危険物取扱者「過去問テスト」はこちらから!

【過去問】屋内・屋外タンク貯蔵所とは?防油堤と保有空地を解説|危険物取扱者乙4

A出題ランク:ほぼ毎回出るAランク(重要)

貯蔵所の施設別基準は、法令15問のなかで1〜2問が安定して出る得点源です。なかでも屋外タンク貯蔵所の「防油堤」は、容量計算そのものが1問まるごと出題される超定番テーマ。

覚えることは多そうに見えますが、実際に問われる数字は限られています。屋内貯蔵所の軒高6m床面積1,000㎡、防油堤の110%高さ0.5m、屋内タンク貯蔵所の指定数量の40倍20,000L0.5m——この7つを押さえるだけで、ほとんどの問題は落とせません。

この記事では3つの貯蔵所を横並びで比較しながら、試験に出る数字だけを確実に拾っていきます。

強欲な青木

先生、貯蔵所って種類が多すぎっすよ。屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所……全部覚えるの無理っす。

消防設備士

全部を丸暗記する必要はありません。試験で問われるのは「数字」と「引っかけの定番パターン」だけです。たとえば屋内貯蔵所なら、軒高が6m未満の平家建で、床面積は1,000㎡を超えないこと。この2つが柱になります。

強欲な青木

軒高6mっすね。……あ、でも「床は地盤面より低くしろ」みたいな選択肢を見た気がするんすけど。

消防設備士

それが定番の誤り選択肢です。正しくは「床を地盤面以上に設ける」。低くしたら漏れた危険物が溜まってしまいますからね。同じ理屈で、可燃性蒸気の排出先も「床下」ではなく「屋根上」です。蒸気は上に逃がす、液体は下に落とさない。この向きさえ間違えなければ大丈夫です。

強欲な青木

なるほど、方向で覚えるんすか。で、防油堤ってやつは何なんすか?名前がイカついっすね。

消防設備士

屋外タンク貯蔵所のタンクの周りを囲む堤(つつみ)です。タンクが破れて中身が流れ出しても、敷地外に広がらないように受け止める。容量はタンク容量の110%以上。タンクが2基以上あるときは——ここが最重要です——合計ではなく「最大のタンクの容量の110%以上」でよいとされています。

強欲な青木

えっ、合計じゃないんすか?全部いっぺんに漏れたらヤバくないっすか。

消防設備士

複数のタンクが同時に破損する確率は極めて低い、という考え方です。試験ではまさにここが狙われます。「合計の110%」と書いてある選択肢は誤り。60,000L30,000L10,000Lの3基なら、答えは60,000L × 1.1 = 66,000L。足し算をした人から間違えます。

強欲な青木

これ完全に引っかけっすね……。最後の屋内タンク貯蔵所はどうっすか。

消防設備士

こちらは「タンク専用室」というキーワードと、容量の上限が要です。指定数量の40倍以下、ただし第4石油類と動植物油類を除く第4類危険物は20,000L以下。そしてタンクと壁の間隔は0.5m以上。防油堤の高さと同じ0.5mなので、セットで覚えると楽ですよ。

目次

💪実力試し(3問)

【問1】 法令上、屋内貯蔵所(独立専用・平家建、高層タイプを除く)の構造の基準として、次のうち正しいものはどれか。

  1. 地盤面から軒までの高さが10m未満の平家建としなければならない。
  2. 貯蔵倉庫の床面積は、2,000㎡を超えないこと。
  3. 貯蔵倉庫は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ、天井を設けないこと。
  4. 引火点70℃未満の危険物の貯蔵倉庫にあっては、内部に滞留した可燃性の蒸気を床下に排出する設備を設けること。
解答と解説を見る

