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【過去問】消火設備とは?第1種〜第5種と所要単位を解説|危険物取扱者乙4

A出題ランク:ほぼ毎回出るAランク(重要)

第1章「危険物に関する法令」の全40項目のなかで、過去問14問最多タイの出題数を誇るのがこの「消火設備と設置基準」です。法令15問中で1問、多いときは2問がここから出ます。しかも聞かれ方が「第1種〜第5種の区分」「所要単位の計算」「第5種だけでよい施設」の3パターンにほぼ固定されていて、覚えれば確実に取れるタイプの単元です。落とすと純粋にもったいない。

なお、ここは法令科目の話です。物理・化学科目でやる「消火剤の種類(水・泡・粉末・ハロゲン化物…)」とは別単元で、この項目で問われるのは「どの施設に、どの種類の消火設備を、どれだけ設置しなければならないか」という設置基準です。似た用語が出てくるので、頭のなかで引き出しを分けておきましょう。

強欲な青木

先生、消火設備って物理・化学のところでやったっすよね? 泡とか粉末とか。あれもう1回やるんすか、めんどくさいっす。

消防設備士

いいえ、別物です。物理・化学でやったのは「消火剤」、つまり何をかけたら火が消えるかという話。今回やるのは法令の「消火設備」、つまりどの施設にどの設備を何個つけるかという設置基準の話です。試験でも別々に出ます。

強欲な青木

えー、じゃあ第1種とか第5種とかっていう番号は何なんすか? 1種がいちばんエラいんすか?

消防設備士

エラいというより、大がかりな順と思ってください。第1種が屋内・屋外消火栓設備、第2種がスプリンクラー、第3種が水噴霧や泡・粉末などの固定設備、第4種が大型消火器、第5種が小型消火器や乾燥砂です。番号が大きくなるほど手軽になります。ここを覚えるだけで過去問14問のうち6問が取れます。

強欲な青木

6問!? それはうまい話っすね。じゃあ全部の施設に第1種からフルセットで入れとけば安全じゃないっすか?

消防設備士

気持ちはわかりますが、法令は「消火の困難さに応じて必要なぶんだけ」という考え方です。危険物の量が少なくて構造も単純な施設に消火栓を義務づけても、費用ばかりかかって意味がない。だから著しく消火が困難/消火が困難/その他の3段階に分けて、必要な設備を決めています。

強欲な青木

なるほど、ケチってるんじゃなくて釣り合いを取ってるってことっすか。ちょっと納得したっす。

目次

💪実力試し(3問)

問題1

法令上、次の文の( )内に当てはまる数値はどれか。

「製造所等に設ける消火設備の所要単位の計算方法は、危険物に対しては指定数量の( )倍を1所要単位とする。」

  1. 10
  2. 50
  3. 100
解答と解説を見る

正解:2

危険物の所要単位は指定数量の10倍で1所要単位です。「100倍」という選択肢が必ず紛れ込みますが、100倍は著しく消火が困難な製造所等の判定に使う数値であって、所要単位ではありません。数字の役割を混同させるのが定番の引っかけです。

問題2

法令上、製造所等に設置する消火設備の区分について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 屋内消火栓設備は、第1種の消火設備に該当する。
  2. 粉末消火設備は、第2種の消火設備である。
  3. 乾燥砂は、第5種の消火設備に該当する。
  4. 電気設備に対する消火設備は、電気設備のある場所の面積100m²ごとに1個以上設けなければならない。
解答と解説を見る

正解:2

粉末消火設備は第3種の消火設備です。第2種はスプリンクラー設備のみ。第2種の枠にスプリンクラー以外を入れてくる問題は、公論の過去問だけでも3回登場しています。「第2種=スプリンクラーただ1つ」と丸暗記してください。

問題3

法令上、その規模や貯蔵・取扱う危険物の品名、最大数量等にかかわらず、第5種の消火設備のみを設ければよい製造所等は、次のうちどれか。

  1. 製造所
  2. 屋内貯蔵所
  3. 屋外タンク貯蔵所
  4. 地下タンク貯蔵所
解答と解説を見る

正解:4

規模や数量に関係なく第5種のみでよいのは、地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・第一種販売取扱所の4つだけです。ただし地下タンク貯蔵所は第5種を2個以上という上乗せがあります。製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所は、延べ面積や指定数量の倍数によって第4種以上が必要になる場合があります。

