【過去問】電気に関する基礎的知識⑭:三相誘導電動機の同期速度と滑り

強欲な青木
消防設備士の免許取りたいんやけど電気に関する基礎的知識が全然分からへん!
おすすめの勉強方法って何かない?
おすすめ勉強方法はズバリ過去問を攻略しておくこと!
特に消防設備士は過去問が公開されてない分、情報を集められたらそのまんま出るから全部ここで教えるわな!
管理人
強欲な青木
強欲な感謝♪
特に私 "電気" は電験三種まで(※合格率8.0%の難しい時代に)取ったんで皆さんのお役に立てればと!
管理人

本記事の信頼性

この記事をみれば消防設備士試験に出てくる電気に関する基礎的知識の "三相誘導電動機の同期速度と滑り" がサービス問題になるはず!

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👆併せて、ご参照ください。

この記事では、消防設備士試験の「電気に関する基礎的知識」の最後のテーマ、三相誘導電動機を解説します。

キーワードは 三相誘導電動機、同期速度、極数、滑り、回転方向 の5つです。ここは覚える公式が Ns=120f/Ps=(Ns-N)/Ns のたった2本しかなく、しかも出題パターンもほぼ固定されています。電気の分野の中ではいちばん少ない労力で確実に1点取れるところなので、必ず仕上げてから試験に臨んでください。

そして忘れてはいけないのが、スプリンクラー設備や屋内消火栓設備の消火ポンプを回しているのが、まさにこの三相誘導電動機だということです。試験に出るから覚えるのではなく、消防設備士が実際に触る機械の話だと思って読み進めてください。

 

三相誘導電動機の基本

三相誘導電動機とは、三相交流を流すことで回転磁界をつくり、その回転磁界で回転子を引きずって回すモーターのことです。構造が簡単で丈夫、しかも安価なため、工場の機械から消防用の消火ポンプまで、動力用モーターの主役になっています。

中身は大きく2つの部品でできています。外側で動かない固定子(ステータ)と、内側で回る回転子(ロータ)です。固定子には三相の巻線が巻いてあり、ここに三相交流を流すと、磁界の N極・S極がぐるぐる回り出します。これが回転磁界です。

この回転磁界の中に回転子を置くと、回転子の導体(バー)に電磁誘導によって電流が流れ、その電流と磁界のあいだにフレミングの左手の法則の力(電磁力)が働いて、回転子が回転磁界を追いかけるように回り出します。回転子には電源をつないでいないのに電流が流れる——この「誘導」が名前の由来です。

押さえるのはこれだけ

・三相交流を固定子巻線に流す → 回転磁界ができる

・回転磁界が回転子を横切る → 回転子に誘導電流が流れる

・誘導電流と磁界の間に力が働く → 回転子が回る

ここで大事なのは、順番が「磁界が先に回って、回転子が後から追いかける」という点です。この「追いかける」という関係が、あとで出てくる滑りの話に直結します。追いかける側が絶対に追いつけない、というのが誘導電動機の宿命なのです。

このモーター、消火ポンプの心臓部やで。試験のためだけの知識ちゃう。現場でポンプが逆回転しとって水が出ぇへん、なんてトラブルの原因もこの記事の中に出てくるからな。しっかり読んどきや。
管理人

 

かご形と巻線形

 

2つの回転子の特徴

三相誘導電動機は、回転子の構造によって2種類に分かれます。試験では「かご形が主流」という点さえ押さえれば十分です。

①かご形(主流はこっち)

回転子鉄心のまわりに太い導線(バー)をかご形に配置しただけの、きわめて簡単な構造です。両端を短絡環でつないだ形が、鳥かごやハムスターの回し車に似ているのでこの名前があります。

特徴は構造が簡単・頑丈・安価・保守が楽。ブラシやスリップリングのような消耗部品がないため、ほとんど手入れがいりません。消防用の消火ポンプに使われているのは、ほぼこのかご形です。

②巻線形

回転子側にも三相の巻線を巻き、スリップリングとブラシを通して外部の抵抗器につなげる構造です。

外部抵抗を加減することで始動トルクを大きくしたり、始動電流を抑えたりと、始動特性を調整できるのが利点です。そのぶん構造が複雑で高価、ブラシの保守も必要になります。

③どちらを選ぶか

始動時にとくべつな調整が要らない一般用途はかご形。重い負荷をゆっくり立ち上げたい特殊用途は巻線形。試験では「最もポピュラーなのはかご形」と覚えておけば正解できます。

なお、かご形も巻線形も固定子側のしくみは同じです。三相交流で回転磁界をつくるところは共通で、違うのは回転子だけ。したがって、このあと出てくる同期速度の公式はかご形でも巻線形でもまったく同じものが使えます。