正解:3

1. 誤り。軒高は6m未満の平家建。

2. 誤り。貯蔵倉庫の床面積は1,000㎡を超えないこと。

3. 正しい。屋根は不燃材料+軽量な不燃材料でふく。天井は設けない(可燃性蒸気が天井裏に溜まるのを防ぐため)。

4. 誤り。排出先は「床下」ではなく「屋根上」。

【問2】 屋外タンク貯蔵所において、容量500kL300kL200kL100kLの4基の屋外貯蔵タンクを1つの防油堤にまとめて設置する場合、この防油堤に必要な最小限の容量は次のうちどれか。

  1. 100kL
  2. 500kL
  3. 550kL
  4. 1,100kL
解答と解説を見る

正解:3

同一の防油堤内に複数のタンクを設置する場合、防油堤の容量は「最大であるタンクの容量の110%以上」とします。合計ではありません。

最大タンク容量 500kL × 1.1 = 550kL

【問3】 法令上、屋内タンク貯蔵所の基準について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 屋内貯蔵タンクは、平家建の建築物に設けられたタンク専用室に設置すること。
  2. 屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間には、0.5m以上の間隔を保つこと。
  3. タンク専用室の出入口のしきいの高さは、床面から0.2m以上とすること。
  4. 屋内貯蔵タンクは建物内に設置されるため、タンクの外面にさびどめのための塗装をしないことができる。
解答と解説を見る

正解:4

屋内貯蔵タンクの外面には、屋内・屋外を問わずさびどめのための塗装をしなければなりません。「建物内だから錆びない」は誤りです。

1〜3はいずれも正しい記述です。しきいを0.2m以上高くするのは、漏れた危険物をタンク専用室の外に出さないための「堤」の役割を持たせるためです。

🔰基礎教養学習

1. 屋内貯蔵所の基準

1. 屋内貯蔵所の基準

屋内貯蔵所とは、屋内の場所において危険物を容器に入れて貯蔵する施設です。タンクではなくドラム缶や一斗缶が並んでいる倉庫をイメージしてください。

貯蔵倉庫の形態によって、大きく次のように区分されます。

屋内貯蔵所の3タイプ
図解:屋内貯蔵所の3タイプ
区分 面積の上限 高さの基準 貯蔵できる危険物 数量制限 保安距離・保有空地
独立専用・平家建 床面積1,000㎡以下 軒高6m未満6m以上20m未満は高層タイプ) すべての危険物(高層タイプは第2類または第4類のみ) 制限なし(一部除く) 両方とも必要
独立専用・平家建以外(多層階) 各階の床面積の合計1,000㎡以下 階高6m未満 第2類または第4類(引火性固体および引火点70℃未満の危険物を除く) 制限なし 両方とも必要(*)
他用途を有する建築物(ビル等)内に設置 床面積75㎡以下 階高6m未満 すべての危険物(例外あり) 指定数量の倍数20以下 両方とも不要

(*)高引火点危険物のみを指定数量の倍数20以下で貯蔵する場合は、保安距離が不要になります。「高引火点危険物」とは、引火点が100℃以上の第4類の危険物をいいます。

なお、ビル等の内部に設ける屋内貯蔵所は、耐火構造である建築物の1階または2階のいずれか一の階に設置しなければなりません。

※軒高とは、柱の上部と連結して屋根を支える部材(敷げた)の上までの高さをいい、階高とは、ある階の床面からすぐ上の階の床面までの高さをいいます。

※上記の区分のほかに、特例基準が適用される「特定屋内貯蔵所」があります。

独立専用・平家建(高層タイプを除く)の構造・設備

もっとも出題されるのがこの標準タイプです。

部位・項目 基準
建物 一部の例外を除き、独立した専用の建築物とする
軒高・階数 地盤面から軒までの高さ(軒高)が6m未満の平家建
床の高さ 床を地盤面以上に設ける
床面積 1,000㎡を超えないこと
壁・柱・床 耐火構造
はり 不燃材料
屋根 不燃材料で造り、金属板その他の軽量な不燃材料でふく。かつ天井を設けない
窓・出入口 防火設備を設ける
ガラス 網入りガラスとする
液状危険物の床 危険物が浸透しない構造適当な傾斜貯留設備
架台 不燃材料で造り、堅固な基礎に固定する
採光・照明・換気 設ける。引火点70℃未満の危険物の貯蔵倉庫は、滞留した可燃性蒸気を屋根上に排出する設備を設ける
電気設備 爆発のおそれがある場所では防爆構造とする
避雷設備 指定数量の倍数が10以上の場合、原則として設ける

