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火災・防火・総合防災の6講義中2講義目です。煙の経路と圧力差の向きを先に決め、自然・機械・加圧防排煙を目的で分けます。
比較・判断の早見表
煙は上昇後に横へ広がる
火源で生じた高温の煙は、周囲の空気を巻き込みながらプルームとして上昇します。天井に達すると天井流となって広がり、上部に煙層をつくります。煙は単に「上へ行く」だけでなく、天井下を横へ流れ、開口部や竪穴を通って別の空間へ移動します。選択肢で煙の流れが問われたら、火源、天井、開口、隣室・階段室の順に経路を追います。
排出と侵入抑制を区別する
自然排煙と機械排煙は、火災室などから煙を外へ排出することが中心です。加圧防排煙は、階段室や附室など避難者を守る側の圧力を相対的に高くし、煙を入れにくくします。いずれも圧力差を扱いますが、煙側を引く説明なのか、安全側を押す説明なのかが違います。「排煙機があるから加圧」といった設備名だけの判断を避けます。
風量は系統条件と一緒に読む
機械排煙では、ダクトの長さ、分岐、抵抗、必要静圧、各排煙口への風量配分が関係します。大きな排煙機1台へ多くの系統を集めれば、必ず均一になるわけではありません。分岐が増えれば調整や圧力損失の検討が必要です。数量や配置を述べる肢は、機器数の多寡ではなく、どの区画に必要な排煙量を確保できるかで評価します。
したがって、排煙機を大型化すればすべて解決する、系統を分ければ必ず不利になる、といった単純な肢はそのまま受け取りません。区画ごとの必要風量と、そこへ至るダクト経路を思い浮かべて判断します。
給気が不足すれば排出した分の空気の流れも成立しにくくなります。排煙だけ、給気だけという一語で結論を出さず、火災室からどこへ空気と煙が動くかを確認します。
煙問題は「煙が上へ行く」という知識だけでは足りません。煙が生まれ、天井下へ広がり、開口や竪穴を通り、どの方式で制御されるかを順に追うと、設備名の引っかけを防げます。
①:煙層の形成
火災プルームは周囲空気を巻き込みながら上昇し、天井へ達すると天井流となって広がり、煙層を形成します。大空間、竪穴、開口部では浮力と圧力差が煙の移動方向を決めます。
具体的には、火源の真上だけを見ず、火源→天井→廊下→階段室という順で追います。プルームが上がる途中には周囲空気の巻込みがあり、天井に達した後は天井流として横に広がります。その先に開いた扉や階段などの竪穴があれば、煙は高い位置だけにとどまらず別の空間へ移動します。問題の断面図を頭に描き、矢印を1本ずつ足すつもりで読んでください。
煙の経路を問われたら、火源・上昇・天井流・開口・隣接空間の5点を順に確認します。「煙は上へ行く」だけで終わる肢は、天井下の横方向の流れや開口部の条件を落としていることがあります。

②:3方式を比べる
自然排煙は、煙の浮力と開口を利用して排出します。機械排煙は、排煙機で煙を排出し、必要な給気との組合せで流れをつくります。加圧防排煙は、階段室や附室などを相対的に正圧にして、煙の侵入を抑えます。目的が「煙を出す」のか「安全側へ入れない」のかで分けるのが要点です。
加圧防排煙設備の固有基準は、方式の目的と分けて確認します。
数値は方式名だけで選びません。排煙口の材料、床面積に対する開口面積、水平距離など、何を測る条件かまで添えて判定します。
たとえば、火災室にたまった煙を外へ出す説明なら、自然排煙または機械排煙を候補にします。階段室や附室へ煙を入れない説明なら、火災室の煙を直接引くのではなく、安全側の圧力を高める加圧防排煙を考えます。どちらも送風機や開口が登場し得ますが、「どの空間を安全側として守るか」が違います。
③:流動と開口部
排煙は煙を外へ出すだけでなく、避難経路への流入を抑え、煙層高さを保つ目的があります。自然排煙は開口、機械排煙は排煙機、加圧防排煙は安全区画側の正圧を利用します。
開口部は「穴がある」だけで作用を決めません。上部の開口は浮力で上がった煙の出口になり得ますが、排出した分の空気の入口や、別室へ煙を逃がす経路にもなり得ます。扉を開けたとき、煙がどちら側へ流れるかは、火災室・廊下・階段室の圧力差と煙層の高さを一緒に見て決めます。
図では、赤い煙の矢印と給気の矢印を別々に追ってください。煙の矢印だけを見て「排煙」、給気の矢印だけを見て「加圧」と即決せず、どの空間を守るための流れかまで確認します。
