【過去問】有機過酸化物とは?第5類(自己反応性物質)を解説|危険物取扱者【甲、乙5】

ここから第5類(自己反応性物質)に入ります。最初は「有機過酸化物」の代表格過酸化ベンゾイル・エチルメチルケトンパーオキサイド・過酢酸です。
第5類は分子内に酸素を含み、自分自身で燃える(自己燃焼する)性質を持つ点が、これまでの類とは大きく異なります。
強欲な青木自分の中に酸素を持ってるなら、窒息消火すれば余裕で消せそうっすね!
消防設備士それが第5類最大の落とし穴です。自分の中に酸素を持っているので窒息消火はほとんど効果がありません。有効なのは水・強化液・泡・乾燥砂などで、大量の水で冷却するのが基本です。
このページを見たら危険物取扱者甲種の性質に出てくる「第5類(自己反応性物質)有機過酸化物」に関する問題が得点源となるはず!
最新ver.の過去問情報は、青木マーケ(株)noteの危険物取扱者「過去問テスト」で毎年更新しています。
併せて、ご参照ください。
🔰基礎教養学習
1. 第5類(自己反応性物質)と有機過酸化物とは
第5類は、加熱・衝撃・摩擦により発火・爆発するおそれがある「自己反応性物質」のグループです。有機過酸化物は過酸化水素H₂O₂の誘導体とみなされ、−O−O−という弱い結合を持つのが化学的な特徴です。
有機過酸化物は一般の化合物より低い温度で分解し、衝撃・摩擦によっても容易に分解する

2. 有機過酸化物3物質の性状比較
| 物質名 | 特徴 |
| 過酸化ベンゾイル | 白色〜無色無臭の固体。水・エタノールにほとんど溶けない。水とは反応しない。市販品は水で湿らせて純度を下げてある |
| エチルメチルケトンパーオキサイド | 特異臭の無色の油状液体。引火点58℃以上。通気性のある蓋(ベント付き容器)で貯蔵。鉄・銅などの金属と接触すると分解し爆発の危険 |
| 過酢酸 | 強い刺激臭(酢酸臭)の無色の液体。濃度上限は40%(不安定なため)。水・アルコール・エーテル・硫酸によく溶ける |
強欲な青木「通気性のある蓋」ってなんか変な感じがするっす。密栓した方が安全そうなのに。
消防設備士密栓すると内圧が上昇して分解が促進されてしまうためです。エチルメチルケトンパーオキサイドは自然に少しずつ分解してガスを出すので、そのガスを逃がす通気孔(ベント)付きの容器を使うことで、内部の圧力上昇を防いでいます。
上記の内容をふまえて、さっそく過去問に挑戦してみましょう!
【過去問】有機過酸化物
【問1】 過酸化ベンゾイルの性状について、次のうち誤っているものはどれか。
- エーテル、ベンゼンに溶解する。
- 乾燥状態で着火すると、爆発的に燃焼する。
- 融点以上に加熱すると、爆発的に分解する。
- 硝酸、アミンと激しく反応して、発火・爆発のおそれがある。
- 水と徐々に反応し、酸素を発生する。
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正解:5
過酸化ベンゾイルは水とは反応しません。「水と徐々に反応し、酸素を発生する」という記述は誤りです。
【問2】 エチルメチルケトンパーオキサイド(市販品)の貯蔵および取り扱いについて、次のA~Eのうち適切でないものはいくつあるか。
A 高純度のものは摩擦や衝撃に対して敏感であるので、フタル酸ジメチルなどで希釈したものが市販されている。
B 酸化鉄、ぼろ布と接触すると分解するので、20℃においてもこれらのものと接触させない。
C 直射日光を避け、冷暗所に貯蔵する。
D 水と接触すると分解するので、水と接触させない。
E 容器に密栓して貯蔵する。
1 1つ 2 2つ 3 3つ 4 4つ 5 5つ
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正解:2(2つ)
適切でないのはD・Eです。エチルメチルケトンパーオキサイドは水と接触しても分解しません(Dが誤り)。また密閉すると内圧が上昇して分解が進むため、通気孔のある蓋を使用します(「密栓」としているEも誤り)。
【問3】 過酢酸の性状について、次のうち誤っているものはどれか。
- 強い刺激臭のする無色の液体である。
- 110℃に加熱すると爆発することがある。
- 水、アルコール、エーテルによく溶ける。
- 安定な物質であるため、濃度に上限はない。
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正解:4
過酢酸は非常に不安定な物質であるため、濃度の上限は40%とされています。「安定な物質で濃度に上限はない」は誤りです。
【問4】 有機過酸化物の一般的な貯蔵および取扱方法について、次のA~Eのうち誤っているものの組合せはどれか。
A できるだけ不活性な溶剤、可塑剤等で希釈して貯蔵または取り扱う。
B 有機物が混入しないようにする。
C 水と反応するものがあるので、水との接触を避ける。
D 金属片が混入しないようにする。
E すべて密栓された貯蔵容器で保存する。
1 AとB 2 AとC 3 BとD 4 CとE 5 DとE
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正解:4(CとE)
過酸化ベンゾイル・エチルメチルケトンパーオキサイド・過酢酸はいずれも水とは反応しません(Cが誤り)。またエチルメチルケトンパーオキサイドは通気性のある蓋の容器で貯蔵するため、「すべて密栓」は誤りです(Eが誤り)。
チェック1(4択)
第5類危険物の火災の消火に、一般に有効でないものはどれか。
- 水
- 強化液
- 泡
- 二酸化炭素
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正解:4
第5類は分子内に酸素を持つため自己燃焼性があり、窒息消火の効果がある二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末消火剤は適応しません。有効なのは水・強化液・泡・乾燥砂などです。
チェック2(○✕)
次の記述の正誤を答えなさい。
過酸化ベンゾイル・エチルメチルケトンパーオキサイド・過酢酸は、いずれも水と反応する。
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正解:✕
この3物質はいずれも水とは反応しません。第5類の危険性は水との反応ではなく、加熱・衝撃・摩擦による分解・爆発にあります。
チェック3(穴埋め)
次の( )に当てはまる語句を答えなさい。
- 有機過酸化物の危険性は( ① )の弱い結合に起因する。
- エチルメチルケトンパーオキサイドは、内圧上昇を防ぐため( ② )のある蓋の容器で貯蔵する。
- 過酢酸の濃度の上限は( ③ )%とされる。
- 第5類の消火には、水・強化液・泡・( ④ )などが有効である。
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① −O−O− ② 通気性 ③ 40 ④ 乾燥砂
深掘り解説