「架台」とは、危険物を収納した容器を収納するための強固な台をいいます。倉庫内のラックのことです。

強欲な青木

天井を設けちゃダメってのが地味に引っかかりそうっす。

消防設備士

天井があると、その裏側に可燃性蒸気が溜まって逃げ場を失います。だから「天井は設けない」「蒸気は屋根上へ」がセットなんです。この2つは同じ思想から来ていると理解しておくと忘れません。

2. 屋外タンク貯蔵所の基準(防油堤)

2. 屋外タンク貯蔵所の基準(防油堤)

屋外タンク貯蔵所は、屋外にある大型のタンクで危険物を貯蔵する施設です。この施設だけの特徴が2つあります。敷地内距離防油堤です。

位置——屋外タンク貯蔵所だけの「敷地内距離」

項目 内容
敷地内距離とは タンクの側板から敷地境界線まで確保しなければならない距離
義務付けられている施設 屋外タンク貯蔵所のみ
目的 火災による隣接敷地への延焼防止
距離の決まり方 屋外貯蔵タンクの区分ごとに、貯蔵する危険物の引火点の区分に応じて定められている

<!– 出典注記:本項目は公論出版『乙4』令和7年版には記載がないため本文では扱っていない。加筆する場合は危険物の規制に関する政令・規則の原典を要確認 –>

保安距離・保有空地とは別物である点に注意してください。保有空地はタンクの周囲に確保する空きスペース、敷地内距離は敷地境界線までの距離です。

保有空地と敷地内距離の違い
図解:保有空地と敷地内距離の違い

特定屋外貯蔵タンク・準特定屋外貯蔵タンク

基礎・地盤や各種試験について、特に厳しい基準が適用されるタンクです。

区分 貯蔵・取り扱う液体危険物の最大数量
特定屋外貯蔵タンク 1,000kL以上
準特定屋外貯蔵タンク 500kL以上1,000kL未満

構造・設備

項目 基準
通気管/安全装置 圧力タンク以外通気管、圧力タンク→安全装置
通気管の先端 水平より下に45度以上曲げ、雨水の浸入を防ぐ構造とする
防油堤の設置対象 液体の危険物(二硫化炭素を除く)の屋外貯蔵タンクの周囲
防油堤の容量 タンク容量の110%以上(非引火性のものは100%以上)。2以上のタンクがある場合は、最大であるタンクの容量の110%以上
防油堤の高さ 0.5m以上
防油堤の面積 80,000㎡以下
防油堤の材質 鉄筋コンクリートまたは土で造り、収納された危険物が外に流出しない構造
水抜口 内部の滞水を外部に排水するための水抜口を設け、これを開閉する弁等は防油堤の外部に設ける
階段 高さが1mを超える防油堤等には、おおむね30mごとに堤内に出入りするための階段を設置、または土砂の盛り上げ等を行う
静電気対策 ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害のおそれのある液体危険物のタンクの注入口付近に、接地電極を設ける
避雷設備 指定数量の倍数が10以上の場合、原則として設ける
容量制限 なし(屋外貯蔵タンクにタンク容量の上限規定はない)
防油堤の断面図
図解:防油堤の断面図

防油堤の容量計算(最頻出)

計算のルールは1行です。

防油堤の容量 = いちばん大きいタンクの容量 × 1.1

例:2,000LのタンクAと1,500LのタンクBがある場合 → 容量の大きいタンクAで計算し、2,000L × 1.1 = 2,200L以上

合計(3,500L)で計算するのは誤りです。ここを間違えさせる選択肢が必ず用意されています。

二硫化炭素の特例

項目 基準
貯蔵方法 厚さ0.2m以上の壁および底を有する、水漏れのない鉄筋コンクリートの水槽に入れて水没させる
防油堤 防油堤の設置対象から除かれる(水没させるため)