④:煙制御を区画と避難へつなぐ
煙制御の成否は、排煙口や送風機だけで決まりません。火災室と廊下の間で区画が保たれるか、扉や開口を通じてどこへ流れるか、階段室や附室を安全側として保てるかまで連続して考えます。避難者にとって重要なのは、煙を減らす設備名ではなく、移動する経路の高さと方向に煙が入らないことです。
たとえば、階段室を守る肢では、火災室の煙を排出する説明と、階段室側へ給気して圧力差をつくる説明を別々に読んでください。前者は煙側の量を減らす働き、後者は安全側の入口から煙を入りにくくする働きです。
建物内における大規模な空間で火災が発生した場合の煙の流動について、最も不適当なものは次のうちどれか。
1 温度が均一な大規模空間内部での蓄積性状は、簡単な2層ゾーンモデルによって予測が可能である。
2 大規模な空間内部で火災が発生した場合、煙はその浮力によって上昇し、大空間の天井面下に蓄積され、煙層と空気層とが比較的きれいに成層化する。
3 水平断面積が小さく頂部のみが開放された垂直方向の高さが高いボイド空間で煙が上昇する場合には、煙層と空気層とが2層を形成し上昇する。
4 空間の頂部付近が日射の影響などにより底部と比べて高温になっており、火災初期の煙の温度が比較的低い場合は、頂部の高温層を突き抜けて頂部から成層化していくという保証はなく、その温度や速度条件によっては、空気層の下に煙層が形成されることもある。
耐火建築物の火災時における煙・ガスの拡散について、最も不適当なものは次のうちどれか。
1 煙の比重は同じ温度の空気と比べて軽いので、一般には廊下において火災室に向かう新鮮な空気とで二層流を形成して、煙は廊下の上部を流れていく。この煙層の厚さは、火炎伝播速度・最小着火エネルギー・煙の膨張比によって決まる。
2 階段室や竪ダクトやシャフトなどが開口していれば、浮力効果によって流速が増大し、2~3ⅿ/sの流速で煙は急速に竪穴を上昇する。階段室の扉が火災階と上層階とで開放されている場合、その階段室に煙が入ると、その内部空気が温められて煙突降下を生じ、建物全体に空気の強い流れが形成され、多量の煙やガスが急速に上階へ伝播し、上層階ほど短時間で煙が充満する。
3 煙の流れは、流路・開口の抵抗や圧力差に左右される為、火災室から避難路に通じる扉や上階に通じるダクトやシャフトのダンパーを閉じて流路の抵抗を大きくするか、避難路の圧力を大きくすれば、煙の避難路への流入を阻止できる。
4 流路・開口の抵抗を大きくするには、火災室扉・廊下扉・階段室扉のような要所に自動式閉鎖扉を設置し、竪ダクト等には防煙ダンパーを設置する。また、避難路への煙の流入を防ぐには、避難路に給気加圧をするか、あるいは火災室やその近傍において排煙することが必要である。
自然排煙方式による排煙設備の構造について建築基準法令上、誤っているものは次のうちどれか。
1 排煙設備の排煙口・風道その他煙に接する部分を準不燃材料で造らなければならない。
2 排煙口は、防煙区画部分の床面積の1 / 50以上の開口面積を有しなければならない。
3 排煙口には、手動開放装置もしくは煙感知器と連動する自動開放装置または遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ解放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けなければならない。
4 排煙口は、防煙区画部分のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が30 ⅿ以下となるように設けなければならない。
建物内における大規模な空間で火災が発生した場合の煙の流動について、最も不適当なものは次のうちどれか。
1 空間の頂部付近が日射の影響などにより底部と比べて高温になっており、火災初期の煙の温度が比較的低い場合は、頂部の高温層を突き抜けて頂部から成層化していくという保証はなく、その温度や速度条件によっては、空気層の下に煙層が形成されることもある。
2 水平断面積が小さく頂部のみが開放された垂直方向の高さが高いボイド空間で煙が上昇する場合には、煙層と空気層とが2層を形成し上昇する。
