を同時に貯蔵する場合。それぞれまとめて貯蔵し、相互に1m以上あける。 2つ目は、類を異にする危険物を同時に貯蔵する場合。定められた組み合わせに限り、類別ごとにまとめて相互に1m以上あける。

これに対し、屋内貯蔵所で自然発火のおそれのある危険物を多量に貯蔵するときの間隔は0.3m以上(指定数量の10倍以下ごとに区分)です。1mと0.3mを入れ替える出題は定番なので、「他人(別の類・別の物品)とは1m」「同じ品名の仲間どうしは0.3m」と対で覚えると混同しません。

なお、屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所については、危険物と危険物以外の物品をそれぞれ貯蔵する場合に間隔の規定はありません。タンクという物理的に隔離された容器だからです。

③ 廃棄は「焼却○・埋没○・投棄×」

廃棄の基準は3行で終わります。

  • 焼却:安全な場所で、燃焼または爆発によって他に危害・損害を及ぼすおそれのない方法で行い、見張人をつける。→ 条件付きでできる
  • 埋没:危険物の性質に応じ、安全な場所で行う。→ できる
  • 海中・水中への流出、投下:→ できない

出題は次の2方向です。一方は「いかなる場合であっても焼却してはならない」と全面禁止にする崩し方(誤り)。もう一方は「安全な場所で、危害を及ぼすおそれのない方法で行うときは見張人をつけなくてよい」と、見張人だけを外す崩し方(誤り)。見張人は免除されません

「安全な場所」「見張人」「他に危害を及ぼさない方法」の3点セットが揃っていなければ×、と機械的に判定してかまいません。

🎙️現場のリアル

「みだりに」が付いているかどうかで意味が180度変わります。現場で溶接をするときも、正当な理由と手順を踏めばできる。全面禁止だと思い込んでいると仕事が回りません。法令は火気を禁止しているのではなく、無秩序を禁止しているんです。

📝まとめ

「みだりに」が付く4つの基準
図解:「みだりに」が付く4つの基準
  • 「みだりに」=正当な理由もなく。火気の使用・係員以外の出入り・不必要な物件の設置・容器への粗暴な行為の4つに付く。「火気は一切禁止」は誤り。
  • 危険物のくず・かす等は1日に1回以上処置。貯留設備・油分離装置にたまった危険物は随時くみ上げる(希釈・乳化剤処理・下水道排出はすべて誤り)。
  • 残存のおそれがある設備の修理は、危険物を完全に除去した後。保護液中の危険物は露出させない
  • 類ごとの共通基準は「全類共通=過熱」「水との接触を避ける=第1類アルカリ金属の過酸化物・第2類鉄粉等(水または酸)・第3類禁水性物品」。黄りんは空気との接触を避けるので水中貯蔵。
  • 数値は、同時貯蔵の間隔1m以上/積み重ね高さ3m(第3・第4石油類と動植物油類は4m、機械荷役容器は6m)/屋内貯蔵所は55℃/自然発火のおそれがある危険物は指定数量10倍以下ごとに0.3m以上の間隔。

次回予告——lesson-1-25「屋内・屋外タンク貯蔵所の基準とは?防油堤を解説」。今回は「どの施設にも共通するルール」でしたが、次回からは施設ごとの個別ルールに入ります。防油堤の容量は最大タンク容量の何%以上か、屋内タンクの容量制限はいくつか。数字が一気に増える単元ですが、覚え方のコツごとお届けします。

📚 この科目の全体像(学習ロードマップ)

いま何回目をやっていて、あと何回残っているかがひと目でわかります。復習したい回はここから飛んでください。

消防法令の学習ロードマップ28
  1. 1【過去問】消防法上の危険物とは?定義と別表第1を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  2. 2【過去問】危険物の類別とは?第1〜6類の分類と消火方法を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  3. 3【過去問】第4類危険物の7品名とは?引火点による分類の覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  4. 4【過去問】指定数量とは?品名ごとの数値と覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  5. 5【過去問】指定数量の倍数計算とは?計算手順と少量危険物を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  6. 6【過去問】危険物取扱者とは?甲種・乙種・丙種の違いと立会いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  7. 7【過去問】危険物取扱者免状とは?交付・書換え・再交付を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  8. 8【過去問】製造所等とは?貯蔵所・取扱所の全12区分を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  9. 9【過去問】保安距離・保有空地とは?暗記すべき数値を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  10. 10【過去問】位置・構造・設備の技術基準とは?製造所の基準を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  11. 11【過去問】標識・掲示板とは?表示義務と地色・文字色を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  12. 12【過去問】危険物保安監督者とは?選任要件と職務を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  13. 13【過去問】危険物保安統括管理者・施設保安員とは?三者の違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  14. 14【過去問】予防規程とは?認可手続きと記載事項を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  15. 15【過去問】保安講習とは?受講義務と受講期限を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  16. 16【過去問】定期点検とは?対象施設・頻度・記録事項を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  17. 17【過去問】保安検査とは?対象施設と定期点検との違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  18. 18【過去問】設置許可・完成検査とは?手続きの流れと仮使用を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  19. 19【過去問】変更許可・各種届出とは?許可と届出の違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  20. 20【過去問】運搬の基準とは?容器・表示・混載の可否を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  21. 21【過去問】移送の基準とは?移動タンク貯蔵所の構造と義務を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  22. 22【過去問】措置命令・許可の取消しとは?行政処分の事由を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  23. 23【過去問】消火設備とは?第1種〜第5種と所要単位を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  24. 24【過去問】貯蔵・取扱いの共通基準とは?「みだりに」の意味を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  25. 25【過去問】屋内・屋外タンク貯蔵所とは?防油堤と保有空地を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  26. 26【過去問】地下タンク貯蔵所とは?漏えい検査管と簡易タンクを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  27. 27【過去問】給油取扱所とは?給油空地とセルフの基準を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  28. 28【過去問】警報設備とは?設置基準と事故時の応急措置を解説|危険物取扱者乙4続きを見る

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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