 

公式①:同期速度 Ns=120f/P

この1本が最重要

Ns = 120f / P 〔min⁻¹〕

Ns:同期速度(回転磁界の回転速度)〔min⁻¹〕=〔r/min〕=〔rpm〕
f:電源の周波数〔Hz〕
P:固定子巻線の極数

同期速度とは、回転磁界そのものが回る速さのことです。回転子の速さではありません。ここを取り違えると、次の「滑り」で必ず混乱します。

極数 P とは、回転磁界をつくったときに生じる N極とS極の合計数です。N極1つとS極1つで極数2、N極2つとS極2つで極数4。極は必ずN・Sのペアでできるので、極数は必ず偶数(2、4、6、8…)になります。

そして、そのペアの数を極対数 p といいます。6極なら極対数は3。式で書くと P = 2p です。この関係を公式に代入すると、もうひとつの形が出てきます。

極対数で書いた形

Ns = 120f/P = 120f/2p = 60f/p 〔min⁻¹〕

分子が 極数なら120、極対数なら60。この使い分けがそのまま過去問になっています。

 

計算例:代表的な同期速度を出す

【例題】4極の三相誘導電動機を、周波数60Hzで使用するときの同期速度を求めなさい。また、同じ電動機を50Hzで使った場合はどうなるか。

①公式に数値をあてはめる(60Hz)

f=60〔Hz〕、P=4 なので、

Ns = 120f/P = (120 × 60) / 4 = 7200 / 4 = 1800〔min⁻¹〕

②同じ電動機を50Hzで使う

f=50〔Hz〕、P=4 なので、

Ns = (120 × 50) / 4 = 6000 / 4 = 1500〔min⁻¹〕

③極対数の式でも確かめる

4極なので極対数 p = 4 ÷ 2 = 2。

Ns = 60f/p = (60 × 60) / 2 = 3600 / 2 = 1800〔min⁻¹〕(60Hz)

【検算】①と③がどちらも1800で一致しました。さらに周波数の比でも確かめられます。50Hzのときが1500で、60Hzは 1500 × (60/50) = 1500 × 1.2 = 1800。ぴったり合います。Ns は f に正比例するので、この比の検算はいつでも使えます。

試験でよく出る組み合わせは、暗記してしまうのがいちばん速いです。

覚えておくと速い代表値

・2極・60Hz → 3600〔min⁻¹〕 / 2極・50Hz → 3000〔min⁻¹〕

・4極・60Hz → 1800〔min⁻¹〕 / 4極・50Hz → 1500〔min⁻¹〕

・6極・60Hz → 1200〔min⁻¹〕 / 6極・50Hz → 1000〔min⁻¹〕

極数が2倍になれば速度は半分、周波数が1.2倍になれば速度も1.2倍。極数に反比例、周波数に比例です。

 

使うときの注意点

注意1:120 と 60 を取り違える
分子の数字は「極数 P なら120、極対数 p なら60」です。6極(=極対数3)の60Hz を、うっかり 120×60÷3 = 2400 としてしまうのが典型的なミス。正しくは 120×60÷6 = 1200 です。問題文に「極対数」と書いてあるかどうかを、必ず先に確認してください。

注意2:同期速度=回転子の速度ではない
Ns=120f/P で求まるのは回転磁界の速度です。実際の回転子はこれより必ず遅く回ります。問題が「同期速度」を聞いているのか「実際の回転速度」を聞いているのかで、答えは変わります。

注意3:極数は偶数しかない
N極とS極は必ずペアで生じるので、極数が3や5になることはありません。計算の途中で奇数が出てきたら、どこかで極数と極対数を混同しています。

注意4:単位の書き方はいろいろある
〔min⁻¹〕〔r/min〕〔rpm〕はすべて同じ「1分あたりの回転数」です。問題文で表記が違っていても、まったく同じものだと思ってください。


 

公式②:滑り s と実際の回転速度 N

回転子は、回転磁界を追いかけて回ります。しかしここで重要な事実があります。回転子は絶対に回転磁界に追いつけないのです。

理由を考えてみましょう。もし回転子が回転磁界と同じ速さになったら、回転子から見て磁界は止まって見えます。磁界が動かなければ電磁誘導が起こらず、誘導電流が流れません。電流が流れなければ力も生まれず、回転子は減速します。すると再び磁界との速度差が生まれ、また電流が流れて力が出る——という具合に、つねに少し遅れた状態でつり合うのです。