① 第5類は「窒息消火が効かない」唯一の類
これまで学んだ第1〜第3類の多くは、窒息効果を持つ乾燥砂・膨張ひる石・粉末消火剤などが有効でした。しかし第5類は分子内に酸素を保有しているため自己燃焼性があり、窒息消火はほとんど効果がありません。
有効なのは水・強化液・泡・乾燥砂などによる冷却消火で、二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末消火剤は不適応という、他の類とは逆の発想が必要です。

② 「密栓が正解とは限らない」貯蔵方法の例外
危険物の貯蔵は基本的に「容器を密栓する」のが原則ですが、エチルメチルケトンパーオキサイドのように自然に分解してガスを発生する物質は、あえて通気性を持たせる例外があります。密栓した容器を使うと、分解で生じたガスにより内圧が上昇し、容器の破裂や爆発につながるためです。
この考え方は、後述するニトロセルロースなど他の第5類物質にも共通するポイントなので、あわせて覚えておきましょう。
まとめ
- ✓
有機過酸化物の危険性は−O−O−の弱い結合に起因する
- ✓
過酸化ベンゾイル・エチルメチルケトンパーオキサイド・過酢酸はいずれも水と反応しない
- ✓
エチルメチルケトンパーオキサイドは内圧上昇を防ぐため通気性のある蓋(ベント付き容器)で貯蔵する
- ✓
過酢酸の濃度上限は40%(不安定なため)
- ✓
第5類の消火は水・強化液・泡・乾燥砂が有効(二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末消火剤は不適応)
強欲な青木次は硝酸メチル・硝酸エチルっすね!第5類、続けていきましょう!
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