二硫化炭素は比重・蒸気比重ともに1より大きく、非水溶性です。タンクを水没させておけば、仮にタンクが破損しても流出した二硫化炭素は水槽の下部に溜まり、可燃性蒸気の発生も抑制されます。

強欲な青木

水抜口の弁を「外側」に付けるのって、なんか理由あるんすか?

消防設備士

堤の内側に危険物が溜まっている状況を想像してください。弁が内側にあったら、開け閉めするために危険物のプールへ入っていかなければならない。危険すぎますよね。だから弁等は防油堤の外部なんです。

3. 屋内タンク貯蔵所の基準(タンク専用室)

3. 屋内タンク貯蔵所の基準(タンク専用室)

屋内タンク貯蔵所は、建物の中に設けたタンク専用室にタンクを置いて危険物を貯蔵する施設です。ビルのボイラー室に隣接した重油タンクなどが典型例です。

位置・容量

項目 基準
設置場所 平家建の建築物に設けられたタンク専用室に設置する
タンクと壁の間隔 0.5m以上
タンク相互間の間隔 同一のタンク専用室内に2以上設置する場合、相互間に0.5m以上
容量の上限 指定数量の倍数が40以下
容量の上限(第4類) 第4類危険物(第4石油類および動植物油類を除く)にあっては20,000L以下
2以上設置する場合 それらのタンクの容量の総計についても同様とする

タンクの構造・設備

項目 基準
外面 さびどめのための塗装をする
通気管/安全装置 圧力タンク以外無弁通気管、圧力タンク→安全装置
無弁通気管の先端 屋外にあって地上4m以上の高さとし、建築物の窓・出入口等の開口部から1m以上離す
引火点40℃未満の場合 通気管を敷地境界線から1.5m以上離す
表示装置 液体の危険物のタンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設ける
静電気対策 ガソリン、ベンゼン等のタンクの注入口付近接地電極を設ける

※無弁通気管とは、管内に弁(バルブ)が設けられていないもので、通気管は常に「開」状態にあります。これに対し、タンク内と大気間の圧力差で作動する弁を内蔵している通気管もあります。

タンク専用室の構造

部位 基準
壁・柱・床 耐火構造(ただし引火点70℃以上の第4類のみを貯蔵する場合は、延焼のおそれのない外壁・柱・床を不燃材料で造ることができる)
はり 不燃材料
窓・出入口 防火設備(延焼のおそれのある外壁に設ける出入口は自閉式の特定防火設備
屋根 不燃材料で造り、天井を設けない
ガラス 網入りガラス
床(液体危険物) 危険物が浸透しない構造適当な傾斜貯留設備
出入口のしきい 床面から0.2m以上の高さとする
タンク専用室の断面図
図解:タンク専用室の断面図
強欲な青木

しきいを0.2m高くするのって、なんか意味あるんすか?段差でつまずきそうっす。

消防設備士

それが狙いです。タンクから危険物が漏れても、しきいがダムの役割をして専用室の外へ流れ出さない。屋外タンク貯蔵所の防油堤とまったく同じ発想です。「屋外は防油堤、屋内はしきい」と対応させて覚えてください。