この「遅れ具合」を割合で表したものが滑り s です。

滑りの公式

s = (Ns - N) / Ns

Ns:同期速度〔min⁻¹〕 N:回転子の実際の回転速度〔min⁻¹〕

これを N について解くと、

N = Ns (1 - s) 〔min⁻¹〕

全負荷時の滑りの目安は、小容量のもので5~10%、中容量以上で2.5~5%程度です。

滑りは分子・分母とも同じ単位なので、無次元(単位なし)です。0.04 のような小数で書くこともあれば、4%のように百分率で書くこともあります。公式に代入するときは必ず小数に直すのを忘れないでください。

ちなみに、起動した瞬間は N=0 なので s=1(100%)、理論上の無負荷で追いついたとすれば s=0 になります。実運転中の滑りは 0 と 1 のあいだ、しかも 0 に近い小さな値——このイメージを持っておくと、答えの妥当性チェックに使えます。

 

計算例:滑りから実際の回転速度を出す

【例題】4極の三相誘導電動機を周波数60Hzで運転したところ、滑りが4%であった。回転子の実際の回転速度を求めなさい。

①まず同期速度を求める

滑りの計算は必ず同期速度から始まります。

Ns = 120f/P = (120 × 60) / 4 = 1800〔min⁻¹〕

②滑りを小数に直す

4% = 4 ÷ 100 = 0.04

③実際の回転速度を求める

N = Ns (1 - s) = 1800 × (1 - 0.04) = 1800 × 0.96 = 1728〔min⁻¹〕

【検算】出した N を滑りの定義式に戻します。s = (1800 - 1728) / 1800 = 72 / 1800 = 0.04 = 4%。与えられた条件と一致しました。また、答えが同期速度1800より少しだけ小さい値になっていることも確認してください。もし1800を超えたら、その時点で計算ミスです。

 

計算例:実際の回転速度から滑りを出す

【例題】6極の三相誘導電動機を周波数50Hzで運転したところ、回転子は960〔min⁻¹〕で回転した。このときの滑りは何%か。

①同期速度を求める

Ns = (120 × 50) / 6 = 6000 / 6 = 1000〔min⁻¹〕

②定義式に代入する

s = (Ns - N) / Ns = (1000 - 960) / 1000 = 40 / 1000 = 0.04

③百分率に直す

0.04 × 100 = 4%

【検算】N=Ns(1-s) に戻すと 1000 × (1-0.04) = 1000 × 0.96 = 960〔min⁻¹〕。問題の条件どおりです。滑り4%という値も、全負荷時の目安(2.5~10%)の範囲に収まっており妥当だと確認できます。

強欲な青木
滑りの問題でいちばん多いミスが、同期速度を出さずにいきなり滑りの式に飛びつくことや。分母の Ns は必ず 120f/P で出した数字やで。問題文に書いてある回転数を分母に入れてしもたら、もう終わりや。順番は「①Ns → ②s → ③N」。これだけは体で覚えとき。

 

応用:回転方向の変更と始動法

ここからは、計算ではなく知識として問われる部分です。とくに回転方向の変更は、この単元でいちばんの頻出ポイントです。

三相誘導電動機の回転方向は、電源の相回転の向き(R→S→T の順に電圧のピークが回ってくる順番)で決まります。ということは、この順番をひっくり返せば回転磁界の向きも逆になり、モーターも逆回転するわけです。

これが最頻出

三相誘導電動機を逆回転させるには、電源3本のうち、任意の2本を入れ換える

ただし、3本すべてを入れ換えた場合は、相回転の順番が元に戻るので正回転のまま変わらない。ここが最大のひっかけ。

なぜ2本なのかは、R→S→T という順番を紙に書いて確かめると一発で分かります。たとえば R と S を入れ換えると S→R→T となり、順番の巡り方が逆向きになります。ところが3本すべてを入れ換えて S→T→R のようにすると、巡る順番自体は R→S→T のままで、スタート地点がずれただけなので、回転方向は変わりません。

なお、電動機の回転方向の標準は、負荷と連結される反対側から見て時計方向と決められています。消火ポンプの試運転で「羽根車が逆に回っていて水が出ない」というのは現場でも実際にある話で、そのときの対処がまさに端子の2本入れ換えです。

三相誘導電動機の始動法

全電圧始動(じか入れ始動)……定格電圧をそのまま加える。小容量のものに使用。始動電流が定格の5~7倍にもなるため、大容量では使えない。

スターデルタ(Y-Δ)始動……始動時はY結線、加速後にΔ結線へ切り換える。始動電流を全電圧始動の 1/3 に抑えられる。中容量の標準的な方法。

始動補償器法……単巻変圧器で電圧を下げて始動し、加速後に全電圧にする。大容量向け。

始動法がなぜ必要かというと、始動の瞬間は滑り s=1、つまり回転子が止まっている状態だからです。回転子が止まっていると誘導電流が最大になり、大きな始動電流が流れて電源電圧を一時的に下げてしまいます。それを避けるために、始動時だけ電圧を落とす工夫をするわけです。