3 大規模な空間内部で火災が発生した場合、煙はその浮力によって上昇し、大空間の天井面下に蓄積され、煙層と空気層とが比較的きれいに成層化する。
4 温度が均一な大規模空間内部での蓄積性状は、簡単な2層ゾーンモデルによって予測が可能である。
建築物内の煙の流動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 室内の初期火源から高温の煙が生成され、周囲の空気を巻き込みながら上昇し天井に至る。
2 煙は、天井面に衝突すると方向転換して水平に広がる。さらにこの流れが壁面に到達するとまた方向転換して、空間上部に高温層を形成する。
3 煙は、扉などの上部の垂れ壁高さまで降下し、開口部から廊下や外部へと流出する。流出した煙は浮力を維持し、廊下が長い場合でも、天井面を水平に広がり、常に2層を形成する。
4 廊下に流出した煙は、階段やエレベーターシャフトなどの開口部や隙間を通じて堅穴区画に侵入し、建物全体へと拡散する。堅穴区画での煙の上昇速度は3~5m / sである。
消防庁告示上、排煙設備に代えて加圧防排煙設備を設置する場合の設置および維持に関する技術上の基準について、誤っているものは次のうちどれか。
1 加圧式消火活動拠点は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一の遮煙開口部までの水平距離が50m以下となるように設けること。
2 排煙用の風道には、原則として自動閉鎖装置を設けたダンパーを設置してはならない。
3 給気口は規則の規定の例によるほか、加圧式消火活動拠点ごとに1以上設けるとともに、給気用の風道に接続されていること。
4 非常電源として蓄電池設備を用いる場合、容量は有効に20分間以上作動できるものであること。
アトリウムにおける煙制御の基本的な考え方について、最も不適当なものは次のうちどれか。ただし、排煙は自然排煙によるものとする。
1 煙は、上昇する過程で多量の空気を巻き込み、容積が増す。このため、最上部付近では、隣接する空間に煙が漏れる可能性が高いため、ガラススクリーンなどの固定の間仕切りを設置するのがいい。
2 アトリウム内の中性帯の位置は、給気口を設けた場合、給気口を設けない場合と比べ、下降する。
3 給気口が排煙口より大きければ大きいほど排煙効率が上がるため、煙層の温度上昇が抑制される。
4 アトリウムなどの吹抜空間では、吹抜空間を防火区画・排煙区画して、吹抜空間以外の部分への煙拡散を防止する場合がある。
煙制御方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 排煙機はダクト系の最頂部に設置することが原則である。竪シャフトの最頂部に排煙機を設け、他の機器と熱的に隔離されている計画の場合には、排煙機自体の吸い込み側に防火ダンパーは不要である。また、付室などに給気を行う場合、外気の取り入れ口は建物の下部に設置することが原則である。
2 1台の大きな排煙機を用いると各排煙口での風量バランスが取り易く、静圧も小さく安定する。これに配して、複数の排煙機で、排煙系統を分割した場合、区画の貫通数が多くなり、広い設置スペースが必要となる他、維持管理にも手間がかかる。
3 排煙ダクトは、そこを通過する煙量が多く、かつ高温になることから、使用する鉄板厚が厚く、支持も強固なものとなる。従って、天井内の主ダクトの引き回しはできるだけ避けた方がいい。また、各排煙口での風量バランスを取るためには、竪ダクトの断面積をできるだけ大きく取り、そこから分岐ダクトを相対的に小さくする。
4 外気取り入れ口から送風機までの部分はダクト内が負圧になるために、煙がその周囲にあると吸引して給気空気が汚染されるおそれがある。引き込み部分はできるだけ短くし、汚染のおそれがないことを確認する。
まとめ
- 煙はプルーム、天井流、煙層の順に追う。
- 自然・機械排煙は排出、加圧防排煙は侵入抑制の側面で区別する。
- 風量・流動を一要因だけで断定しない。
次の導線
煙を閉じ込める空間の構成は、耐火・防火区画・階段で位置関係から確認します。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
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