4. 3施設の比較表

最後に、3つの施設を横並びで整理します。試験ではこの「施設をすり替える」タイプの引っかけが頻出です。

項目 屋内貯蔵所 屋外タンク貯蔵所 屋内タンク貯蔵所
貯蔵の形態 容器に入れて貯蔵 屋外のタンク 屋内(タンク専用室)のタンク
容量・面積の上限 床面積1,000㎡以下(ビル内設置は75㎡以下) タンク容量の制限なし 指定数量の倍数40以下、第4類(第4石油類・動植物油類を除く)は20,000L以下
高さの基準 軒高6m未満の平家建 平家建の建築物のタンク専用室
敷地内距離 不要 必要(この施設のみ) 不要
保安距離・保有空地 必要(ビル内設置は不要) 必要(保安距離・保有空地とも) どちらも不要
防油堤 必要(液体の危険物、二硫化炭素を除く) — (代わりに出入口のしきい0.2m以上
通気管 通気管(圧力タンク以外)/先端は水平より下に45度以上 無弁通気管(圧力タンク以外)/先端は地上4m以上
天井 設けない 設けない
ガラス 網入りガラス 網入りガラス
床(液状・液体危険物) 浸透しない構造+傾斜+貯留設備 浸透しない構造+傾斜+貯留設備
避雷設備 指定数量の倍数10以上で原則必要 指定数量の倍数10以上で原則必要 不要(避雷設備が必要なのは製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・一般取扱所の4施設のみ)

各種タンクの容量制限まとめ(横断で頻出)

タンクの種類 容量制限
屋内貯蔵タンク(屋内タンク貯蔵所) 指定数量の40倍以下。ただし第4類危険物(第4石油類・動植物油類を除く)は20,000L以下
屋外貯蔵タンク(屋外タンク貯蔵所) なし
地下貯蔵タンク(地下タンク貯蔵所) なし
簡易貯蔵タンク(簡易タンク貯蔵所) 600L以下3基まで(同一品質の危険物は2基以上設置できない)
移動貯蔵タンク(移動タンク貯蔵所) 30,000L以下

「容量制限があるのは屋内・簡易・移動」「ないのは屋外・地下」とセットで覚えると一発です。

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(4択)

法令上、液体の危険物(二硫化炭素を除く)を貯蔵する屋外タンク貯蔵所の防油堤の基準について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 防油堤の高さは、0.5m以上としなければならない。
  2. 防油堤は、鉄筋コンクリートまたは土で造らなければならない。
  3. 防油堤の容量は、2以上の屋外貯蔵タンクの周囲に設ける場合、それらのタンクの容量の合計の110%以上としなければならない。
  4. 防油堤には、その内部の滞水を外部に排出するための水抜口を設けなければならない。
解答と解説を見る

正解:3

防油堤の容量は、当該タンク容量の110%以上(非引火性のものにあっては100%以上)とし、2以上のタンクがある場合は「合計」ではなく「最大であるタンクの容量の110%以上」とします。

チェック2(○✕)

次の記述の正誤を答えなさい。

屋内貯蔵所(独立専用・平家建)の貯蔵倉庫には、採光、照明および換気の設備を設けるとともに、引火点70℃未満の危険物の貯蔵倉庫にあっては、内部に滞留した可燃性の蒸気を床下に排出する設備を設けなければならない。

解答と解説を見る

正解:✕

排出先は「床下」ではなく「屋根上」です。可燃性蒸気を床下に溜めれば爆発の原因になります。「蒸気は上へ」が原則。

チェック3(穴埋め)

次の( )に当てはまる語句・数値を答えなさい。

  1. 屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間、および同一のタンク専用室内に2以上のタンクを設置する場合の相互間には、( ① )以上の間隔を保つこと。
  2. タンク専用室の出入口のしきいの高さは、床面から( ② )以上とすること。
  3. 高さが1mを超える防油堤等には、おおむね( ③ )ごとに堤内に出入りするための階段を設置し、または土砂の盛り上げ等を行うこと。
  4. 屋外貯蔵タンクの通気管の先端は、水平より下に( ④ )以上曲げ、雨水の浸入を防ぐ構造とすること。
解答と解説を見る