🔰基礎教養学習

1. 消火設備の第1種〜第5種の区分

1. 消火設備の第1種〜第5種の区分

消火設備は、消火能力の大きさなどにより第1種から第5種までの5つに区分されます。まずこの表を丸ごと頭に入れてください。ここが全体の土台です。

区分 消火設備
第1種 屋内消火栓設備/屋外消火栓設備
第2種 スプリンクラー設備
第3種 水蒸気消火設備/水噴霧消火設備/泡消火設備/不活性ガス消火設備/ハロゲン化物消火設備/粉末消火設備
第4種 大型消火器
第5種 小型消火器/乾燥砂/膨張ひる石/膨張真珠岩/水バケツ/水槽

覚え方のコツは3つです。

  • 第2種はスプリンクラーただ1つ。ほかは絶対に入りません。
  • 第3種は6種類あって数がいちばん多い。「水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末」。つまり「◯◯消火設備」と名のつくものはだいたい第3種です。
  • 第4種=大型消火器、第5種=小型消火器。大きいほうが若い番号。
消火設備 第1種〜第5種の区分ピラミッド
図解:消火設備 第1種〜第5種の区分ピラミッド

なお、「エアゾール式簡易消火具」は消火設備に含まれません。消火器とは別の技術上の規格が定められているためです。市販のスプレー缶タイプを思い浮かべてください。あれは法令上の消火設備としてはカウントされません。

強欲な青木

第3種、6個もあるじゃないっすか。覚えらんないっす。

消防設備士

逆です。第1種・第2種・第4種・第5種を先に覚えれば、残りは全部第3種。消火栓とスプリンクラーと消火器(大型・小型)と簡易な用具を除いたら、あとは第3種しかありません。過去問も「泡消火設備は第2種である(誤り)」「ハロゲン化物消火設備は第2種である(誤り)」という形でしか聞いてきません。

2. 所要単位と能力単位

ここが計算問題の出どころです。定義を正確に押さえます。

  • 所要単位とは、製造所等に対して、どのくらいの消火能力を有する消火設備が必要なのかを定める単位をいう。
  • 能力単位とは、所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位をいう。

ざっくり言えば、所要単位=施設側が要求する量能力単位=設備側が提供できる量です。所要単位に見合う能力単位の設備を置く、という関係になります。

所要単位は、建築物その他の工作物の規模または危険物の量から算出します。

対象 構造 1所要単位あたり
製造所・取扱所の建築物 外壁が耐火構造 延べ面積100m²
製造所・取扱所の建築物 外壁が耐火構造でない(不燃材料) 延べ面積50m²
貯蔵所の建築物 外壁が耐火構造 延べ面積150m²
貯蔵所の建築物 外壁が耐火構造でない(不燃材料) 延べ面積75m²
危険物 指定数量の10倍

屋外にある製造所等については、外壁を耐火構造とし、水平最大面積を建坪とする建物とみなして算定します。

数字の並びは 100/50/150/75 です。貯蔵所は製造所・取扱所の1.5倍耐火構造でないものは耐火構造の半分、と2段階で覚えると混乱しません。

所要単位の早見マトリクス
図解:所要単位の早見マトリクス

計算例(公論の例題)

耐火構造で造られた製造所(延べ面積300m²)で、ガソリン2,000Lを貯蔵し、または取り扱う場合

  1. 危険物の所要単位:ガソリンの指定数量は200Lなので、倍数は 2,000L ÷ 200L = 10。指定数量の10倍で1所要単位だから →
  2. 建築物の所要単位:耐火構造の製造所なので100m²で1所要単位。300m² ÷ 100m² =
  3. 合計:1 + 3 = 4所要単位

危険物ぶんと建築物ぶんを別々に計算して足す、というのが手順のすべてです。片方だけ計算して終わりにしないこと。

電気設備に対する消火設備

電気設備に対する消火設備は、電気設備のある場所の面積100m²ごとに1個以上設けます。これは所要単位とは別ルールの、独立した数値です。「電気設備=100m²ごとに1個以上」とセットで暗記してください。過去問では正しい選択肢としてそのまま出てくることが多く、覚えていれば選択肢を1つ確実に消せます。

強欲な青木

所要単位と能力単位、名前が似すぎっす。どっちがどっちかすぐ忘れるっす。

消防設備士

所要」は「る」と書きます。施設側が「これだけ要る」と言っている数。「能力」は設備の能力です。要求が所要単位、供給が能力単位。試験では所要単位のほうが圧倒的によく出ます。

