このページを見たら消防設備士試験 甲4・乙4の構造・機能に出てくる「熱感知器の種類・構造・作動原理」に関する問題が得点源となるはず!
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)noteの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
併せて、ご参照ください。
熱感知器を3つの軸で分類する
熱感知器の名前は、次の3つの軸で読むと整理できます。
| 分類軸 | 見る言葉 | 意味 |
|---|---|---|
| 何を検出するか | 差動式・定温式・アナログ式 | 上昇率・一定温度・温度情報 |
| どの範囲で検出するか | スポット型・分布型・感知線型 | 一局所・広範囲・電線状 |
| いくつの信号を出すか | 補償式・熱複合式 | 1信号・2以上の信号 |
主な熱感知器は次のとおりです。
| 種類 | 検出の考え方 | 範囲・外観 |
|---|---|---|
| 差動式スポット型 | 温度上昇率が一定以上 | 一局所 |
| 差動式分布型 | 温度上昇率が一定以上 | 広範囲 |
| 定温式スポット型 | 一定温度以上 | 一局所・電線状以外 |
| 定温式感知線型 | 一定温度以上 | 一局所・電線状 |
| 補償式スポット型 | 差動式+定温式 | 一局所・1つの火災信号 |
| 熱複合式スポット型 | 差動式+定温式 | 一局所・2以上の火災信号 |
| 熱アナログ式スポット型 | 温度に対応する情報 | 一局所・火災情報信号 |
感知器等規格省令第2条第2号~第7号。差動式、定温式、補償式、熱複合式、熱アナログ式を、検出対象・感知範囲・信号の種類で定義しています。
差動=上昇率、定温=一定温度、アナログ=温度に対応する情報。
差動式スポット型は空気の逃げ方で作動を分ける
差動式スポット型は、周囲温度の上昇率が一定以上になったときに作動する、一局所型の感知器です。
空気の膨張を利用するタイプは、主に次の部品で構成されます。
- 空気室
- ダイヤフラム
- リーク孔
- 接点
急激な温度上昇
火災で空気室が急に温められると内部の空気が膨張します。空気がリーク孔から逃げ切れないため、ダイヤフラムを押し、接点を閉じて火災信号を送ります。
緩慢な温度上昇
暖房などでゆっくり温度が上がると膨張した空気はリーク孔から少しずつ逃げます。ダイヤフラムを押す圧力がたまらないため、接点は閉じません。
リーク孔が詰まったらどうなるか
リーク孔が詰まると緩慢な温度上昇でも空気が逃げません。そのため、規定値より小さい温度上昇率でも作動しやすくなり、非火災報の原因になります。
そこが頻出です。「詰まり=作動しやすい」と覚えます。
感知器等規格省令第2条第2号・第12条。差動式スポット型を、一定以上の温度上昇率により一局所で作動する感知器として定義し、種別ごとの感度試験を定めています。
リーク孔が詰まる → 空気が逃げない → 小さい上昇率でも作動しやすい。
差動式分布型は3方式を部品で見分ける
差動式分布型も温度上昇率を見ますが、スポット型と違い、広範囲の熱効果の累積によって作動します。
方式は、空気管式・熱電対式・熱半導体式の3つです。
空気管式
天井面へ張った空気管が受熱部になります。火災で管内の空気が急に膨張すると検出部のダイヤフラムを押し、接点を閉じます。
空気管が切断・亀裂すると膨張した空気が漏れます。受信機は空気管の異常を直接監視していないため、正常状態を持続しますが、火災時には作動しにくくなります。
リーク抵抗が規定値より小さい場合は、空気が逃げやすすぎる状態です。圧力がたまりにくくなるため、作動が遅れます。
熱電対式
熱電対は、異なる金属を組み合わせた回路の接点間に温度差が生じると熱起電力が発生する性質を利用します。
火災で受熱側の接点が急に温められ、基準側との間に温度差が生じると熱起電力を半導体回路ユニットが検出し、火災信号を送ります。緩慢な温度上昇では接点間の温度差が小さいため、作動しません。
熱半導体式
感熱部の熱半導体素子に大きな温度差が生じると熱起電力が発生します。これを検出部のメーターリレーが検出し、火災信号を送ります。
| 方式 | 受熱・検出の中心 | 火災信号までの流れ |
|---|---|---|
| 空気管式 | 空気管・ダイヤフラム | 空気の膨張 → 接点を閉じる |
| 熱電対式 | 異種金属の熱電対 | 接点間の温度差 → 熱起電力 → 半導体回路ユニット |
| 熱半導体式 | 熱半導体素子 | 温度差 → 熱起電力 → メーターリレー |
感知器等規格省令第2条第3号、第8条第5号、第13条。差動式分布型を広範囲の熱効果の累積で作動するものと定義し、熱電対式・熱半導体式の検出部について作動電圧を試験できること等を定めています。
空気管=ダイヤフラム、熱電対=半導体回路ユニット、熱半導体=メーターリレー。
定温式・補償式・熱複合式・熱アナログ式
定温式スポット型
一局所の周囲温度が、あらかじめ定められた温度以上になったときに火災信号を発信します。外観は電線状ではありません。

代表的な構造は次のとおりです。
- バイメタルの反転を利用するもの
- 金属の熱膨張係数の差を利用するもの
- 温度検知素子の抵抗値変化を利用するもの
定温式感知線型
定温式スポット型と同じく一定温度以上で作動しますが、外観が電線状です。