0.5m ② 0.2m ③ 30m ④ 45度

②と③の数字は入れ替えて出題されやすいので、「しきいは小さい0.2m」「階段は間隔が広い30m」と大小関係で覚えましょう。

🪏深掘り解説

① なぜ防油堤は「合計」ではなく「最大タンクの110%」なのか

防油堤の目的は、タンクから漏れた危険物を敷地外へ流出させないことです。では、なぜ全タンクの合計容量を受け止められる大きさが要らないのでしょうか。

考え方は「同時に複数のタンクが破損する確率は極めて低い」というものです。地震などの共通要因を除けば、破損は個別に起きます。したがって、最悪ケースは「いちばん大きいタンクが1基まるごと漏れる」であり、それを余裕をもって受け止められれば足りる、という設計思想です。

余裕分が10%(110%のうちの10%)にあたります。この10%は、漏れた液体が勢いよく流れ出す際の波(サージ)や、堤内に置かれた配管・基礎の体積、雨水の存在などを吸収するためのマージンだと理解しておけば十分です。

なお、非引火性のものについては余裕分が不要で100%以上とされています。「引火するものには10%のおまけ」と覚えてください。

試験対策としては、次の3パターンを機械的に処理できるようにしておきましょう。

出題パターン 処理
タンク1基 その容量 × 1.1
タンク2基以上 最大のタンクの容量 × 1.1
非引火性のもの 容量 × 1.0100%以上

② 「天井を設けない」「しきいを高くする」の共通した思想

屋内貯蔵所も屋内タンク貯蔵所も、共通して「天井を設けない」と定められています。一方で、屋内タンク貯蔵所には「出入口のしきいを床面から0.2m以上」という規定があります。

この2つは、危険物の性質を上下に分けて考えると一本の線でつながります。

対象 動く向き 対策
可燃性蒸気 建物の上部に溜まる 天井を設けない/蒸気を屋根上に排出する
液体の危険物 床面を低い方へ流れる 床に傾斜+貯留設備/しきいを0.2m以上高くする/屋外は防油堤

つまり「上は抜け道を作って逃がす、下はダムを作って止める」。屋内貯蔵所の床を地盤面以上に設ける規定も、外から水が入らず、中の危険物が外へ流れ出ないようにするという同じ発想です。

この構造を理解していれば、「蒸気を床下に排出」「しきいは段差なし」「床は地盤面より低く」といった誤り選択肢は、暗記していなくてもその場で判断できます。

③ 「屋外タンク貯蔵所だけ」の敷地内距離と、避雷設備の倍数10

施設別基準の問題では、「その施設だけにある規定」が狙われます。屋外タンク貯蔵所における敷地内距離が典型です。

保安距離・保有空地・敷地内距離は名前が似ていて混同しやすいので、目的で区別しましょう。

用語 測る場所 目的
保安距離 製造所等から特定の保護対象物(学校、病院等)まで 保護対象物を災害から守る
保有空地 製造所等の周囲に確保する空きスペース 消火活動と延焼防止のスペース確保
敷地内距離 屋外貯蔵タンクの側板から敷地境界線まで 火災による隣接敷地への延焼防止

そして避雷設備。屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所ともに、指定数量の倍数が10以上で原則として設置が必要です。この「10」という数字は、施設をまたいで共通して問われる重要な閾値です。

一方、屋内貯蔵所には「ビル等の内部に設置する場合は指定数量の倍数20以下」という制限があり、こちらは20。避雷設備の10と混同しないよう、セットで整理しておいてください。

🎙️現場のリアル

防油堤の水抜弁は普段は閉めておくもの。雨水を抜いたあと閉め忘れている現場、本当に多いです。開けっ放しだと、いざ漏れたときに堤がまったく意味をなさない。容量が最大タンクの110パーセント以上という数字も、この前提とセットで覚えてください。

