スプリンクラーヘッドは、単なる「水の出口」ではありません。
閉鎖型ヘッドでは、平常時に放水口を閉じ、火災の熱を受けた感熱体が作動すると放水口を開きます。流出した水はデフレクターで細分され、所定の範囲へ散水されます。
この講義では、次の順で整理します。
これから覚える6つ
- 部品の名称と役割
- 閉鎖型・開放型と各ヘッド種別
- 標示温度と最高周囲温度
- 作動から散水までの流れ
- 放水圧力・放水量
- 取付け方向と障害物
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1部品の名称と役割
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2閉鎖型・開放型と各ヘッド種別
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3標示温度と最高周囲温度
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4作動から散水までの流れ
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5放水圧力・放水量
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6取付け方向と障害物
感熱体は開放のきっかけ、デフレクターは散水の形をつくる部品。
現在地:水理・構造・工事整備10(10/12)|この講義4問・単元全36問
水理・構造・工事整備|全12講義・36問
🔩 閉鎖型ヘッドの構造
閉鎖型スプリンクラーヘッドの主要部を、上流から見てみましょう。
- 配管取付部:配管へねじ込み、水を放水口へ導く
- 放水口:作動後に水が流出する開口部
- 弁体・シール部:平常時の加圧水を止める
- 感熱体:一定の熱条件で破壊又は変形して閉止を解除する
- フレーム:取付部とデフレクターを結ぶ
- デフレクター:水流を細分し、所定方向へ分散する
感熱体の代表は、ヒュージブルリンクとグラスバルブです。
ヒュージブルリンクは、易融性金属等で組み立てられ、火熱により破壊又は変形します。グラスバルブは、ガラス球内に液体等を封入した感熱体です。
どちらも「ヘッドが設定温度に達した瞬間に、部品全体が溶けてなくなる」という意味ではありません。保持機構が外れ、弁体が開放される構造です。
閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術規格省令第2条は、デフレクター、標示温度、フレーム、ヒュージブルリンク、グラスバルブを定義しています。
閉鎖型は「閉止保持→感熱体作動→弁体開放→デフレクター散水」。
🧭ヘッドの種類と散水方向
ヘッドは、放水口の開閉と散水方向を分けて整理します。
閉鎖型と開放型
| 区分 | 平常時の放水口 | 作動の考え方 | 主な組合せ |
|---|---|---|---|
| 閉鎖型 | 閉じている | 個々の感熱体が火熱で作動 | 湿式・乾式・予作動式 |
| 開放型 | 開いている | 一斉開放弁等の開放で区域内へ放水 | 開放型設備 |
閉鎖型の散水形状
| 種別 | 散水の基本 | 見分ける論点 |
|---|---|---|
| 標準型ヘッド | 軸心を中心とした円上へ均一に分散 | 有効散水半径、感度種別、取付け方向 |
| 小区画型ヘッド | 標準型のうち、小区画と壁面へ散水 | 対象用途、湿式、放水性能 |
| 側壁型ヘッド | 軸心を中心とした半円上へ均一に分散 | 壁面取付け、前方・両側への散水 |
| カバー付ヘッド | ヘッドへカバーを取り付けたもの | カバー離脱後の作動・散水 |
放水型ヘッド等は、高天井部分などで放水する別区分です。閉鎖型ヘッドの標示温度表を、そのまま放水型ヘッドへ当てはめません。
閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術規格省令第2条は、標準型、小区画型、水道連結型、側壁型及びカバー付ヘッドを散水範囲・構造で区分しています。
「閉鎖か開放か」と「どの方向へ散水するか」は別軸で判定する。
🌡最高周囲温度から標示温度を選ぶ
閉鎖型ヘッドは、設置場所の正常時における最高周囲温度に応じた標示温度のものを選びます。
| 取付場所の正常時の最高周囲温度 | 使用するヘッドの標示温度 |
|---|---|
| 39℃未満 | 79℃未満 |
| 39℃以上64℃未満 | 79℃以上121℃未満 |
| 64℃以上106℃未満 | 121℃以上162℃未満 |
| 106℃以上 | 162℃以上 |
読み方は「場所からヘッドへ」です。
例えば標示温度72℃は79℃未満の帯なので、正常時の最高周囲温度が39℃未満の場所に設置します。
標示温度96℃は79℃以上121℃未満の帯です。したがって、正常時の最高周囲温度が40℃、50℃、60℃の場所はいずれも39℃以上64℃未満の帯に入り、96℃を選べます。
