【過去問】消防設備士甲1・乙1の構造⑧|流水検知装置・一斉開放弁・末端試験弁

【過去問】消防設備士甲1・乙1の構造⑧|流水検知装置・一斉開放弁・末端試験弁

スプリンクラー設備では、水が出るだけでは足りません。

どの区域で流水が生じたかを検知し、警報・表示を行い、必要な区域へ水を送り、試験と消防隊送水ができる構成が必要です。

この講義で扱う機器を、系統上の位置で整理します。

これから覚える5つ

  1. 制御弁:系統を点検・整備時に区切る
  2. 流水検知装置・圧力検知装置:流水又は圧力変化を検知する
  3. 一斉開放弁:開放型ヘッドの放水区域へ一斉に通水する
  4. 末端試験弁:閉鎖型系統の末端で検知・起動・圧力を試す
  5. 送水口:消防隊が外部から設備配管へ送水する

step
制御弁:系統を点検・整備時に区切る

step
流水検知装置・圧力検知装置:流水又は圧力変化を検知する

step
一斉開放弁:開放型ヘッドの放水区域へ一斉に通水する

step
末端試験弁:閉鎖型系統の末端で検知・起動・圧力を試す

step
送水口:消防隊が外部から設備配管へ送水する

強欲な青木
流水検知装置が火災を見つけて、ヘッドを開くのですか。

閉鎖型ではヘッドが熱で開いて流水が生じ、その流れを流水検知装置が検知します。検知とヘッド開放の順を逆にしないでください。
消防設備士

閉鎖型・開放型の機器配置

閉鎖型は「ヘッド→流水検知」、開放型は「起動→一斉開放弁→区域放水」。

 

 

現在地:水理・構造・工事整備11(11/12)|この講義5問・単元全36問

水理・構造・工事整備|全12講義・36問



 

🔔自動警報装置|発信・受信・音響を分ける

スプリンクラー設備の自動警報装置は、設備が作動したことを監視場所へ伝えます。

 

発信部

発信部は、各階、ラック式倉庫では配管の系統、又は放水区域ごとに設けます。発信部には、流水検知装置又は圧力検知装置を用います。

 

受信部

受信部には、スプリンクラーヘッド又は火災感知用ヘッドが開放した階又は放水区域を覚知できる表示装置を設け、原則として防災センター等に置きます。

一つの防火対象物に二つ以上の受信部があるときは、その場所相互間で同時に通話できる設備を設けます。

 

自動火災報知設備との違い

自動火災報知設備により警報が発せられる場合でも、スプリンクラー設備の自動警報装置全体を省略できるわけではありません。

現行規則の例外は、原則として自動警報装置のうち音響警報装置を省略できるというものです。特定施設水道連結型スプリンクラー設備には、自動警報装置自体を省略できる別の例外があります。

自動警報装置の情報経路

強欲な青木
自動火災報知設備があれば、スプリンクラーの自動警報装置は全部不要ですか。

全部ではありません。自火報で警報が発せられる場合に省略できるのは音響警報装置で、発信・表示まで一括して省略する規定ではありません。
消防設備士

消防法施行規則第14条第1項第4号は、自動警報装置の発信部、受信部、表示、音響及び複数受信部間の通話設備を定め、例外の対象を区別しています。

「自火報あり=自動警報装置なし」ではなく、例外が何を省略するかを読む。

 

 

🌊 流水検知装置|流れを警報信号へ変える

流水検知装置は、ヘッド等の開放により生じた流水又は圧力変化を検知し、信号を発します。

方式ごとの平常時の二次側は次のとおりです。

種別 平常時の一次側 平常時の二次側 主な作動
湿式 加圧水 加圧水 ヘッド開放による圧力低下・流水で弁体が開く
乾式 加圧水 加圧空気 二次側空気圧低下で弁体が開き、二次側へ水が流れる
予作動式 加圧水 標準型は空気 感知部作動で弁体が開き、二次側へ水が流れる

流水検知装置は、機械的な弁体の作動と電気的な警報信号をつなぐ機器です。

点検では、本体、弁体、圧力計、スイッチ、遅延機構、排水、漏れ、警報・表示までを系統として確認します。

流水検知装置の作動断面

強欲な青木
流水検知装置は、ポンプを動かすだけの圧力スイッチですか。

役割を限定しすぎです。流水を検知して発信し、階・区域の表示や警報へつなぎます。起動用水圧開閉装置とは区別します。
消防設備士

流水検知装置の技術規格省令は、湿式・乾式・予作動式の一次側・二次側の状態及び弁体の作動を定義しています。消防庁点検要領は、本体、圧力、スイッチ、警報・表示等を点検対象とします。

