学習範囲:実技(鑑別)|工具・テスター・絶縁抵抗計・接地抵抗計
実技(鑑別)|全6講義
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)ショップの消防設備士「過去問テスト」で毎年更新しています。
併せて、ご参照ください。
この講義で扱うのは、工具・測定器の外観から名称と用途を識別する方法です。電気の一般原理は電気基礎の無料講義、計測器と遮断機器の使い分けは「工事・整備①」、接地・絶縁抵抗の施工判定は「工事・整備③」で扱います。
電線管工事に使う工具
まず覚える5工具
| 工具 | 用途 | 写真で見る場所 |
|---|---|---|
| パイプベンダー | 金属管を曲げる | 管を受ける湾曲部、長い柄 |
| パイプカッター | 金属管を切断する | 円形刃、向かい側のローラー、締付ノブ |
| パイプバイス | 金属管を固定する | 管を挟む固定部 |
| ねじ切り器 | 金属管の外周にねじを切る | 交換式のチェーザ |
| リーマ | 金属管切断面内側のばりを取る | 円すい状の刃 |
一緒に出る工具・部品
- パイプレンチ:円柱状の管をつかんで回す
- ウォーターポンププライヤー:口幅を段階調整し、太い管・ナットをつかむ
- サドル:電線管を造営材へ固定
- 電線管用ブッシング:管端で電線の被覆を保護・絶縁
パイプカッターは、のこぎりのように前後させません。刃を管へ当て、円周方向へ回し、少しずつ締めて切り込みを深くします。
電線管は「曲げるベンダー → 切るカッター → 固定バイス → ねじ切り → ばり取りリーマ」。
配線工事に使う工具
被覆を取る・接続する・切る
| 工具 | 主な用途 | 識別部 |
|---|---|---|
| ワイヤーストリッパー | 絶縁電線の被覆をはぎ取る | 線径別の刃、または自動剥離機構 |
| 圧着ペンチ | スリーブ・端子を圧着して電線を接続 | ダイスの刻印、ラチェット |
| ペンチ | 銅線・針金を切る、曲げる、つかむ | 太い先端と刃 |
| ラジオペンチ | 細い線をつかむ、曲げる | 細長い先端 |
| ニッパー | 電線・細い針金を切る | 先端まである切断刃 |
| ボルトクリッパー | 線材・棒鋼を切断 | 長い柄と大きな刃 |
圧着ペンチは用途とダイスを見る
試験写真では、リングスリーブ用の黄色グリップ、圧着端子用の赤色グリップが識別の手掛かりになります。
ただし、色だけで最終判断しません。
- リングスリーブ用:ダイスに「○・小・中・大」等
- 絶縁被覆付圧着端子・スリーブ用:対応する電線サイズの数値等
- 裸圧着端子・裸圧着スリーブ用:端子サイズに対応する数値等
使用するスリーブ・端子と工具の適用範囲を必ず組み合わせます。

先端のダイスで端子やスリーブを圧着します。グリップ色だけで判断せず、ダイスの表示と対象端子を確認します。

刻印と圧着位置を拡大して見ます。実際に使用する端子・スリーブと工具の適用範囲を必ず一致させます。
配線工具は「被覆=ストリッパー、接続=圧着ペンチ、細工=ペンチ、切断=ニッパー」。
検電器・テスター・クランプメーター
検電器
検電器は、電圧の有無を検出します。
| 種類 | 検出方法・特徴 |
|---|---|
| 接触式 | 導体等へ検知部を接触させる |
| 非接触式 | 対応範囲内なら絶縁被覆の上から交流電圧を検出できるものがある |
「すべての検電器が被覆の上から検出できる」とは限りません。2024年度乙種実技問1の写真は電子式の機器ですが、鑑別では実物の方式・対応電圧・取扱説明書を確認します。
検電器は無電圧を保証する唯一の手段として扱わず、使用前後の動作確認と所定の安全手順が必要です。
回路計・テスター
回路計は、機種に応じて直流・交流電圧、直流電流、抵抗などを測定します。写真では次を見ます。
DCV:直流電圧ACV:交流電圧DCA:直流電流Ω:抵抗- COM・VΩ・A等の入力端子
クランプメーター
クランプメーターは、回路を切断せず、導体をクランプ部で挟んで電流を測定できます。
負荷電流を測るときは、往復2本を一緒に挟まず、測りたい導体1本を挟みます。漏れ電流を測る場合は、方式・目的に応じて往復導体をまとめて挟むため、問題文の「負荷電流」か「漏れ電流」かを確認します。