3. 消火の困難性による3区分

消火設備は、製造所等の規模・形態・危険物の種類・指定数量の倍数などから、その施設の消火の困難性に応じて設置します。政令第20条第1項の1号・2号・3号で、次の3区分が定められています。

区分 第1種 第2種 第3種 第4種 第5種
① 著しく消火が困難な製造所等 ← 第1種・第2種・第3種のうちどれか1つを設置 → 必ず設置 必ず設置
② 消火が困難な製造所等 必ず設置 必ず設置
③ その他の製造所等(①②以外) 必ず設置

この表の読み方はシンプルです。

  • どの区分でも第5種は必ず必要。第5種は全施設共通の最低ラインです。
  • 第4種が加わるのが「消火が困難」以上
  • 第1〜3種のどれかが加わるのが「著しく消火が困難」だけ
消火の困難性3区分と必要な消火設備
図解:消火の困難性3区分と必要な消火設備

① 著しく消火が困難な製造所等(主なもの)

製造所等の別 設置対象
製造所・一般取扱所 ①高引火点危険物(引火点100℃以上)のみを100℃未満の温度で取り扱うもの → 延べ面積1,000m²以上<br>②その他のもの → ア.指定数量の100倍以上/イ.延べ面積1,000m²以上 ほか
屋内貯蔵所 ①指定数量の150倍以上(高引火点危険物のみのものを除く)/②貯蔵倉庫の延べ面積が150m²を超えるもの/③軒高6m以上の平屋建のもの ほか
屋外タンク貯蔵所<br>屋内タンク貯蔵所 液体の危険物(第6類を除く)を貯蔵・取り扱うもので、ア.液表面積40m²以上/イ.高さ6m以上 ほか
屋外貯蔵所 ①塊状の硫黄のみを地盤面の囲いの内側で貯蔵・取扱い、囲いの内部の面積が100m²以上/②引火性固体(引火点21℃未満に限る)または第4類のうち第1石油類もしくはアルコール類で、指定数量の100倍以上
移送取扱所 全部
給油取扱所 ①一方開放型上階付き屋内給油取扱所/②セルフ給油所(引火点40℃未満の危険物を取り扱うもの)

② 消火が困難な製造所等(主なもの)

製造所等の別 設置対象
製造所・一般取扱所 ①の対象以外で、①高引火点危険物のみを100℃未満で取り扱うもの → 延べ面積600m²以上<br>②その他のもの → ア.指定数量の10倍以上/イ.延べ面積600m²以上 ほか
屋内貯蔵所 ①の対象以外で、次のもの<br>・特例を受ける指定数量の倍数が50倍以下の屋内貯蔵所(特定屋内貯蔵所)で、指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱うもの<br>・その他のもの → ア.指定数量の10倍以上のもの(高引火点危険物のみのものを除く)/イ.貯蔵倉庫の延べ面積が150m²を超えるもの ほか
屋外タンク貯蔵所<br>屋内タンク貯蔵所 ①の対象以外のもの(高引火点危険物のみを100℃未満で貯蔵・取り扱うもの、および第6類のみを貯蔵・取り扱うものを除く)
屋外貯蔵所 ①塊状の硫黄のみで囲いの内部の面積が5m²以上100m²未満/②引火性固体(21℃未満に限る)または第1石油類もしくはアルコール類で、指定数量の10倍以上100倍未満 ほか
給油取扱所 ①屋内給油取扱所のうち①の対象以外のもの/②メタノールまたはエタノールを取り扱う給油取扱所(屋内給油取扱所を除く)
第二種販売取扱所 全部

数字が多く見えますが、試験でよく問われるのは製造所・一般取扱所の「100倍以上/1,000m²以上」=著しく困難、「10倍以上/600m²以上」=困難という対比です。まずここだけ確実にしてください。

4. 消火設備と適応する危険物の火災

消火設備には、適応する火災としない火災があります。これも法令科目の出題範囲で、政令別表第5に基づく対応表が問われます。乙4で必要なのは、建築物その他の工作物・電気設備・第4類・第5類・第6類の5列です。

第1種・第2種の消火設備

消火設備 建築物その他の工作物 電気設備 第4類 第5類 第6類
第1種(屋内・屋外消火栓設備) × ×
第2種(スプリンクラー設備) × ×

水をそのままかける設備なので、第4類(油)には適応しません。ここは大原則です。

第3種の消火設備

消火設備 建築物その他の工作物 電気設備 第4類 第5類 第6類
水蒸気消火設備・水噴霧消火設備
泡消火設備 ×
不活性ガス消火設備 × × ×
ハロゲン化物消火設備 × × ×
粉末消火設備(りん酸塩類等) ×
粉末消火設備(炭酸水素塩類等) × × ×
粉末消火設備(その他のもの) × × × × ×