 

逆回転させる手順

step
1
電源を確実に遮断する

作業の前に、まず開閉器を切って検電器で無電圧を確認します。三相の動力回路は感電すれば命に関わります。ここを飛ばしてはいけません。

step
電動機の端子 U・V・W と電源 R・S・T の対応を記録する

現状が R-U、S-V、T-W でつながっていることを、写真かメモで必ず残してから外します。戻せなくなるのがいちばん困ります。

step
任意の2本だけを入れ換える

たとえば R と S を入れ換えて、R-V、S-U、T-W とします。入れ換えるのは2本だけ。3本目(この例ではT-W)は触りません。

step
短時間だけ通電して回転方向を確認する

締め付けを確認したうえで通電し、負荷と反対側から見た回転方向を目で確かめます。ポンプの場合は、逆回転のまま長時間運転しないよう寸動(ちょい回し)で確認するのが基本です。

 

計算例:50Hz用の電動機を60Hzで使うと

【例題】50Hz地域で使用していた4極の三相誘導電動機を、同じ電圧の60Hz地域へ移設した。同期速度はどう変わるか。

①移設前(50Hz)の同期速度

Ns = (120 × 50) / 4 = 1500〔min⁻¹〕

②移設後(60Hz)の同期速度

Ns = (120 × 60) / 4 = 1800〔min⁻¹〕

③変化の割合を出す

1800 ÷ 1500 = 1.2倍。同期速度は速くなる

【検算】公式 Ns=120f/P で、極数 P は電動機の構造で決まる値なので移設しても変わりません。変わるのは f だけなので、速度の比はそのまま周波数の比 60/50 = 1.2。1500 × 1.2 = 1800 となり、②の結果と一致しました。

なお、日本は東日本が50Hz、西日本が60Hzです。同じモーターでも西日本のほうが2割速く回る——これがそのまま試験問題になっています。

 

🔰試験問題を解くときの手順

迷ったらこの順番

① 問われているのが同期速度 Ns実際の回転速度 N かを最初に確認する

② 問題文の数字が極数 P極対数 p かを確認する(120か60かはここで決まる)

③ 何はともあれ Ns = 120f/P を計算する(滑りの問題でも必ず先にこれ)

④ 滑りが絡むなら N = Ns(1-s)。%は必ず小数に直してから代入する

⑤ 答えが N < Ns になっているか確認する(逆なら計算ミス)

この5項目のうち、①と②だけでこの単元の失点の大半を防げます。計算そのものは掛け算と割り算1回ずつしかないので、間違えるとしたら「何を聞かれているか」と「どの数字が与えられているか」の読み違いだけなのです。

知識問題(回転方向・かご形と巻線形・始動法)については、押さえるのは実質3つだけです。逆回転は2本入れ換え(3本ではダメ)主流はかご形Y-Δ始動で始動電流1/3。この3点セットで、知識問題はほぼ守り切れます。

この単元、公式2本と知識3つで終わりや。電気の分野でここまでコスパのええとこは他にないで。過去問も毎回ほぼ同じパターンやから、下の2問を完璧にしといたら本番でもそのまま出る可能性が高いわ。
管理人

強欲な青木
最後にもう一回だけ言うとくで。「3本入れ換えたら逆回転する」は誤りや。2本や。2本。ここだけは寝ぼけとっても間違わんようにしといてな。お疲れさん、これで電気の分野は全部終わりや。

 

【過去問】電気に関する基礎的知識⑭:三相誘導電動機の同期速度と滑り

三相誘導電動機の回転数 Ns〔rpm〕、極対数 p〔極数 P=2p〕、周波数 f〔Hz〕の関係を表す式として、正しいものは次のうちどれか。

  1. Ns = 30f/p
  2. Ns = 50f/p
  3. Ns = 60f/p
  4. Ns = 100f/p

50Hz用の三相誘導電動機に60Hzの同電圧の三相交流電流を供給した場合の同期速度について、正しいものは次のうちどれか。

  1. 同期速度は、速くなる。
  2. 同期速度は、遅くなる。
  3. 同期速度は、時間と共に変動する。
  4. 同期速度は、変わらない。
もし、まだ自信がないのであれば繰り返し「過去問テスト」等を使って類題を解くことをオススメします!
管理人

消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。

ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

\そのまま試験に出ます/

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上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。


それでは続いて国家資格「消防設備士」試験の ❝電気に関する基礎的知識❞ に出題される過去問をみていきましょう。