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【過去問】硝酸とは?第6類(酸化性液体)と不動態を解説|危険物取扱者【甲、乙6】

【過去問】硝酸とは?第6類(酸化性液体)と不動態を解説|危険物取扱者【甲、乙6】

A出題ランク:甲種で頻出のAランク(重要)

第6類の2番目は硝酸です。中学・高校の化学でもおなじみの強酸ですが、「不動態」という現象を正確に理解しているかが試験の最大のポイントです。

濃硝酸をさらに濃くした「発煙硝酸」も一緒に押さえましょう。

強欲な青木

アルミニウムって、イオン化傾向が水素より大きいから酸に溶けるんすよね?濃硝酸にも溶けるはずっすよね?

消防設備士

そこが定番のひっかけです。アルミニウム・鉄・ニッケルは濃硝酸に対しては表面に緻密な酸化被膜(不動態)を作り、内部が保護されて溶けません。ただし希硝酸とは反応して水素を発生します。「濃」と「希」で結果が真逆になる点が重要です。

このページを見たら危険物取扱者甲種の性質に出てくる「第6類(酸化性液体)硝酸」に関する問題が得点源となるはず!

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目次

🔰基礎教養学習

1. 硝酸とは

硝酸(HNO₃)は刺激臭のある無色の液体で、水と任意の割合で溶け、水溶液は強酸性を示します。政令上、濃度90%以上のものが消防法上の危険物に該当します。

濃硝酸はアルミニウム・鉄・ニッケルの表面に不動態を作り溶かさない

硝酸の性状
硝酸の性状

2. 硝酸の性状

項目 内容
外観・沸点 刺激臭のある無色の液体、比重1.3〜1.5、沸点86℃
濃硝酸と金属 Al・Fe・Niは不動態を作り溶けない(希硝酸とは反応し水素発生)
Cu・Agとの反応 水素を発生させず酸化して溶解(濃硝酸→NO₂、希硝酸→NO発生)
王水 濃硝酸1:濃塩酸3の混合液。金・白金を溶かせる(硝酸単体では不可)
分解 光・熱で分解し有毒な二酸化窒素を発生。褐色ガラス瓶で保存
強欲な青木

金や白金って、硝酸だけじゃ溶けないんすね。

消防設備士

そうです。金や白金を溶かせるのは、濃硝酸と濃塩酸を1:3で混ぜた「王水」だけです。硝酸単体では溶けません。これは硝酸の酸化力に関する頻出のひっかけポイントです。

上記の内容をふまえて、さっそく過去問に挑戦してみましょう!

【過去問】硝酸

【問1】 硝酸の性状について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 人体に触れると薬傷を生じる。
  2. 加熱または日光によって分解し、その際に生じる二酸化窒素によって黄色または褐色を呈する。
  3. 木材等の可燃物に接すると発火させる。
  4. 硫化水素、アニリン等に触れると発火させる。
  5. 金、白金以外のすべての金属と反応して、水素を発生する。
解答と解説を見る

正解:5

濃硝酸の場合、アルミニウムや鉄などの金属は不動態となり反応しません。またCu・Agなどは酸化されて溶けますが水素は発生しません(NO₂やNOが発生)。「すべての金属と反応して水素を発生する」は誤りです。

【問2】 硝酸の性状について、次のA〜Eのうち妥当でないものはいくつあるか。

A 皮膚に触れると、薬傷を起こす。
B 光や熱には分解しないので、透明のびんに保存する。
C 銅や銀などの金属は、不動態をつくるので濃硝酸には溶けない。
D 硝酸は、分解すると有毒な一酸化窒素、二酸化窒素を発生する。
E 有機物と反応しない。

1 1つ  2 2つ  3 3つ  4 4つ  5 5つ

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正解:4(B、C、D、E)

硝酸は光や熱で分解します(B誤り)。不動態を作るのは銅・銀ではなくアルミニウム・鉄・ニッケルです(C誤り)。分解で発生するのは二酸化窒素と酸素です(D誤り)。酸化力が強く有機物・可燃物と反応します(E誤り)。