2本の導体を可溶絶縁物で絶縁しておき、一定温度になると絶縁物が溶け、導体同士が接触して火災信号を送ります。
補償式スポット型
差動式スポット型と定温式スポット型の性能を併せもち、1つの火災信号を発信します。
熱複合式スポット型
同じく差動式と定温式の性能を併せもちますが、2以上の火災信号を発信します。
熱アナログ式スポット型
周囲温度に対応する火災情報信号を連続的に発信します。単に「作動・非作動」の2段階で送る感知器ではありません。

感知器等規格省令第2条第4号~第7号、第14条~第15条の3。定温式の外観、補償式・熱複合式の信号数、熱アナログ式の火災情報信号と公称感知温度範囲を定めています。
補償式=1信号、熱複合式=2以上、熱アナログ式=温度に対応する火災情報信号。
※よく出る引っかけポイント6つ
引っかけ①:差動式は一定温度で作動する
差動式が見るのは温度上昇率です。一定温度以上で作動するのは定温式です。
引っかけ②:スポット型と分布型の意味を逆にする
スポット型は一局所、分布型は広範囲の熱効果の累積です。
引っかけ③:リーク孔が詰まると作動が遅れる
差動式スポット型のリーク孔が詰まると空気が逃げないため作動しやすくなります。空気管式でリーク抵抗が小さい場合は、空気が逃げすぎて作動が遅れます。
引っかけ④:空気管が切断すると受信機が異常表示する
受信機は空気管の切断を直接検出しません。正常状態を持続するため、点検で発見する必要があります。
引っかけ⑤:熱電対式と熱半導体式の検出部を逆にする
熱電対式は半導体回路ユニット、熱半導体式はメーターリレーです。
引っかけ⑥:補償式と熱複合式は同じ
持っている性能は似ていますが、補償式は1信号、熱複合式は2以上の信号です。
詰まり=逃げない=作動しやすい。漏れやすい=圧力がたまらない=作動が遅い。
📝試験問題を解くときの手順
1. 差動式か定温式かを決める
2. スポット型・分布型・感知線型を決める
3. 問題文から、空気・異種金属・熱半導体・バイメタル・可溶絶縁物のキーワードを拾う
4. 検出部が半導体回路ユニットかメーターリレーか確認する
5. リーク孔の問題は、空気が「逃げる・逃げない」を矢印で追う
問題文を「検出対象 → 受熱部 → 検出部 → 信号」に分解する。
全部で9ポイント
- 差動式は温度上昇率、定温式は一定温度を見る
- スポット型は一局所、分布型は広範囲の熱効果の累積で作動する
- 差動式スポット型は、リーク孔が詰まると作動しやすくなる
- 空気管式は、空気の膨張でダイヤフラムを押す
- 空気管が切断しても、受信機は正常状態を持続する
- リーク抵抗が小さいと空気が逃げやすく、作動が遅れる
- 熱電対式は半導体回路ユニット、熱半導体式はメーターリレー
- 補償式は1信号、熱複合式は2以上の信号を発信する
- 熱アナログ式は、温度に対応する火災情報信号を発信する
それでは以下の「熱感知器の種類・構造・作動原理」に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!
【過去問】熱感知器の種類・構造・作動原理
差動式分布型感知器(空気管式)の空気管が切断した場合の現象として、最も適当なものは次のうちどれか。
1. 受信機の電源電圧計が0を示す。
2. 音響警報装置が鳴動する。
3. 受信機は正常な状態を持続する。
4. 消火設備が作動する。
差動式分布型感知器(空気管式)の機能試験で、リーク抵抗がわずかに規定値以下でした。考えられる障害はどれか。
1. 非火災報の原因となる。
2. 作動が遅れる。
3. 作動しない。
4. ダイヤフラムが障害を受ける。
差動式スポット型感知器のリーク孔に、ほこり等が詰まったときの作動状況として、最も適切なものはどれか。
1. 周囲温度の上昇率が規定値より大きくないと作動しない。
2. 周囲温度の上昇率が規定値より小さくても作動する。
3. 周囲温度の上昇率に関係なく作動する。
4. 周囲温度の上昇率に関係なく作動しない。
差動式分布型感知器(熱電対式)の構造の説明として、最も適当なものは次のうちどれか。
1. 異種金属の接合点における熱容量の差を利用して熱起電力を発生させ、半導体回路ユニットの検出部で検出し、火災信号を送る。
2. 熱半導体素子に生ずる大きな温度差によって熱起電力を発生させ、メーターリレーを作動させる。
3. 2本の導体を可溶絶縁物で絶縁し、一定温度で絶縁物が溶けて導体が接触する。
4. 空気管内の空気の熱膨張により、検出部内の熱電対の接点を閉じる。
差動式分布型感知器(空気管式)の作動原理として、正しいものは次のうち どれか。 1. 2本の空気管の熱膨張の差を利用したものである。 2.空気管の空気が温められ、この温度により熱電対の起電力が発生すること を利用したものである。 3.空気管が熱せられることによってリークする空気を検知するものである。 4.空気管が熱せられることによって膨張する空気によりダイヤフラムの接点 が作動するものである。
感知器等規格省令第8条第4号・第5号。空気管式ではリーク抵抗等を、熱電対式・熱半導体式では検出部の作動電圧を容易に試験できる構造とすることを定めています。空気管の切断やリーク異常は、受信機表示だけでなく所定の点検・試験で確認します。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。
それでは続いて【構造・機能③】煙・炎・複合式感知器と非火災報|消防設備士甲4・乙4【過去問】の過去問をみていきましょう。