一方、最高周囲温度40℃の場所へ72℃のヘッドを用いる組合せは誤りです。
消防法施行規則第14条第1項第7号は、取付場所の正常時の最高周囲温度と閉鎖型ヘッドの標示温度を4段階で対応させています。
72℃→39℃未満、96℃→39℃以上64℃未満。
🎨 標示温度の表示と色別
技術規格省令は、ヘッドに標示温度などを表示することに加え、標示温度の区分に応じた色別を定めています。
| 標示温度の区分 | 色別 |
|---|---|
| 60℃未満 | 黒 |
| 60℃以上75℃未満 | 無色 |
| 75℃以上121℃未満 | 白 |
| 121℃以上162℃未満 | 青 |
| 162℃以上200℃未満 | 赤 |
| 200℃以上260℃未満 | 緑 |
| 260℃以上 | 黄 |
72℃は「60℃以上75℃未満」なので無色、96℃は「75℃以上121℃未満」なので白です。
ただし、試験で問われる「最高周囲温度と標示温度の選定表」と「標示温度区分の色別表」は別の表です。境界値も異なるので混同しないでください。
また、実機を識別するときは、作動後も確認できる色別表示、標示温度、取付け方向、感度種別等を総合して確認します。
閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術規格省令第18条は、製造者名等、標示温度、取付け方向、感度種別等の表示及び標示温度区分ごとの色別を定めています。
温度選定の4区分と色別表示の7区分を混ぜない。
🔥熱を受けてから散水するまで
湿式の閉鎖型ヘッドを例に、作動順を追います。
- 火災で高温の気流が天井付近へ集まる
- 感熱体が熱を受ける
- 感熱体が破壊又は変形し、保持機構が外れる
- 弁体が離脱し、放水口が開く
- 配管内の加圧水が放水口から流出する
- デフレクターで水流が細分され、散水する
- 流水検知装置が流水を検知し、警報を発する
閉鎖型ヘッドは、火源の近くで熱を受けたものから作動します。室内の全ヘッドが一斉に開くわけではありません。
開放型ヘッドは感熱体で放水口を閉じていません。一斉開放弁が開くとその放射区域内の開放型ヘッドから一斉に放水します。
技術規格省令は閉鎖型ヘッドの感熱体、作動温度、散水分布等を規定し、消防法施行規則第14条は開放型設備の一斉開放弁及び起動装置を定めています。
閉鎖型は局所作動、開放型は弁の開放で区域一斉放水。
💦 放水圧力と放水量
特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く一般的な基準では、代表的なヘッド先端の性能を次のように整理します。
| ヘッド・設備 | 最低放水圧力 | 最少放水量 |
|---|---|---|
| 閉鎖型・標準型ヘッド(小区画型を除く) | 0.1MPa | 80L/min |
| 閉鎖型・側壁型ヘッド | 0.1MPa | 80L/min |
| 閉鎖型・小区画型ヘッド | 0.1MPa | 50L/min |
| 開放型スプリンクラーヘッド | 0.1MPa | 80L/min |
「最低値」だけでなく、設備の設計・試験では過大圧にも注意します。消防庁の試験基準では、標準型・側壁型・小区画型ヘッドの放水圧力を0.1MPa以上1MPa以下として確認します。
過去問では、別設備の数値を混ぜて誤答を作ります。
| 設備 | 最低放水圧力 | 最少放水量 |
|---|---|---|
| 倉庫に設ける屋内消火栓設備(1号) | 0.17MPa | 130L/min |
| 2号屋内消火栓設備 | 0.25MPa | 60L/min |
| 屋外消火栓設備 | 0.25MPa | 350L/min |
| 標準型・開放型スプリンクラーヘッド | 0.1MPa | 80L/min |
消防法施行規則第13条の6は、標準型・側壁型・小区画型・開放型のヘッド先端における放水圧力及び放水量を定めています。特定施設水道連結型には別の緩和値があるため、この講義の代表問条件から分離します。
標準型・開放型は「0.1MPa・80L毎分」。屋外消火栓の350L毎分と混ぜない。
📐取付け方向と散水障害
標準型ヘッドの基本配置では、次を確認します。
- 軸心が取付け面に対して直角か
- デフレクターと取付け面の距離が0.3m以下か
- デフレクターの下方0.45m以内、水平方向0.3m以内に散水障害がないか
- 易燃性の可燃物を収納する部分では、下方の空間を0.9m以内として確認したか
- 梁、ダクト、照明、棚、荷物が散水を遮らないか
- 乾式・予作動式の二次側は、原則としてデフレクターが取付け部より上方となる上向型か
側壁型、小区画型、はり等がある場合には個別の配置基準があります。水平距離・有効散水半径の詳細は法令④で扱い、この講義では「正しい向きと障害物のない空間」を構造面から押さえます。
点検では、腐食、変形、漏れ、塗装、荷物との離隔、ヘッド周囲の障害物、取付け方向を確認します。ヘッドへの後塗りは、感熱・散水機能に影響するおそれがあります。