流水検知装置は「水の変化→弁体・スイッチ→警報・表示」の変換点。

 

 

🚧 制御弁|閉められるが、みだりに閉めさせない

制御弁は、設備の点検や工事で系統を区切るために必要です。しかし平常時に閉じられると火災時にヘッドへ水が届きません。

そのため、次の条件を一組で確認します。

  • みだりに閉止できない措置がある
  • 直近の見やすい箇所に、スプリンクラー設備の制御弁である旨の標識がある
  • 床面から0.8m以上1.5m以下に設ける
  • 閉鎖型は防火対象物の階ごとに設ける
  • ラック式倉庫の閉鎖型は配管の系統ごとに設ける
  • 開放型は放水区域ごとに設ける

「容易に閉止できる措置」は誤りです。操作そのものができない弁にするのではなく、封印、鎖錠、監視等により不注意や無断操作で閉止されない状態を保ちます。

制御弁の設置単位と管理

強欲な青木
緊急時にすぐ閉められるよう、誰でも簡単に閉止できる方が安全ではありませんか。

平常時の誤閉止は設備を無効にします。必要な操作性を確保しつつ、みだりに閉止できない措置が必要です。
消防設備士

消防法施行規則第14条第1項第3号は、制御弁の設置単位、高さ0.8m以上1.5m以下、みだりな閉止を防ぐ措置及び標識を定めています。

制御弁は「設置単位・高さ・閉止防止・標識」の4点セット。

 

 

🚿 一斉開放弁|開放型区域へ一斉通水

一斉開放弁は、起動装置の作動により常時閉止の弁体を開き、放水区域の開放型ヘッドへ水を供給します。

スプリンクラー設備だけでなく、水噴霧消火設備や泡消火設備にも使用されます。ただし、通常の閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いる設備へ、区域一斉放水の弁として使用するものではありません。

代表的な作動の考え方には、次があります。

  • 減圧開放式:制御室側の圧力を逃がして弁体を開く
  • 加圧開放式:制御室側へ加圧水を導入して弁体を開く

一斉開放弁の技術規格は、弁体が常時閉止し、起動装置の作動で開放すること開放後に通水が中断しても再び通水できること所定時間内に開放することなどを求めています。

大流量を急に通水するため、水撃、配管振動、腐食、弁・排水機構の不具合へ注意します。

消防庁は2022年の水損事案を受け、開放型設備の配管、手動起動弁、電動弁、止水弁、自動排水弁等を重点点検し、減圧開放式は改修工事等の機会に加圧開放式への変更を検討することが望ましいと通知しています。

一斉開放弁の二方式と区域放水

強欲な青木
一斉開放弁は、閉鎖型ヘッドを一斉に開く弁ですか。

違います。弁が区域配管へ通水し、放水口が開いている開放型ヘッドから一斉放水します。閉鎖型ヘッド自体を機械的に開くものではありません。
消防設備士

一斉開放弁の技術規格省令は、適用設備、常時閉止、起動開放及び開放時間等を定めています。消防法施行規則第14条は、開放型設備の弁、起動操作部、放水区域及び試験装置を定めています。

一斉開放弁は「開放型ヘッド・放水区域・起動装置」と一組。

 

 

🧪末端試験弁|閉鎖型系統を一個分の放水で試す

末端試験弁は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いる設備の配管末端に設けます。

目的は、流水検知装置又は圧力検知装置が正しく作動するかを試すことです。開放型設備の放射区域を試す弁ではありません。

構成と設置条件は次のとおりです。

  • 流水検知装置又は圧力検知装置を設ける配管系統ごとに一個
  • 放水圧力が最も低くなると予想される配管部分に設置
  • 一次側に圧力計
  • 二次側にヘッドと同等の放水性能を持つオリフィス等の試験用放水口
  • 直近の見やすい箇所に末端試験弁の標識

弁を開くと一個のヘッドが作動したのと同等の流水を模擬できます。その結果、流水検知、警報・表示、ポンプ起動、末端圧力を系統として確認できます。

特定施設水道連結型スプリンクラー設備で、放水圧力と放水量を測定できるものには、末端試験弁を省略できる例外があります。

末端試験弁の構成と試験経路

強欲な青木
開放型でも、一斉開放弁の先に末端試験弁を付けますか。

末端試験弁は閉鎖型用です。開放型は一斉開放弁二次側の止水弁と点検用排水弁などを使い、放水せずに作動を確認する構成があります。
消防設備士

消防法施行規則第14条第1項第5号の2は、閉鎖型設備の末端試験弁について、系統ごと最低圧部、一次側圧力計、二次側オリフィス等及び標識を定めています。

末端試験弁は「閉鎖型・系統ごと・最低圧部・圧力計・オリフィス」。

 