【問3】 硝酸の貯蔵および取扱いについて、次のA〜Hのうち誤っているものはいくつあるか。

A 安定剤として、尿酸を加えて貯蔵する。
B 還元性物質との接触を避ける。
C 人体に触れると薬傷を生じることがあるので、接触しないようにする。
D 分解して発生する二酸化窒素を吸い込まないようにする。
E ステンレス鋼製の容器に貯蔵する。
F イオン化傾向の小さい銅や銀は溶かさない。
G 濃度が高いと金や白金を溶かすことができる。
H 濃度が高いと空気中で発煙する。

1 1つ  2 2つ  3 3つ  4 4つ  5 5つ

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正解:3(A、F、G)

安定剤として尿酸を使うのは過酸化水素です(A誤り)。硝酸は銅や銀を溶かします(F誤り)。金・白金を溶かせるのは硝酸単体ではなく王水です(G誤り)。

チェック1(4択)

濃硝酸に対して不動態を作り、溶けない金属の組合せとして、正しいものはどれか。

  1. 銅・銀
  2. 金・白金
  3. アルミニウム・鉄・ニッケル
  4. マグネシウム・カルシウム
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正解:3

アルミニウム・鉄・ニッケルは濃硝酸に対して不動態を作り溶けません。

チェック2(○✕)

次の記述の正誤を答えなさい。

希硝酸は、アルミニウムや鉄と反応して水素を発生する。

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正解:○

アルミニウムや鉄はイオン化傾向が水素より大きいため、希硝酸とは反応して水素を発生します。不動態ができるのは濃硝酸の場合のみです。

チェック3(穴埋め)

次の( )に当てはまる語句を答えなさい。

  1. 硝酸は光・熱により分解し、有毒な( ① )を発生する。
  2. 硝酸の保存には( ② )色のガラス瓶を用いる。
  3. 濃硝酸1:濃塩酸3の混合液を( ③ )といい、金や白金を溶かせる。
  4. 濃硝酸を薄める際は、( ④ )に硝酸を滴下する(逆にすると突沸の危険がある)。
解答と解説を見る

二酸化窒素 ②  ③ 王水 ④

🪏深掘り解説

① 不動態のメカニズムをイメージで理解する

「不動態」とは、金属の表面に薄い酸化物の被膜ができ、その被膜が内部を保護してそれ以上反応が進まなくなる状態です。イメージとしては「金属の表面にコーティングの膜ができて、内部までは酸が届かなくなる」という感じです。

アルミニウム・鉄・ニッケルは濃硝酸に対してのみ不動態を作ります。希硝酸では被膜ができず、通常どおり反応して水素を発生します。「濃度によって結果が変わる」という点を必ず押さえておきましょう。

② 「王水」は単独の酸では届かない領域

金や白金はイオン化傾向が非常に小さく、濃硝酸単体でも溶けません。しかし濃硝酸と濃塩酸を1:3で混ぜた「王水」にすると、2つの酸の作用が組み合わさり、金や白金までも溶かせるようになります。

「硝酸だけで金が溶ける」という誤った選択肢は頻出なので、必ず「王水でなければ金・白金は溶けない」と覚えておきましょう。

まとめ

  • 硝酸は刺激臭のある無色の液体、水と任意の割合で溶ける

  • 濃硝酸はアルミニウム・鉄・ニッケルの表面に不動態を作り溶かさない(希硝酸とは反応し水素発生)

  • 銅・銀は溶けるが水素は発生しない(NO₂・NOが発生)

  • 金・白金を溶かせるのは王水のみ(硝酸単体では不可)

  • 光・熱で分解し二酸化窒素を発生するため褐色ガラス瓶で保存

強欲な青木

次は三フッ化臭素・五フッ化臭素・五フッ化ヨウ素っすね!これで第6類も、そして性状分野もラストっす!

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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