消防法施行規則第13条の2は、標準型ヘッドの取付け方向、デフレクターと取付け面の距離、ヘッド周囲の障害物範囲及び乾式・予作動式の上向型を定めています。
消防庁のスプリンクラー設備点検要領は、ヘッドの外形、漏れ、塗装、障害物、取付け方向及び周囲状況を点検対象としています。
散水性能はヘッド単体だけでなく、向き・天井との距離・周囲の空間で決まる。
⚠よく出る注意ポイント
- デフレクターが熱で溶ける → 感熱体が作動し、デフレクターは水流を細分する
- 閉鎖型は区域内一斉放水 → 火熱を受けたヘッドが個別に作動
- 開放型は感熱体が一個ずつ開く → 放水口は開いており、一斉開放弁で区域放水
- 側壁型は円形散水 → 半円上へ分散
- 72℃ヘッドは最高周囲温度72℃未満 → 39℃未満
- 最高周囲温度40℃に72℃ヘッド → 79℃以上121℃未満の標示温度を選ぶ
- 標準型ヘッドは0.2MPa・80L毎分 → 0.1MPa・80L毎分
- 屋外消火栓は300L毎分 → 350L毎分
- 標準型と小区画型の放水量は同じ → 一般基準では80L毎分と50L毎分
- 乾式二次側は下向型が基本 → 原則として上向型
✍過去問で確認しよう
この単元の収録過去問は、全部で4問です。
標示温度が72℃の閉鎖型スプリンクラーヘッドについて、取り付ける場所の正常時における最高周囲温度として、消防法令上、定められているものは次のうちどれか。
- 39℃未満
- 39℃以上50℃未満
- 50℃以上61℃未満
- 61℃以上72℃未満
閉鎖型スプリンクラーヘッドを設置する場所の正常時における最高周囲温度と設置したスプリンクラーヘッドの標示温度の組合せとして、消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。
| 選択肢 | 最高周囲温度 | 標示温度 |
|---|---|---|
| 1 | 30℃ | 72℃ |
| 2 | 40℃ | 72℃ |
| 3 | 50℃ | 96℃ |
| 4 | 60℃ | 96℃ |
消火設備それぞれのノズル又はヘッドの最少放水量及び最低放水圧力の組合せとして、消防法令上、正しいものはどれか。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。
| 選択肢 | 消火設備 | 最少放水量 | 最低放水圧力 |
|---|---|---|---|
| 1 | 倉庫に設ける屋内消火栓設備 | 60L/min | 0.25MPa |
| 2 | 屋外消火栓設備 | 300L/min | 0.25MPa |
| 3 | 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 | 80L/min | 0.1MPa |
| 4 | 閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドを用いるスプリンクラー設備 | 80L/min | 0.2MPa |
消火設備それぞれのノズル又はヘッドの最少放水量及び最低放水圧力の組合せとして、消防法令上、正しいものはどれか。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。
| 選択肢 | 消火設備 | 最少放水量 | 最低放水圧力 |
|---|---|---|---|
| 1 | 倉庫に設ける屋内消火栓設備 | 130L/min | 0.17MPa |
| 2 | 屋外消火栓設備 | 300L/min | 0.25MPa |
| 3 | 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備 | 80L/min | 0.2MPa |
| 4 | 閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドを用いるスプリンクラー設備 | 40L/min | 0.1MPa |
まとめ
- 閉鎖型ヘッドは、感熱体が作動すると弁体が外れて放水する
- デフレクターは、放水口からの水流を細分して分散する
- 標準型は円上、側壁型は半円上へ分散する
- 標示温度72℃のヘッドは、最高周囲温度39℃未満の場所へ設ける
- 最高周囲温度40℃では、標示温度79℃以上121℃未満のヘッドを選ぶ
- 標示温度の選定表と色別表示の区分は別に覚える
- 標準型・開放型は0.1MPa以上・80L毎分以上
- 乾式・予作動式二次側は原則上向型とし、散水障害を避ける
ヘッドは「感熱」「開放」「散水」「配置」「性能」の五つをつないで理解しましょう。
➡次に進みましょう
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【過去問】消防設備士甲1・乙1の構造⑧|流水検知装置・一斉開放弁・末端試験弁







