機械に関する基礎的知識を学んだ後に、この講義で圧力・流量・エネルギーの関係を1類の水系消火設備へ適用します。共通の力、材料、ねじ等はここで再解説しません。
試験では、圧力、速度、高さを「水頭」という同じ単位へそろえ、配管損失を加えて必要なポンプ全揚程を判定できることが到達点です。
流量は保存され、全水頭は損失分だけ減る。
これから覚える7つ
- 水は非圧縮性流体として扱う
- 圧力は単位面積当たりの力
- 流量と連続の式
- ベルヌーイの定理
- トリチェリーの定理
- 摩擦損失水頭
- ポンプ全揚程への接続
現在地:水理・構造・工事整備1(1/12)
水理・構造・工事整備|全12講義
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)ショップの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
併せて、ご参照ください。
💧 水は非圧縮性流体として扱う
代表問の誤りは「水は圧縮性流体である」です。実際には圧力で密度がわずかに変化しますが、通常の設備計算では非圧縮性流体として扱います。
- 自由表面をもつ
- 小さなせん断力でも連続して変形する
- 引張力には抵抗しない
- 粘性があるため、実配管ではエネルギー損失が生じる
📦 圧力は単位面積当たりの力
p = F/A
p:圧力PaF:面へ垂直に働く力NA:面積m2
1Pa=1N/m2です。消防設備ではMPaを使うため、1MPa=10^6Paも固定します。
パスカルの原理は「密閉流体の一部へ加えた圧力は、等しい強さで流体全体へ伝わる」です。力の大きさではなく、単位面積当たりの圧力が伝わる点を押さえます。
🚿 流量と連続の式
Q = Av
Q:流量m3/sA:管断面積m2v:平均流速m/s
非圧縮・定常流で途中に分岐や流入がなければ、A1v1=A2v2です。
代表問では、太い管の内径が細い管の2倍です。断面積は直径の2乗に比例するため太い側は4倍の面積となり、細い側の流速は4倍です。正答は4です。
直径比を、そのまま流速比にしない。面積へ直してから逆比にする。
🧭ベルヌーイの定理
理想的な定常流の全水頭は次の3つの和です。
v²/(2g) + z + p/(ρg) = He
| 項 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
v²/(2g) |
速度水頭 | 流速がもつ運動エネルギー |
z |
位置水頭 | 基準面からの高さ |
p/(ρg) |
圧力水頭 | 圧力を水柱高さへ換算 |
理想流では全水頭Heが一定です。実配管では摩擦や継手・弁による損失があるため、上流の全水頭から損失水頭を差し引いて下流へ伝わります。
🕳️ トリチェリーの定理
大きな水槽の水面から深さHの小孔へ流出するとき、粘性と水面低下を無視すれば次式です。
v = √(2gH)
水面と小孔にベルヌーイの式を適用すると両点の圧力水頭は大気圧で相殺され、水面速度はほぼ0、小孔の位置水頭を0として導けます。
🧱摩擦損失水頭
直管の基本関係はダルシー・ワイスバッハ式で整理できます。
hf = λ(L/D)・v²/(2g)
- 管長
Lが長いほど大きい - 流速
vの2乗に比例する - 同条件では管径
Dが太いほど小さい - 摩擦係数
λは流れと管内面の条件により変わる
したがって摩擦損失は、管長と流速の2乗に比例し、管径に反比例すると判定できます。
実設備では直管だけでなく、エルボ、チーズ、弁、入口・出口などの局部損失を加えます。消防庁告示の基準表・計算方法へ接続して求めます。
🔗ポンプ全揚程への接続
設備計算では、必要な放水圧力水頭、実揚程、ホース・配管の摩擦損失を合計します。
必要全揚程 = 放水圧力水頭 + 実揚程 + ホース損失 + 配管・弁損失
ベルヌーイの各水頭を、ポンプが補うべきエネルギーへ読み替えたものです。
代表問で確認
- 水を通常の設備計算で何流体として扱うか。
- 深さHの小孔からの理想流出速度を示す式は何か。
- 摩擦損失水頭は何に比例・反比例するか。
- 管径が半分になったとき、流量一定なら流速は何倍か。
- 密閉流体へ加えた圧力が等しく伝わる原理は何か。
正解:非圧縮性流体、v=√(2gH)、管長と流速の2乗に比例・管径に反比例、4倍、パスカルの原理。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。
実務メモ
現場では、ポンプ性能曲線、実際の配管長、弁・継手の局部損失、放水点の高低差を同じ条件で照合します。試験でも「どの損失を足すか」を配管系統から拾う習慣が重要です。
まとめ
- 圧力は力÷面積、流量は断面積×流速
- 連続の式では断面積と流速が逆比になる
- 全水頭は速度・位置・圧力水頭の和
- 実配管では摩擦・局部損失を差し引く
- 水理の各式はポンプ全揚程へ一つにつながる
➡次に進みましょう
水理・構造・工事整備の1/12講義が終了です。次は「水源と有効水量」を学習します。 下の講義カードから、そのまま次の学習へ進めます。