 

🚒 送水口|消防隊の水を弁の上流側へ入れる

送水口は、消防隊がポンプ車等からスプリンクラー設備へ送水する入口です。

主な基準は次のとおりです。

  • スプリンクラー設備専用とする
  • 結合金具は呼称65の差込式受け口又はねじ式めねじに適合する
  • 結合金具は地盤面から0.5m以上1.0m以下
  • 送水に支障のない位置に設ける
  • 専用配管で、加圧送水装置から流水検知装置・圧力検知装置・一斉開放弁・手動式開放弁までの配管へ接続する
  • 直近の見やすい箇所に「スプリンクラー用送水口」と送水圧力範囲を表示する

閉鎖型で流水検知装置の二次側へ直接接続すると逆止・検知・系統管理の想定を外れます。接続点は、加圧送水装置から流水検知装置等までの配管です。

また、屋内・屋外消火栓箱の表示灯と混同し、送水口へ赤色灯火を必須としないでください。スプリンクラー用送水口の規定は、用途と送水圧力範囲の標識です。

送水口の高さ・表示・接続位置

強欲な青木
送水口はヘッドに近いほどよいので、流水検知装置の二次側へつなげばよいですか。

規定は、加圧送水装置から流水検知装置等までの配管への接続です。二次側へ直結するという読み方は誤りです。
消防設備士

消防法施行規則第14条第1項第6号は、専用送水口、呼称65の結合金具、高さ0.5m以上1.0m以下、専用配管の接続範囲及び用途・送水圧力範囲の標識を定めています。

送水口は「専用・65・0.5〜1.0m・上流側接続・用途と圧力表示」。

 

 

🔄試験時の作動を系統で追う

 

閉鎖型の末端試験

  1. 制御弁が全開・監視状態であることを確認する
  2. 末端試験弁を開く
  3. 一個のヘッド相当の流水を発生させる
  4. 流水検知装置又は圧力検知装置が作動する
  5. 受信部の階・区域表示と音響を確認する
  6. 加圧送水装置の起動を確認する
  7. 末端圧力計で放水圧力を確認する
  8. 弁を閉じ、排水・警報・ポンプ・表示を復旧する

 

開放型の作動試験

  1. 一斉開放弁二次側の止水弁を閉止する
  2. 点検用排水弁を開く
  3. 手動式起動操作部又は自動式起動装置を作動させる
  4. ポンプ、一斉開放弁、表示・警報を確認する
  5. 配管、弁、排水、制御を復旧する

点検は「一個の機器が動いた」で終えず、水流・信号・表示・起動・圧力・復旧まで連続して確認します。

閉鎖型・開放型の試験タイムライン

強欲な青木
末端試験弁で水が出れば、点検は合格ですか。

水だけでは不足です。流水検知、警報・表示、ポンプ起動、末端圧力、復旧まで確認します。
消防設備士

強欲な青木
点検後は末端試験弁だけ閉じれば終わりですか。

排水、制御弁、警報、表示、ポンプ、圧力を通常の監視状態へ戻し、漏れや異常がないことまで確認します。
消防設備士

消防庁の点検基準・点検要領は、閉鎖型では末端試験弁の開放操作、開放型では手動又は自動起動により、加圧送水装置、表示・警報、放水圧力、一斉開放弁等を確認します。

消防庁の水損事案注意喚起は、開放型設備の配管、手動起動弁、電動弁、止水弁、自動排水弁等の重点点検と誤作動・漏水原因の早期改修を求めています。

試験は「操作→流水→検知→警報→起動→圧力→復旧」の一本線。

 

 

⚠よく出る注意ポイント

  1. 自火報があれば自動警報装置を全部省略 → 原則として省略できるのは音響警報装置
  2. 発信部は建物に一個 → 各階、配管系統又は放水区域ごと
  3. 流水検知装置が閉鎖型ヘッドを開く → ヘッド開放後の流水等を検知
  4. 制御弁は容易に閉止できる措置 → みだりに閉止できない措置
  5. 閉鎖型の制御弁は放水区域ごと → 原則として階ごと
  6. 開放型の制御弁は階ごと → 放水区域ごと
  7. 一斉開放弁は閉鎖型ヘッド設備に使う → 開放型ヘッドの区域へ通水
  8. 末端試験弁は開放型にも設置 → 閉鎖型設備に設置
  9. 送水口の高さは0.8〜1.5m → 0.5〜1.0m
  10. 送水口配管は流水検知装置の二次側へ直結 → 加圧送水装置から流水検知装置等までの配管へ接続