注目点は2つ。

  • 水蒸気・水噴霧消火設備は5列すべて○という優等生。第4類にも電気設備にも効きます。
  • 泡消火設備は電気設備に×。泡は水を含むため感電の危険があるからです。

第4種・第5種の消火設備(大型・小型消火器)

消火器 建築物その他の工作物 電気設備 第4類 第5類 第6類
水消火器(棒状 × ×
水消火器(霧状 ×
強化液消火器(棒状 × ×
強化液消火器(霧状
泡消火器 ×
二酸化炭素消火器 × × ×
ハロゲン化物消火器 × × ×
粉末消火器(りん酸塩類等) ×
粉末消火器(炭酸水素塩類等) × × ×
粉末消火器(その他のもの) × × × × ×

第5種のうち簡易な消火用具

用具 建築物その他の工作物 電気設備 第4類 第5類 第6類
水バケツ・水槽 × ×
乾燥砂 × ×
膨張ひる石・膨張真珠岩 × ×

乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩は、第1類から第6類までのすべての危険物の火災に適応します。これは試験で繰り返し問われる超重要ポイントです。ただし建築物や電気設備には適応しない点に注意。

第4類火災に効く消火設備/効かない消火設備
図解:第4類火災に効く消火設備/効かない消火設備
強欲な青木

水の霧状は第4類に×なのに、強化液の霧状は○なんすか? 同じ霧じゃないっすか。

消防設備士

いい着眼点です。強化液は炭酸カリウムなどを溶かした水溶液で、霧状にすると油の表面に膜をつくって再着火を抑える働きがあります。ただの水にはその働きがありません。「水は棒状も霧状も第4類は×、強化液は霧状だけ○」と対で覚えてください。

強欲な青木

じゃあ泡は第4類に○なのに電気設備に×なの、なんでっすか?

消防設備士

泡は水分を含みますから、電気設備にかけると感電の危険があります。だから適応しない。原理から考えると表が丸暗記でなくなります。

5. 施設別の設置の考え方

第5種のみでよい施設

製造所等の面積や指定数量の倍数に関わらず、第5種の消火設備のみを設置すればよい施設は次の4つです。

製造所等の別 設置する消火設備
地下タンク貯蔵所 第5種の消火設備を2個以上
移動タンク貯蔵所 自動車用消火器で、次のいずれかを2個以上<br>・霧状の強化液消火器(充填量8L以上)<br>・二酸化炭素消火器(充填量3.2kg以上)<br>・粉末消火器(充填量3.5kg以上
簡易タンク貯蔵所 第5種の消火設備
第一種販売取扱所 第5種の消火設備

「地下・移動・簡易・第一種販売」の4つ。これは語呂でも何でも使って必ず覚えてください。設置基準の問題の半分はここで決着します。逆に、第二種販売取扱所は「消火が困難」に該当して全部が第4種+第5種なので、「第一種はOK、第二種はダメ」の対比が定番の引っかけです。

第5種の能力単位を減らせる特例

製造所・一般取扱所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・給油取扱所のうち、「著しく消火が困難」「消火が困難」のいずれにも該当しないもの(=その他の製造所等)は第5種の消火設備を設置しますが、このとき——

第1種、第2種、第3種または第4種の消火設備が設置されている場合、その有効範囲部分の第5種消火設備の能力単位を5分の1まで減ずることができる。

大きい設備でカバーされている範囲は、小型消火器を減らしてよい、という合理的な規定です。「5分の1」という数値を押さえておきましょう。

設置場所の距離基準

区分 距離基準
第1種・屋内消火栓設備 建築物の各階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離25m以下
第1種・屋外消火栓設備 防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離40m以下
第2種・スプリンクラー設備 防護対象物の各部分から一のスプリンクラーヘッドまでの水平距離1.7m以下
第3種・泡消火設備(移動式・屋内) 泡消火栓は各階ごとに水平距離25m以下
第3種・泡消火設備(移動式・屋外) 泡消火栓は水平距離40m以下
第3種・不活性ガス等(移動式) ホース接続口までの水平距離15m以下
第4種・大型消火器 防護対象物の各部分から一の消火設備に至る歩行距離30m以下
第5種(下記以外の製造所等) 防護対象物の各部分から一の消火設備に至る歩行距離20m以下
第5種(地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・給油取扱所・販売取扱所) 有効に消火することができる位置に設置