V・Ωの切替表示と2本のテストリードが識別点です。
検電=有無、回路計=V・A・Ω、クランプ=回路を切らず電流。
絶縁抵抗計を見分ける
絶縁抵抗計は、測定対象へ直流試験電圧を加え、電路と大地の間や線間の大きな絶縁抵抗を測ります。
写真の識別ポイント
- 表示単位が
MΩ LまたはLINE端子EまたはEARTH端子- 125V・250V・500V等の定格測定電圧表示
- 測定スイッチ・測定ボタン
ワニ口クリップや棒状プローブは補助的な特徴です。回路計にも付属する場合があるため、MΩと定格測定電圧で確定します。
LとEの基本
| 端子 | 表示 | 接続の基本 |
|---|---|---|
| 路線側 | L・LINE | 測定する電路側 |
| 接地側 | E・EARTH | 大地・接地端子側 |
リード線の色は機種で異なるため、「赤は必ずL」と色だけで暗記しません。
測定前に停電・無電圧を確認し、感知器・受信機・終端器等へ試験電圧を加えないよう必要な切離しを行います。測定後は回路の電荷を放電し、外した配線を確実に復旧します。

MΩ表示、測定電圧、LINE・EARTH端子を確認します。

3色の測定コードと2本の補助接地棒が大きな識別点です。
絶縁抵抗計=MΩ・直流試験電圧・LとE。
接地抵抗計を見分ける
接地抵抗計は、接地電極から大地へ電流が流れるときの接地抵抗を測ります。
3電極法の構成
- 接地抵抗計本体
- 被測定接地電極
- 2本の補助接地棒
- 3本の測定コード
従来の国内表示と現在の国際規格に合わせた表示を対比します。
| 電極 | 従来表示 | 現行機器で見られる表示 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 被測定接地電極 | E | E | 測りたい接地極 |
| 電位用補助接地極 | P | S(P) | 電位差を測る |
| 電流用補助接地極 | C | H(C) | 測定電流を流す |
接地抵抗計には、E、S(P)、H(C)と表示する機種があります。古い問題ではE・P・Cが多いため、両方読めるようにします。
標準的な配置では、被測定接地電極Eからほぼ一直線上に、補助接地極をおおむね10m間隔で設置します。現場条件・機種・測定方法により異なるため、使用機器の取扱説明書を優先します。
絶縁抵抗計との違い
| 比較 | 絶縁抵抗計 | 接地抵抗計 |
|---|---|---|
| 測るもの | 絶縁抵抗 | 接地電極の接地抵抗 |
| 主な単位 | MΩ | Ω |
| 主な端子 | L・E | E・S(P)・H(C) |
| 付属品 | 2本の測定リード等 | 3本コード・2本補助接地棒等 |
実物写真では、絶縁抵抗計のMΩ表示とL・E端子、接地抵抗計のE・S・H端子、3本コード、2本の補助接地棒を見分けます。
接地抵抗計=E・S(P)・H(C)、3本コード、2本の補助接地棒。
※よく出る引っかけポイント5つ
引っかけ①:パイプカッターは管を曲げる
曲げるのはパイプベンダー。パイプカッターは管を切断します。
引っかけ②:黄色い圧着ペンチなら何でも圧着できる
対象スリーブ・端子とダイス刻印を確認します。
引っかけ③:すべての検電器は被覆上から使える
非接触検出へ対応する機種があります。方式・対応電圧を確認します。
引っかけ④:絶縁抵抗計はワニ口クリップだけで判断
決め手はMΩ表示と定格測定電圧です。
引っかけ⑤:接地抵抗計の端子はE・P・Cだけ
現行機器ではE・S(P)・H(C)表記もあります。
写真鑑別は「形状 → 表示 → 付属品 → 用途」の4段階。
全部で10ポイント
- パイプベンダーは曲げる、パイプカッターは切る、リーマはばりを取る
- ワイヤーストリッパーは被覆をはぎ取る
- 圧着ペンチは対象端子とダイス刻印を確認する
- 検電器は電圧の有無を検出する
- 回路計は機種に応じV・A・Ωを測る
- クランプメーターは回路を切断せず電流を測れる
- 絶縁抵抗計はMΩ・直流試験電圧・L/Eで識別する
- 接地抵抗計はE・S(P)・H(C)、3本コード、2本補助接地棒で識別する
- リード色・工具色だけで断定しない
- 写真鑑別は形状・表示・付属品・用途の順で見る
ここからは、直前までに整理した「工具・テスター・絶縁抵抗計・接地抵抗計」の判断手順を、実際の過去問で確認します。
【過去問】工具・テスター・絶縁抵抗計・接地抵抗計
電流計(クランプ式)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1. 単相2線式で負荷電流を測定する場合には、接地側電線と非接地側電線の2本の電線を一緒に挟みこんで測定する。
2. 電線を挟み込むことで、電気回路を開くことなく、通電状態のまま電流を測定することができる。
3. 測定できる電流によって、交流用・直流用・交流直流両用のものがある。
4. 電線に流れる電流による磁界を測ることで電流が測定できる。
まとめ
工具・測定器は、外観の識別点、名称、用途、測定単位を対応させます。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。
次は【過去問】感知器・空気管部品の名称と構造|消防設備士甲4・乙4【実技(鑑別)②】へ進みます。