 

 

✍過去問で確認しよう

この単元の収録過去問は、全部で5問です。

 

スプリンクラー設備の自動警報装置の設置について、消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 発信部は、各階(ラック式倉庫にあっては、配管の系統)又は放水区域ごとに設けるものとし、当該発信部には、流水検知装置又は圧力検知装置を用いること。
  2. 自動火災報知設備により警報が発せられる場合は、自動警報装置を設けないことができる。
  3. 受信部には、スプリンクラーヘッド又は火災感知用ヘッドが開放した階又は放水区域を覚知できる表示装置を設けるとともに、原則としてこれを防災センター等に設けること。
  4. 一の防火対象物に2以上の受信部が設けられているときは、これらの受信部のある場所相互間で同時に通話することができる設備を設けること。

 

スプリンクラー設備の制御弁の技術上の基準として、誤っているものは次のうちどれか。ただし、ラック式倉庫に設置する場合を除くものとする。

  1. 制御弁には、容易に閉止できる措置を講じること。
  2. 制御弁には、直近の見やすい箇所にスプリンクラー設備の制御弁である旨を表示した標識を設けること。
  3. 制御弁は、開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備にあっては、放水区域ごとに設けること。
  4. 制御弁は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備にあっては、当該防火対象物の階ごとに設けること。

 

スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の一斉開放弁の記述について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 一斉開放弁は、大容量の散水を目的とした開放弁で、放水区域ごとの主管に設置され、その区域の全数の開放型スプリンクラーヘッド等に水を供給する。
  2. 一斉開放弁は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いる設備のほか、放水型ヘッド等を用いるスプリンクラー設備、水噴霧消火設備に使われており、本体、弁及び制御部(ピストン室)で構成されている。
  3. 一斉開放弁は、火災感知用ヘッドが作動してピストン室の水圧力が低下すると弁が一次側の加圧水により押し上げられて開弁する減圧開放式と弁が閉じた状態で感知器が作動すると一次側の加圧水がピストン室に流れ込み、弁を開放する加圧開放式がある。
  4. 一斉開放弁は、その目的から大流量の消火水を瞬時に通水したり、閉止したりするため、大きな水撃作用が発生する。

 

スプリンクラー設備に関する次の記述のうち、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 加圧送水装置には、高架水槽方式、圧力水槽方式及びポンプ方式の3種類がある。
  2. 送水口には、その直近の見やすい箇所にスプリンクラー用送水口である旨及びその送水圧力範囲を表示した標識を設けなければならない。
  3. 末端試験弁は、開放型ヘッド又は閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備に設置するもので、流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験するためのものである。
  4. 起動装置には、自動式と手動式があり、閉鎖型ヘッドを用いるスプリンクラー設備の場合、自動火災報知設備の感知器の作動又は流水検知装置若しくは起動用水圧開閉装置の作動と連動して、加圧送水装置を起動させる。

 

スプリンクラー設備の送水口の設置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 送水口は、スプリンクラー設備専用のものを設けた。
  2. 送水口の結合金具を、地盤面からの高さが1.0mの位置に設けた。
  3. 送水口には、その直近の見やすい箇所にスプリンクラー用送水口であること及び送水圧力範囲を表示した標識を設けた。
  4. 送水口の配管を、流水検知装置の二次側に接続した。

 

 

まとめ

  • 自動警報装置は、発信部・受信部・表示・音響を分けて考える
  • 自火報で警報が出ても、自動警報装置全体を省略できるわけではない
  • 流水検知装置は、水の変化を警報・表示へ変える
  • 制御弁は、みだりに閉止できない措置を講じる
  • 一斉開放弁は、開放型ヘッドの放水区域へ一斉通水する
  • 末端試験弁は閉鎖型の配管系統ごとに設ける
  • 送水口は0.5m以上1.0m以下、専用配管で弁の上流側へ接続する
  • 点検は作動だけでなく、表示・警報・圧力・復旧まで確認する

機器名だけで覚えず、「どこにあり、何を検知・開放・試験するか」を一本の系統で追いましょう。

 

➡次に進みましょう

強欲な青木
次はどこへ進めばいいですか?

水理・構造・工事整備の11/12講義が終了です。次は「水道連結型・共同住宅用・パッケージ型」を学習します。
消防設備士

次の講義へ進む
【過去問】消防設備士甲1・乙1の構造⑨|水道連結型・共同住宅用・パッケージ型
【過去問】消防設備士甲1・乙1の構造⑨|水道連結型・共同住宅用・パッケージ型