ポイントは、第1種〜第3種は「水平距離」、第4種・第5種は「歩行距離」という使い分けです。固定配管の設備は直線距離、人が持って走る消火器は実際に歩く距離、という理屈です。第4種30m/第5種20mの対比も頻出です。

なお「防護対象物」とは、当該消火設備によって消火すべき製造所等の建築物、その他の工作物および危険物をいいます。

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(4択)

法令上、製造所等に設置する消火設備の区分について、次のうち第3種の消火設備に該当しないものはどれか。

  1. 水噴霧消火設備
  2. 粉末消火設備
  3. 不活性ガス消火設備
  4. 屋内消火栓設備
解答と解説を見る

正解:4

屋内消火栓設備は第1種です。水噴霧・粉末・不活性ガスはいずれも第3種。「第3種でないものを選べ」という問い方の場合、答えはたいてい消火栓かスプリンクラーか消火器です。

チェック2(○✕)

次の記述の正誤を答えなさい。

「泡消火設備は、第4類危険物の火災にも電気設備の火災にも適応する。」

解答と解説を見る

正解:✕

泡消火設備は第4類危険物の火災には適応するが、電気設備の火災には適応しない。泡は水分を含み、感電の危険があるためです。電気設備に適応する第3種は、水蒸気・水噴霧・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末(りん酸塩類等/炭酸水素塩類等)です。

チェック3(穴埋め)

次の文の( A )〜( D )に当てはまる語句・数値を答えなさい。

「消火設備は、第1種から第( A )種までに区分される。所要単位の計算において、外壁が耐火構造の製造所の建築物は延べ面積( B )m²を1所要単位とし、危険物は指定数量の( C )倍を1所要単位とする。また、電気設備に対する消火設備は、電気設備のある場所の面積( D )m²ごとに1個以上設ける。」

解答と解説を見る

A=5/B=100/C=10/D=100

Bの100m²とDの100m²はどちらも100ですが、意味がまったく違う(一方は所要単位、一方は電気設備の設置個数)ので、混同しないよう注意。Cの10倍を「100倍」と書いてしまう誤りが最頻出です。

🪏深掘り解説

① なぜ「第1種」がいちばん大がかりなのか

区分の番号は、消火能力の大きさなどによる序列です。第1種の屋内・屋外消火栓設備は建物に配管を引き込む固定設備で、水源も専用に確保します。第2種のスプリンクラーは天井裏まで配管を通し、火災を検知して自動で放水する。第3種は水蒸気・泡・ガス・粉末をやはり固定配管で放出する。ここまでが建物に組み込む設備です。

一方、第4種の大型消火器と第5種の小型消火器・乾燥砂は人が持ち運んで使う道具。この「固定設備か、可搬の道具か」という線が、第3種と第4種の間に引かれています。

だから設置基準でも、「著しく消火が困難」=固定設備(第1〜3種)が要る、「消火が困難」=可搬の道具(第4種・第5種)で足りる、「その他」=小型で足りるという3段階になっているわけです。表を丸暗記するのではなく、この構造を理解しておくと、初見の選択肢でも判断できます。

② なぜ第4類の火災に「水噴霧消火設備」は効いて「霧状の水消火器」は効かないのか

これは法令の表を暗記していると必ず引っかかる矛盾に見える箇所です。同じ「霧状の水」なのに、第3種の水噴霧消火設備は第4類に○、第4種・第5種の水消火器(霧状)は第4類に×。理由は次のとおりです。

水噴霧消火設備が第4類に適応するのは、

  1. 水滴が非常に小さく分布が均一なため、蒸発しやすく熱を奪う効果が高い(冷却効果)
  2. 気化時の体積膨張率が約1,650倍のため、燃焼面を覆って酸素を遮断する(窒息効果)

という2つの理由によります。ところが水消火器(霧状)は、放射距離を確保するために水の粒子にある程度の大きさが必要になります。粒が大きければ油の上に落ちて広がり、かえって火を拡大させてしまう。同じ「霧」でも粒径がまったく違う、というのが答えです。