📝まとめ

  • 屋内貯蔵所は軒高6m未満の平家建、床面積1,000㎡以下、床は地盤面以上。ビル等の内部に設ける場合は床面積75㎡以下・指定数量の倍数20以下で、保安距離・保有空地は不要。
  • 屋内貯蔵所の定番の誤り選択肢は「軒高10m」「床は地盤面より低く」「蒸気を床下に排出」の3つ。正しくは6m未満・地盤面より高く・屋根上へ排出。
  • 防油堤の容量は、タンク1基なら容量の110%以上、2基以上なら「最大であるタンクの容量の110%以上」。合計で計算するのは誤り。非引火性のものは100%以上
  • 防油堤は高さ0.5m以上・面積80,000㎡以下、鉄筋コンクリートまたは土で造り、水抜口の弁等は堤の外部に設置。高さ1m超なら、おおむね30mごとに階段等が必要。
  • 屋内タンク貯蔵所は平家建のタンク専用室に設置。容量は指定数量の40倍以下(第4石油類・動植物油類を除く第4類は20,000L以下)、タンクと壁・タンク相互間は0.5m以上、出入口のしきいは0.2m以上、天井は設けない。

次回 lesson-1-26「地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所の基準とは?」 では、今回「容量制限なし」として名前だけ登場した地下貯蔵タンクと、600L以下・3基まで簡易貯蔵タンクを扱います。地下タンクは漏れの検知(漏えい検査管)が、簡易タンクは「同一品質の危険物は2基以上設置できない」という独特のルールが狙われます。今回の容量制限まとめの表がそのまま使えるので、あわせて復習しておいてください。

📚 この科目の全体像(学習ロードマップ)

いま何回目をやっていて、あと何回残っているかがひと目でわかります。復習したい回はここから飛んでください。

消防法令の学習ロードマップ28
  1. 1【過去問】消防法上の危険物とは?定義と別表第1を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  2. 2【過去問】危険物の類別とは?第1〜6類の分類と消火方法を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  3. 3【過去問】第4類危険物の7品名とは?引火点による分類の覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  4. 4【過去問】指定数量とは?品名ごとの数値と覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  5. 5【過去問】指定数量の倍数計算とは?計算手順と少量危険物を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  6. 6【過去問】危険物取扱者とは?甲種・乙種・丙種の違いと立会いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  7. 7【過去問】危険物取扱者免状とは?交付・書換え・再交付を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  8. 8【過去問】製造所等とは?貯蔵所・取扱所の全12区分を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  9. 9【過去問】保安距離・保有空地とは?暗記すべき数値を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  10. 10【過去問】位置・構造・設備の技術基準とは?製造所の基準を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  11. 11【過去問】標識・掲示板とは?表示義務と地色・文字色を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  12. 12【過去問】危険物保安監督者とは?選任要件と職務を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  13. 13【過去問】危険物保安統括管理者・施設保安員とは?三者の違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  14. 14【過去問】予防規程とは?認可手続きと記載事項を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  15. 15【過去問】保安講習とは?受講義務と受講期限を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  16. 16【過去問】定期点検とは?対象施設・頻度・記録事項を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  17. 17【過去問】保安検査とは?対象施設と定期点検との違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  18. 18【過去問】設置許可・完成検査とは?手続きの流れと仮使用を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  19. 19【過去問】変更許可・各種届出とは?許可と届出の違いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  20. 20【過去問】運搬の基準とは?容器・表示・混載の可否を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  21. 21【過去問】移送の基準とは?移動タンク貯蔵所の構造と義務を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  22. 22【過去問】措置命令・許可の取消しとは?行政処分の事由を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  23. 23【過去問】消火設備とは?第1種〜第5種と所要単位を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  24. 24【過去問】貯蔵・取扱いの共通基準とは?「みだりに」の意味を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  25. 25【過去問】屋内・屋外タンク貯蔵所とは?防油堤と保有空地を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  26. 26【過去問】地下タンク貯蔵所とは?漏えい検査管と簡易タンクを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  27. 27【過去問】給油取扱所とは?給油空地とセルフの基準を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  28. 28【過去問】警報設備とは?設置基準と事故時の応急措置を解説|危険物取扱者乙4続きを見る

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

コメント

コメントする


目次