同じ理屈で、電気設備の火災に水蒸気・水噴霧消火設備が適応するのは、上の①②に加えて、

  1. 水粒子が細分化されるため電気絶縁度が高くなる

からです。「水なのに電気に効くの?」という違和感は、粒子の細かさで解消されます。

③ なぜ「地下・移動・簡易・第一種販売」だけが第5種でよいのか

この4施設に共通するのは、危険物が外気にさらされにくい、あるいは量そのものが限られているという点です。

  • 地下タンク貯蔵所:タンクが地中にあり、火災が拡大しにくい。ただし給油口や通気管まわりのリスクはあるので第5種を2個以上という上乗せがある。
  • 移動タンク貯蔵所:タンクローリー。走行するため固定設備を置きようがない。だから自動車用消火器を2個以上という形で担保する。充填量(強化液8L/二酸化炭素3.2kg/粉末3.5kg)が細かく決まっているのは、車載できるサイズの範囲で最低限の能力を確保するためです。
  • 簡易タンク貯蔵所:1基の容量が600L以下と小さく、基数も制限されている。
  • 第一種販売取扱所:指定数量の倍数15以下の店舗。扱う量が小さい。

裏を返すと、第二種販売取扱所(15倍超40倍以下)は量が増えるので「消火が困難」に格上げされ、第4種+第5種が必要になります。数量が増えれば要求も上がる、という一貫した設計です。この理屈を押さえておけば、「第一種はOK、第二種はダメ」を丸暗記せずに再現できます。

🎙️現場のリアル

第4種と第5種の違いは大型か小型か、それだけです。現場で「大型消火器を置いてください」と言われることがありますが、あれが第4種。そして第2種はスプリンクラーただ1つ。ここは覚えてしまえば毎回1問取れます。落とすと純粋にもったいない。

📝まとめ

  • 消火設備は第1種〜第5種の5区分。第1種=屋内・屋外消火栓、第2種=スプリンクラーのみ、第3種=水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の6つ、第4種=大型消火器、第5種=小型消火器・乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩・水バケツ・水槽。
  • 所要単位は建築物ぶんと危険物ぶんを別々に計算して合算する。製造所・取扱所=耐火100m²/非耐火50m²、貯蔵所=耐火150m²/非耐火75m²、危険物=指定数量の10倍。電気設備は面積100m²ごとに1個以上
  • 消火の困難性は3区分。「著しく消火が困難」=第1〜3種のいずれか1つ+第4種+第5種、「消火が困難」=第4種+第5種、「その他」=第5種のみ。第5種はすべての区分で必須
  • 規模に関わらず第5種のみでよいのは、地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・第一種販売取扱所の4つ。地下タンク貯蔵所は2個以上、移動タンク貯蔵所は自動車用消火器(霧状強化液8L/二酸化炭素3.2kg/粉末3.5kg以上)を2個以上
  • 適応表の急所は、①第4類に棒状の水・霧状の水は×、霧状の強化液は、②泡は電気設備に×(感電のおそれ)、③水蒸気・水噴霧は全部、④乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩はすべての危険物に適応、⑤建築物に効く粉末はりん酸塩類等だけ

次回予告:lesson-1-24「貯蔵・取扱いの共通基準とは?『みだりに』を解説」。消防法でやたら出てくる「みだりに火気を使用しない」の“みだりに”とは何なのか、くず・かすの1日1回以上の処理、類を異にする危険物の同時貯蔵と1m以上の間隔、容器の積み重ね高さ3m——公論の過去問12問ぶんの空白地帯を、まとめて埋めにいきます。

📚 この科目の全体像(学習ロードマップ)

いま何回目をやっていて、あと何回残っているかがひと目でわかります。復習したい回はここから飛んでください。

消防法令の学習ロードマップ28
  1. 1【過去問】消防法上の危険物とは?定義と別表第1を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  2. 2【過去問】危険物の類別とは?第1〜6類の分類と消火方法を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  3. 3【過去問】第4類危険物の7品名とは?引火点による分類の覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  4. 4【過去問】指定数量とは?品名ごとの数値と覚え方を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  5. 5【過去問】指定数量の倍数計算とは?計算手順と少量危険物を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  6. 6【過去問】危険物取扱者とは?甲種・乙種・丙種の違いと立会いを解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  7. 7【過去問】危険物取扱者免状とは?交付・書換え・再交付を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  8. 8【過去問】製造所等とは?貯蔵所・取扱所の全12区分を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  9. 9【過去問】保安距離・保有空地とは?暗記すべき数値を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
  10. 10【過去問】位置・構造・設備の技術基準とは?製造所の基準を解説|危険物取扱者乙4続きを見る
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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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